ザアァ…
「雨か…」
雨やと部活がでけへん。せやから今日は各自自主トレ。ゆうてもあれや、千歳はいつもの如く放浪。金ちゃんはタコ焼き屋やろうから、後で毒手つこて遊んだろ♪
師範と謙也はトレーニングルーム。バカップルはネタの練習。光は……どこ行ってん?まぁそんなわけで今は部室には…
「白石、さっから手ぇ止まってんで」
小石と二人っキリやねん♪
「ん〜?なんもあらへんで〜♪」
「そうか?なぁ…白石」
「ん?なに?」
「鳴るかな」
「?。何が?」
「……雷」
「あぁ、雨もぎょーさん降っとるし、鳴るんちゃうかな」
でも、なんでそないなこと聞くんやろ?小石はさっきからずっと窓の外見て、こっちむかへん。
「なぁこいs」
ピシャーンッ!!
「うわっ、デカッ…ありゃどっかに落ちたって……小石?」
さっきまでそこにおった小石がおらへん。一瞬で消えおった。部室見回しても何処にもおらん。
「お〜い、小石〜?小石川く〜ん?健二郎?」
カタンッ
「ん?なんや、今の音」
何かのぶつかる音。でもどこからや?部室ん中にそないな場所は…
ピシャーンッ!
ガシャン!
今のは清掃用具のロッカーやな。しかもタイミングよく雷に反応しよった。ちゅーことは…
「小石〜、中おるんやろ?返事しぃ」
「………」
気配はあってもノーリアクション。
「小石、雷怖いんか?」
ガシャッ
解りやす過ぎる反応が返ってきよった。てかよぅ入れたな、ロッカーん中。お前俺より背ぇデカいやないか。
「小石〜怖ないから出てこいや」
「……いや、ゃ…」
「いつまでもそこにおってもしゃーないやろ?」
「いやや」
この我が儘ちゃん!まぁ昔から雷鳴ると俺ん家来て布団潜っとったけどなぁ。さすがにもう平気やと思うててんけど。
でも、そんなところもかわえぇなぁ♪まぁえぇ。そっちが出てこんのやったら、こっちにも考えがある。
「ほんなら、一人でそこおり。俺はオサムちゃんに部誌届けて来るさかい」
ガタッ
おっ食いついた!もう一押しやな。
「ほな小石、一人で留守番頼んだd…グフッ!っアホ!いきなり来たら危ない、やろ…」
「っ…ぃ、行かん、といて…!」
出て行こうとしたら、ロッカーから小石が飛び出してきよった。一瞬ホンマに息が詰まりそうになったわ。勢いで怒鳴ってしもたけど、俺より高い身長縮めて身体震わして、必死にしがみつかれたら…
「怒られへんやんか」
俺はそっと小石の頭を撫でた。
「お前ホンマに雷ダメやなぁ」
肩に乗った頭がコクリと動いた。
「どこも行かんで……蔵ノ介…」
「っ!?」
お前、それは反則やろ!
「どこにも行かんよ。安心しぃや、健二郎」
丸まった小さな背中をゆっくり撫でて、そのまま抱きしめた。
−部室外−
「ごっつ入りにくいっスわ」
「小石川はん、雷苦手やったんやなぁ」
「なんや、可愛らしいとこもあんねんな」
「あら、健ちゃんは元々可愛らしいわよVv」
「小春にはかなわへんVv」
「先輩らキモいっスわ…」
−−−−−
「アイツら、もう帰ってきよったんか」
ちぃとは気ぃつこて声抑えろや。
「あ、皆帰って来たん?すまんかったな白石」
そう言って身体を離す小石。メッチャ名残惜しい!てか、いつの間にか雷鳴りやんどるし!
「まだえぇやん。それに、アイツらは待たしといたらえぇねん」
「お前、それは部長としてどうなん?」
「気にしたらアカン♪」
それやなくても最近あのダメ顧問のせいで部活が忙しかったんや。こんな時くらい二人っきりにさしてくれ!
「なぁ小石」
「なに、白石」
「雷が怖くないおまじない知っとるか?」
「知らん!そんなんあるんか?教えてーな!」
かわえぇ!必死こいてる小石メッチャかわえぇ!おまじないとか嘘やのに!←
「ほんなら目ぇつぶって」
「ん…こうか?」
あぁ、小石の唇メッチャ美味そうやわ…
「せやで、いくで」
唇まであと3cm。
→