「可愛いですね〜♪」

いつものようにふわふわした笑顔を浮かべる那月。
その腕には、七海から貰ったクマのぬいぐるみが抱かれている。
可愛い那月が可愛いぬいぐるみを抱いている。これが可愛くないはずはない。
けど違う。だって、那月の持つクマは…

「クマちゃん、少し汚れちゃいましたね?
なら綺麗にしないと」

そう言えば躊躇なく、汚れた部分にハサミを入れた。

「これで……っと。はい、綺麗になりましたよ〜♪」

先程からそんなことを繰り返しているせいで、クマは既にボロボロ。
綿ははみ出し、糸はちぎれ、見るも無惨とはまさにこのことだ。

「……ねぇ、翔ちゃん?」

あぁ…来た…


「なんだよ、那月」

「僕、翔ちゃんのこと大好きです♪」

「っ…あぁ、俺もっ」


好きの言葉とは裏腹に、俺の首に回る、絞め殺さんばかりの力の篭った手。
殺されたら終わり。
傍から見れば、俺は完全に危ない位置にいる。
でもこの状況をどこか客観的に見ている自分がいる。
それは、俺がこの行為を嫌だと思わないから。


「翔ちゃん、僕のこと好きですか?」

「もちろん、メチャクチャ愛してる」


視界が満面の笑顔で埋まる中、首に指が食い込んだ。





言葉の純粋さと反比例するように君は

その手に力を込めていく。


END

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