程よく雲に隠れた陽射し、仄かにそよぐ風。
それが味わえるのは、もう少し先だ。
今と言ったら、ピンと張った空気が肌に痛い。と言ったところだろうか。
でも俺は、一足先に至福の温もりを味わっていた。


「剣城く〜ん」

「なんだ」


どこ、とは言わないが、少し狭い空間に二人きり。
身を寄せて、と言っても俺が一方的にくっついてるだけだけど、お互いの温もりを感じていた。
俺の恋人は可愛い。
どこが?って言われたら、もちろん全部。って答える。
可愛くて可愛くて仕方がない。


「剣城くんは、何があっても必ず俺が守るから」

「なんだよいきなり」

「いーんだよ。思ったこと言っただけ」

「あっそ」


温もりを確かめて、その身体をギュッと抱きしめた。

−−−−−

狩屋に腕を回された場所の骨がギシリと鳴る。
もう注意することも、反論することも飽きてしまった。というより、離すように促したところで、腕の力が更に強まると知っていた。
コイツの腕は、いつだって俺の身体を、俺を壊そうとする。
まぁ、逃げ出そうとしない俺は、とっくに壊れてるのかもしれないがな。





守りたいなんて嘘だよ。本当はずっと壊したがってる
(守りたいなんて嘘だろ。本当はずっと壊したがってるくせに)


あぁ、早く君を壊したい。
(あぁ、いっそ壊れてしまおうか。)


END
 
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