「はぁ…っはぁ……」


練習に身が入らない。いつもと同じメニューなのに息が上がる。
気分も晴れなくて、なかなか答えが出ない自分に凄くイライラする。

「いっそ…言ったら楽になるのか…」

そうだ、ウダウダ悩む俺はもういなくなった。
答えなんか、最初っから出てた。分かってるじゃないか。

「俺の答え…」

俺は走り出す。運良く監督は出掛けていて、他のチームメイトも休憩時間でバラけていた。
鬼道がこっちを見ていた気がしたけど、今は気にとめる余裕はない。
目指すは、いつも嫌味ばかり言って人を遠ざけてる嫌われ者。でもホントは不器用なだけで、人に構ってほしくて突っ掛かってくる。寂しがり屋な可愛い、好きだと思われる奴の所。

−−−−−−−−

「はぁっ…はぁ、何処にいるんだよっ」

グラウンドも水道もみんな探した。なのになんでいないんだよ。

「もう一回グラウンドを探してみるか」

グラウンドに行くのに部室の角を曲がろうとしたら…


ドンッ!


「った…すまない、大丈『テメェ!目ん玉付いてんのか?!あーん?!』っ、ふ、不動!?」

「! なんだ、風丸くんか。つか、人のこと見てバケモンでも見たような顔すんの失礼じゃねーの?」

「あ、あぁすまない……っふ、不動!俺、お前に言いたいことがあるんだ!」


フラれてもかまわない。今の自分の気持ちを知ってほしい。


「ちょっと待てよ。俺もお前に言いたいことがあるんだよ」

「そんなの俺の後でいいだろ!邪魔をするな!」

「邪魔だと?!俺のなんか一言で終わるんだから言わせろよ!
俺はお前がっ」


チュッ…


「…っ!?」

不動が言葉を止めそうになかった。だから言葉を出せなくした。所謂キス。
何が起こったか分からなかった不動も、キスされた事を理解して顔が段々赤く染まった。
その顔が堪らなく可愛くて、思わず顔が緩んだ。


「なっ何してんだよテメェは!?!」

「何って…キスをしたつもりなんだが」

「しれっと言うな!」

「不動が俺の話を聞かないのが悪いんだ………好きなんだ。お前の事が」

「……は?」

「だから、好きなんだ…不動のことが」


時間がやけにゆっくりに感じて、心臓がうるさい。しばらくして、顔の赤みをほんのり残して不動が口を開いた。


「嘘…じゃねぇんだな」

「そんな嘘は付かない。付いたところで何の損得もないじゃないか」

「……それもそうだな」


俺は元々嘘が苦手だ。流石に円堂ほどではないが、付いてもすぐにバレる。


「で、そろそろ聞いてもいいか?」

「? 何をだよ」

「何をって…告白の答えだ」


不動の答え…


「そんなん、言わなきゃわかんねぇ?」

いつもの意地の悪い笑みじゃない。少し優しげな笑顔を浮かべた不動の唇が、俺の唇に触れた。






言うのは俺から

でも、同意のキスは君から。


END

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もう、誰これ状態…
不動ちゃんがキャラ崩壊の乙男だ…
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