「コーイちゃ〜、ブフッ!」
「とりあえず近寄るな」
いつもいつも懲りずに俺に絡む白石。
それにも慣れたもので、俺もいつものように、手に隠し持っていたテニスボールを顔面に放った。
「ったぁ…コイちゃんの愛のムチは相変わらず強力やな」
アホ面を浮かべて、コチラにハートを飛ばす白石。
正直言って気色悪い。
「はっ、愛のムチ?勘違いも大概にせぇよ」
「ツンデレなコイちゃんもかわえぇで!」
「白石!えぇ加減行かんと委員会始まるんやろ!」
「離せ謙也!コイちゃーん!」
謙也に感謝しつつ、白石は無視して委員会に向かう。
あの馬鹿の回収を忘れずに。
−−−−−
「千歳ー、どこにおるん?」
いつもならあるはずの返事がない。
こうなると探すのが面倒で、委員会に遅れることは必須。
委員長に連絡をいれなくてわならない。
「めんどくさ…」
生意気な後輩の様な口癖が口をついて出る。
それほどに敷地面積が広く、めんどくさい。
だがそれも慣れたもので、だいたいの検討はつく。
「……おった」
それはお決まりの日光浴スポット。
横たわる巨体。とりあえず揺り起こす。
「千歳ー、起きろー、委員会やでー」
「んー…あと5時間…グフッ!」
「永眠希望か。短い人生やったな」
靴の踵で踏み付ければ、潰れた蛙のように呻く千歳。
とりあえず目覚めるやろ。
「起きる!起きます!委員会行きます!」
「始めからそうしろや」
手間かけさせよって。
「まったく、健二郎の愛はいつも痛か」
「愛なんてお前に注ぐならタコ焼きにかけるわ」
「健二郎はツンデレばい」
白石にしろ千歳にしろ、どこに愛を感じるのか。
愛と呼ぶならご自由に
君達を愛してなんていないから。
END