※忍ちゃんがイナズマジャパンのマネージャーになります。
響木監督が不動と一緒にスカウトしました。
FFIアジア予選を勝ち抜き、本選出場を決めたイナズマジャパンのメンバーは監督、マネージャーと共に本選会場となるライオコット島に向かうため空港へと来ていた。
イナズマジャパンのために用意された専用機、イナズマジェットを前に円堂や一年生達ははしゃいでいた。
その様子を保護者のように見守る風丸やヒロト。新たに加わった佐久間と染岡に声を掛ける鬼道と豪炎寺。
見送りに来た吹雪と緑川も笑顔で会話をし、応援の言葉を掛けていた。
そんな中、不動は一人で備え付けの椅子に腰を降ろし携帯を見つめていた。
「不動君、さっきから携帯ばっかり見てるけど、どうかした?」
近くにいたヒロトが気になって携帯の画面を覗き込むと、メールの画面に短い文面がかかれていた。
「ぁ? あぁ、ここに来る道がわかんねぇんだと」
不動は、携帯の画面をヒロトに向けた。
「ふーん。
(『ことりあそび』だなんて、変わった苗字だな)
空港にはいるんだよね?良かったら俺が迎えに行こうか」
「はぁ?なんでお前が。俺が行くからいいんだよ」
立ち上がろうとする不動。その肩を掴んで、ヒロトは不動を椅子に押し戻した。
「なんだよ!」
「いいから、君はゆっくり緑川と愛を囁き合っておきなよ」
「なっ!?」
顔を真っ赤に染める不動にニコリと笑みを向けると、ヒロトは走り去った。
「えっと、確かメールには正面口にいるって書いてあったな。ヨシッ」
飛行機の時間も考え、ヒロトは急いで正面口へと向かった。
しかし、いざ着いても問題があった。
「俺、ことりあそびさんの見た目知らないや」
名前だけを見て来てしまったため、不動に見た目の特徴などを聞き忘れていた。
どうするべきかと辺りを見回すヒロト。すると、後ろからは肩を2、3回叩かれた。振り返るとそこには、ピンクの髪で片目を隠している黒いワンピースを着た、ヒロトと同じくらいの少女が立っていた。
(わぁ、綺麗な子だなぁ)
感心して見入っていると少女が口を開いた。
「アンタ確か、イナズマジャパンの…基山、だっけ?
よければ監督さんの所まで案内してくれない?
不動に迎え頼んだんだけど来ないのよ。あのハゲ後でシメる…」
監督と不動の名前に、ヒロトは少女の正体を察した。
「もしかして君がことりあそびさん?
僕は基山ヒロト。よろしく」
手を差し出したヒロトだったが、少女は手を握り返して来ない。口と腹に手を当て俯いていた。
「あの…」
「…っ、ははははっ!」
「!」
少女は突然笑い出した。ヒロトは驚いたが、笑い出した事にではなく少女の笑顔にだった。
見た目や雰囲気は大人びているが、幼さが残る年相応の笑顔。それがヒロトにはとても愛らしく見えた。
「ことりあそびって…ははっ。そんな馬鹿正直に読んだ奴初めてだっ…くくっ」
「えっ…あ、ごめん。読み方間違えたみたいだね。えっと…」
「たかなし、小鳥遊忍。よろしくね、ヒロト」
小鳥遊は差し出されていたヒロトの手を握り返した。
「うん!よろしく、忍ちゃん」
「!」
ヒロトが名前を呼ぶと、小鳥遊は顔をほんのり赤く染め視線を逸らした。
「どうかした?」
「…男子に名前で呼ばれるの、初めて、だから…」
『初めて』その言葉にヒロトはなんだか嬉しくなり、頬が緩んだ。
「忍ちゃん、可愛いね」
「はぁ?!ばっ、バッカじゃないの?!」
ヒロトの言葉に小鳥遊はさっきよりも頬の赤みが増した。
ヒロトはクスリと笑みを零し、空港備え付けの時計に目を移した。あっ、とちいさく呟き小鳥遊の手を引いて走り出した。
「ちょっ!」
「急がないと飛行機が出ちゃうよ」
ヒロトはロビーに着いてからも小鳥遊の手を離すことはなかった。
ことりあそび
それが笑顔を見た幸せな間違い。
END
オマケ↓
基山が小鳥遊を連れて来てくれたおかげで緑川と話は出来たけど…
「まさかお前がマネージャーとはな。アイツ等のマヌケ面がまだ目に焼き付いてるぜ」
「アタシもアンタと同じで響木さんに誘われたのよ」
「へぇ〜。でも知らなかったぜ」
「何がよ」
「お前が基山と名前で呼び合う仲だったとわな」
「! あれはそんなんじゃないわよ!」
必死になっちゃって。こりゃあしばらく遊ばしてもらえるなぁ。
「まぁ、お幸せにな。忍ちゃ…ぐはっ!」
「気安く名前で呼ぶんじゃないわよ、ホモハゲ」
「なんだと、この阿婆擦れ女!」
「言ったわね、この性悪二流野郎!」
「っんだと!」
「何よ!」
なんでか小鳥遊って普通よりも悪口が良く出る。
その後すぐに、俺達二人は基山と緑川によって引きはがされた。
これから先行き不安だぜ。
ホントにEND