※捏造嫌な方はバックプリーズ
















イタリアのとある一軒家。ある晴れた日、この家に双子の男の子が生まれた。
両親は兄をフィディオ。弟をシンイチと名付けた。二人はトマトやパスタを貪りながらすくすくと育った。
しかし、成長すればするほどにシンイチの影が薄れていった。友達に存在を忘れられるのはしょっちゅうで、時々、両親にまで忘れられていた。
それでも、兄のフィディオはいかなる時もシンイチを忘れはしなかった。
そんなある日、


「シンイチ、海におっきな船が来てるんだ!見に行こう!」

「うん!」


二人は仲良く手を繋ぎ、近くの貿易港へと出掛けた。

「すごい!お船がいっぱい!」

目をキラキラと輝やかせ、グングンと進んで行くシンイチ。

「シンイチ!そんなに急ぐとはぐれちゃ…!」

シンイチを引き止めようと後を追いかけるフィディオ。そんなフィディオの目にあるものが留まった。
それは、

《パ〜スタ〜(≡∀≡)》

イタリア人、皆大好き、白旗印のパスタだった。

「……パ〜スタ〜(≡∀≡)」

パスタの誘惑には勝てなかった。
フィディオはシンイチのことなどスッポリと忘れ、パスタへと全力疾走した。

一方、兄に忘れられたなど思いもしないシンイチは、船から伝うロープをよじ登り船に上がり込んでいた。

「うわぁ!」

船の上には見たこともないモノがたくさん。シンイチはアチコチを走り回っていた。
そして周りの大人は面白いほどにシンイチの存在に気がつかなかった。
そんなこんなで船の中を駆け回っていたシンイチ。たくさんの荷物が詰まれた部屋を見つけ、中に入った。
するとシンイチの目にあるものが飛び込んで来た。それは、真っ赤な丸がたくさん詰まった大きな木箱。

「トマト!いっただきまーす♪」

瞬時に目に星を宿したシンイチは、迷うことなくトマトを引っ掴み貪った。

「〜っボーノ(≡▽≡)」

それは高級トマト、スペイン産の親分印のトマトでした。
トマトを食べることに夢中なシンイチ。外が騒がしいことなど気にしません。そして汽笛が鳴ったことも。

「ゲフッ…お腹いっぱいで眠くなってきたな…」

シンイチはその辺にあった麻袋を引っ張り、寝袋のように中に潜って眠りはじめた。

「あれ、なんで麻袋が落ちてるんだ?トマトの箱も空いてるし……ま、いいか」

荷物の整理に来た船員はシンイチの入った麻袋をトマトの箱にしまい、蓋を閉めてでていった。

箱に書かれた行き先は

《ジャポーネ》

こうしてイタリア人、シンイチ・アルデナは日本へと出港し、後に日本人、半田真一となったのである。







半田物語

それはきっと途中完結の中途半端な物語。

エンドロールを流せるかは本人次第。


END

 
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