「貴方という人は、またこんな所で昼寝をして!」

「毎度毎度うるせぇんだよ!俺はシエスタしねぇとやる気が出ねぇんだよ!」


エルの言葉通り、毎度毎度と繰り返されるやり取り。
さすがに他のメンバーも慣れたのか、引き止める者はいない。
しかしストッパーがなければ激化するのは自然の摂理と言うもの。


「言ってもわからないようですね」

「お前こそ」

「「今日こそ決着を付けます/付けてやるぜ!」」


後方に飛びのき距離を取る二人。王はヌンチャク、エルはマントを取り出し戦闘体制に入る。
二人の間に一陣の風が吹き、二人は地面を蹴った。

−−−−−

「ニコフー、マスタード取ってくれ」

「はい。…メッド、半分こしよう」

「いいでアルよ。あ!リニョ、食べかすを零しすぎでアール」

「ムキョ、ごめんごめん。えもんおかわり!」

「はいはい。あむっ…ん〜!ホントにジェドのドラ焼きは最高だね!」

「ありがとう!そう言ってもらえて嬉しいよ!」


今日は、ロボット学校時代の友達のジェドがドラえもんズのためにドラ焼きを持って来ていた。
ジェドのドラ焼きの味にドラえもんズは皆満足していた。


「ところで、王とエルはいないのかい?さっきから姿が見えないけど」

「あの二人は無駄な元気を使って戯れてんだよ」

「戯れてる?」

「いつものことだから」


えもんは苦笑いを浮かべドラ焼きをかじった。ジェドはとりあえず納得し、自身のドラ焼きに生クリームを詰めていた。

−−−−−


「はぁ…はぁ、やりますね」

「お前も…な…」


よほどの死闘を繰り広げたのか、王もエルもボロボロだ。
周りもグチャグチャで見るも無残な光景だった。


「そういえば、今日は皆さんの姿がありませんね」

「あぁ、いつもならキッドかリニョ辺りが来るんだけど………な」

「………エル…今何か思い出しました?」

「王も思い出したか?確か今日は…」

「「ジェドがドラ焼きを持って来る日!?
忘れてた/ました!!」」


二人は走り出した。今の身体のどこに体力が残っているのか、と問いたいほどに全速力で。

バンッ!

「「ドラ焼き!!」」

勢いよく扉を開け、叫んだ二人。だがそこには誰もいなかった。


「遅かった…!」

「もう少し、早く気付いてりゃ!」


影を背負い、画になりそうな物言いだが、なんとも残念な光景であった。


「王、エル、遅かったでアルな」

「え…」

「メッド?」


後ろからの声に振り向くと、入口にメッドが立っていた。

「お主達の分のドラ焼き、残ってるでアルよ」

微笑むメッドに二人は抱き着いた。


「あ、ありがとうございます!」

「お前やっぱいい奴だぜ!俺、お前の息子で良かったぜ!」

「我輩、こんな大きな子供を持った覚えはないでアール」


その後、王とエルはドラ焼きを平らげ、またエネルギー消費のために死闘を繰り返すのであった。







甘さは控えめに

時にはスパイスをきかせて。





おまけ

「メッドってなんだかんだで二人に甘いよね」

「そうでアルか?我輩、今までにお主よりも甘やかした者はいないでアール」

「そうじゃなきゃダメだよ。メッドの一番は僕だもんね!」

「そうでアルな」


END

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