中3×小5兄弟



















「はぁ…今日も疲れた…」

まさか、部活の後にオサムちゃんに捕まるやなんて…立て続けって結構くるもんやなぁ…

「やばっ!もうこない時間かいな!?」

時計を見れば、もう八時半。俺は家まで全力疾走した。こんな時、謙也のスピードが羨ましいわ。



バァン!

「っ…はぁ!…た、ただいまぁ…!」


シーン…

家の中から返事は無し。

「もう、寝てしもうたかな…」

静まり返った廊下を進んで、明かりの点るリビングへ入った。


ガチャッ


「あぁ…やっぱり」

「スーッ……スー…」


リビングのソファーで寝息を立てるのは、小学生の弟、健二郎。
めっさかわえぇねん♪って、んなこと言ってる場合ちゃう。


「健二郎、起きぃ。こんなとこで寝たら風邪ひくで」

「ん…ん〜……スー」


身体を揺すっても起きる気配なし。

「しゃぁないなぁ…よっ!」

俺は健二郎を部屋に運ぶ為に横抱きにして持ち上げた。


「ん…?……蔵にぃ?」

「あ、起こしてしもぅたか?」

「ん…平気」


寝起きで目ぇ擦る健二郎ホンマカワエェな〜♪俺は健二郎を横抱きしたままソファーに腰掛けた。


「蔵にぃ、部活お疲れ様(ニコッ」

「!お、おぅ!」


ヤバいわ!天使の微笑みや!もう部活の疲れなんか吹っ飛ぶで!

「あ、そう言えば…」

「? どないした?」


何かを思い出した様子の健二郎。


「俺が学校から帰って来て暫くした後、忍足さんと財前さんが来たで?」

「謙也と財前?何しに来たん?」

「それが、要件忘れたって言うて『お腹すいた』言うから、一緒に夕飯食べた」


………………は?


「え?謙也と財前、健二郎の料理食うたんか?」

「おん。『美味い』って言ってくれはった♪後は『毎日でも飽きひんな』とか『健二郎は良い嫁さんになるわ』とか。
男の俺が嫁さんなんて変やろ?」


あの2人!!遊びにくる度に健二郎のこと気にして、なんか変やと思っとったがっ!
やっぱりねろうてたな!


「蔵にぃ?」

「な、なんや?」

「どうかしたん?さっきから黙って。疲れてんなら、早く寝た方がえぇよ?」


あぁもう…健二郎に心配かけてもぅた。


「大丈夫や。それに、俺は健二郎がおれば元気になんで♪」

「そっか。ならよかった」


ふわりと笑う健二郎。この笑顔は俺だけのもんや。謙也やろうと、財前やろうと、誰にも渡さへん。健二郎は俺のもんや。



「なぁ健二郎…」

「何や?」

「健二郎は…俺のこと好き?」

「どうしたん?急に」


まぁイキナリこないなこと聞かれたら、訳わからんやろな。


「まぁえぇから、言うてみ?」

「ぉ…おん。お、俺…はっ」


言葉を詰まらせたら、急に俯いた健二郎。


「健二郎?どないし……!」

「っ…ウッ……グッ!…」


俺は健二郎の顔を見て、言葉がでぇへんかった。健二郎の顔に涙が伝っとったから。

「っ健二郎!?どないしたんや!?」

健二郎の肩を揺すれば、小さな声で言葉を紡ぎだす。


「おっ…れ、ずっと……ずっと蔵にぃ…の、こと…好きやっ、た…!」

「何ゆうてんねん!俺も健二郎のこと好きやで?」


俺の言葉に、健二郎は違う。と首を横に振った。


「俺はっ、…男としてっ…好き、やねん…!」

「っ!」


驚いた。まさか健二郎から言われるとは思っとらんかったから。
俺だけが健二郎を好きで、俺だけが勝手に健二郎を自分のモノにしとる思っとった。


「でも、ちごたんやな…」

「え…」

「そう思っとったのは、健二郎だけとちゃうで……俺も同じや」

「おな、じ…て…」

「俺も健二郎が好きや」


チュッ


「!…く、蔵にぃ///」

顔を真っ赤に染める健二郎。理性保たんで、ホンマに。

「俺も、ずっと健二郎のこと好きやった。
でも俺らは兄弟や。『兄弟』なんて言葉で縛られて…健二郎に嫌われてしもたら…健二郎のそばにおれんくなったら…俺……俺…!」

「蔵にぃ…」

「なんや?けんじ(チュッ)っ!け、健二郎?!///」


健二郎の予想外の行動に思わず顔が熱くなる。

「俺は、ずっと蔵にぃのそばにおる。蔵にぃが……蔵ノ介が大好きやから」

俺に抱き付いてくる健二郎。てか、名前呼びて反則やろ?

「俺も大好きや…いや、愛してんで健二郎」

「おん(微笑」


俺達はまたお互いの唇を重ねた。





兄弟?それが何やねん。そんな言葉で俺と健二郎は引き離されへんで。
周りがなんと言おうと、健二郎は俺のモンで俺は健二郎のモンや。







秩序への波紋

例え世界の秩序に反しても、俺は君を愛してる。


END

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