「コイちゃんコレあげる!」

「水飴?なんなん急に」

「えぇからえぇから♪」


部室で突然白石に水飴を手渡された小石川。白石の意図など読めるはずがない。しかしこの時点ですでに、彼は白石の術中にはまっていた。


「謙也!ちょい来てみぃ!」

「なんやねん白石」


白石は部室から出ると、近くを歩いていた謙也を捕まえた。


「部室ん中見ててみ」

「中? なんや、小石川やないか。アイツがどうかしたんか?」

「えぇから見てて」

−−−−−

「水飴か…小学生の祭以来やな。まだ時間有るし、食うてもえぇよな」

自分に許可を取り、小石川は水飴を練りはじめた。

−−−−−

「水飴か?」

「せや、しかもカルピス味や!俺はレモン味のが好きやねんけどな」

「お前の好みなんかどーでもえぇねん。で、あの水飴がなんやねん」


聞けば白石は、よくぞ聞いてくれました。と言う顔をした。


「あんな、水飴って練るとどうなる?」

「そら白くなるんとちゃうの?………お前、まさか…」

「そのまさかや!」


謙也は思った。ホントにこんな変態が部長でいいのかと。

(まぁ器用な小石川のことやし、白石の思惑通りにはいかんやろ)

そう思ったのが間違いだったと、謙也はすぐに自覚することとなった。

−−−−−

「ん〜…白くはなってきたけど、なんでまとまらへんねん」

小石川の練った水飴は白みを帯び、柔らかくなった。故に、割り箸を伝い、今にも手に付きそうだった。

「あぁ、なんでいっつも上手くいかんのや」

そう言いながら割り箸を伝う水飴をゆっくり舐めあげた。

−−−−−

「なっ!?」

「キタキタキター!見たか謙也!?今の顔!最高にエロい!んん〜っ絶頂!」

「ぁ、ありえへん…!」


先程までの自分の予測を面白いほど裏切る結果に謙也は開いた口が塞がらない。
それを察したように白石は語りだした。

「コイちゃん、いつもは器用で完璧に近いんやけど、水飴練んの苦手やねん。
祭のたんびに指に垂らして、ほんま人のぎょーさんおるところで勘弁して欲しいわ」

何度も見慣れている白石はまったく動じていなかった。

−−−−−

「あ、指に付いてもうた。しゃーないな……んっ」

手前の割り箸を気にしていたため、奥側の水飴が垂れて指に付着した。
仕方なく小石川はその指を口に含んだ。

−−−−−

「なんやねん今の声は!?」

「あ、あれはさすがの俺も予想外やったで…」


今度は明らかに白石も動揺していた。

『ん…あま……んっ』

部室の中から聞こえる艶っぽい声、ピチャピチャと指を舐める水音。そんな刺激に健全な男子中学生が耐えられるはずがなく…。


「謙也…俺……限界や!」

「俺も限界やっちゅー話や…!」


二人は身を屈めてトイレに向かってもうダッシュした。


「ん?なんや、今の音」

ガチャ

「あれ、副部長だけっスか?」

「おん。誰かおったんか?」

「…部長と謙也さんがもの凄い勢いで走ってましたけど……なんですの?その割り箸」


財前は小石川が握っている割り箸を指差した。


「あぁ、さっき水飴食うてた。白石にもろてん」

「水飴…(やからあの二人トイレに…)」


察しの良い財前は白石の意図に気が付いたようだ。


「副部長、今後部長からの貰い物には気ぃ着けてくださいね」

「?…分かった」


その後小石川は、白石からの貰い物は必ず財前に見せるようにしていた。







不意打ちエクスタシー

新たな一面に皆骨抜き。


END
 

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