「なぁ光」

「なんですか」

「俺とキスしようや」

「………は?」


いつだってこの人の言うことは唐突だ。俺の想像を軽々と越えて、必ず俺を驚かしてくる。
そして、まるでそれを楽しんでいるかのように笑う。


「冗談はアンタの恋人だけにしてくださいよ」

「あぁ…あれは確かに冗談にしたい。けど、これは冗談とちゃうで」


ニコニコ笑って俺の両頬に、長くしなやかな指を這わせる。
知っている、アンタはいつでも本気だと。


「……あの人、浮気とかうるさいんとちゃいますか?」

「なんや、お前知らんのか?」





キスまでは浮気に含めない

そう言ってアンタはまた笑う。
そして悪びれもなく唇を重ねた。


END

−−−−−
冗談にしたい恋人はご想像にお任せします。
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