重くなんてないよ




▼2月22日〜『重くなんてないよ』




『強くて脆い、優しくて弱い、そんなとこだよ椿。』




いつになったって追いつけない。背中さえ見えない。さみしい。くやしい。かなしい。オレの目の前には、こんなにもおおきな、見えない隔たり。
達海さんは笑って言った。

「目指す方向が1度でも違えば、そりゃあぜんぜん違う場所に行っちゃうよ」

このひとはこんなにも温かい。すべてを包み込むような、おおきなひとだと思う。つよいひとだと思う。オレは、そんなあなたになりたいんです。

「…でもね、椿。同じでなくたっていいと俺は思うんだ」

ときどき思うんです。オレは、ほんとうにここにいてもいいのかなって。自信がないんです。オレは全然つよくない。チキンで、なににしたって後手を回るような、だめなやつ。オレ、自分が嫌いで嫌で、仕方なかった。認められるようなこと、なんにもできない気がして。

「椿はありのままでいればいい。おまえはおまえ。おまえは俺じゃないし、俺も、おまえに俺になってほしいなんて思わない。俺はそのままの椿がすき。椿が頑張ってるのを、ちゃんと見てくれてる人はいっぱいいる。時間がたてば、自信なんか後から付いてくる」

救われたのは、その声、言葉、それとも姿に。

「そもそもおまえは俺を過大評価しすぎだよ。俺だって言うほどつよいわけじゃない。誇れるわけでもないし、椿と同じ、1人のひと。比べなくたっていい。いいこともわるいことも人それぞれ。それにね、おまえの言う俺のいいとこもね、つまりは――」





7番の譜系



(俺は、よわむしの一撃をしってる)
(椿、おまえはいい選手になるよ)













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