「あんた…真田か?」

「うむ。そういうお前は小石川だな」


とある日、小石川と真田はある場所へと呼び出されていた。


「なんやお前と話してこい言われてん」

「俺も同じだ」

「さよか。ほんなら何を……あ、そういえば、ユピが『立海にはごっつ美人がおる』言うてたけど、ほんまにおるん?」

「美人?……それは幸村のことではないか?」

「幸村?」

「コイツだ」


ピンと来ない様子の小石川に、真田はパスケースを開いて見せた。


「(持ち歩いてるんかいな…)確かに儚気美人さんやなぁ」

「あぁ。しかし、我が立海は素晴らしいメンバーばかりだ」


真田は誇らしげに、どこか柔らかく笑った。


「……俺にしたら真田も充分美人さんやで?」

「なっ!た、たわけ!そんなわけなかろう!
それより、俺もユピから『四天宝寺にたまらん選手がいる』と聞いたのだが」

(オイラは『可愛い子がいるよ』って教えたんだけど?byユピ)

「(話逸らしよった…)そないな奴、部活のキャラが濃くて分からへんわ」

サラリと酷いことを言う小石川。しかし真田は特に気にした様子もなかった。立海も他校のことは言えないだろうから。


「誰かおらんのか?」

「ん〜……あぁ、たまらなく変態なら」


そういうと小石川もパスケースを取りだし見せた。


「(写真など持ち歩いているのか?)む、白石か。確かにあやつは色々な意味でそのような気がするぞ」

「せやろ?何年一緒におっても変わらへん。ほんまにしゃーないやっちゃ」


仕方ない。と言うように笑う小石川。その時零した笑顔は歳相応の幼さの残る笑顔。


「たまらん!」

「な、なんやねんいきなり…」

「お前の今の笑み、俺にはとても可愛らしく見えたぞ」

「なっ!そんなわけないない!だいたい笑顔なら師範のが美笑やって」

「そうなのか?しかし俺はそう思ったのだ」

「ハハッ おおきに」


そんな二人の話を少し距離をとった場所で聞いている者がいた。





「フフッ 二人とも可愛いね」

「あぁ。管理人が言うてるんが自分のことやって気付いとらへん。んん〜っ絶頂!」


各校の部長だ。とりあえず二人とも残念である。


「それにしても、小石川君可愛いね。少し興味持ったかも」

「コイちゃんは渡さへんからな!」

「そういう君だって真田をチラチラ見てるじゃないか」

「ちゃうわ!そんなんあらへん!」

「ふーん…まぁどっちにしろ渡さないけどね?」

「おぅ、望むところやないか!」





「……なんかあの辺黒いんやけど」

「案ずるな。幸村はいつものことだ」

「(安心でけへん!)」


この日、小石川の悩みがまた一つ増えたとか。







姫様対談

お互い鈍感プリンセス。


END


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