「どうしてお前を好きにならなかったんだろうな…」


円堂の背中見ながら呟く風丸。そんな風丸見てると、なんかいてぇ…
肌が白いのはよく言われるが、俺も一応は健康体だ。なのに……いてぇ…
強いて言えば左胸。針かなんかで刺されたみたいなチクッてした痛み。
なんて言えばいいのか分からない、もどかしい…


「…っ!なんなんだよっ…なんで、なんで俺がアイツなんかのことでこんなにイラつかなきゃなんねぇんだよ!?」


そうだ、そもそも俺はなんでアイツのことなんて考えてんだよ。考えなかったらこんな風にはならねぇじゃねぇか。


「はぁ…」

「貴様が溜め息を付くなんて、随分と珍しいこともあるものだな」

「っ!…鬼道ちゃん…」

「なにかあったのか?イツモの貴様らしくないぞ」

「…大したことじゃねぇ『風丸のことか』なっ!?」


なっ、なんでわかったんだよ?!エスパーか?!読心術か?!


「残念だが、そんなものは使えない。全部口に出ていた」

「っ!」


失態だっ。俺は何を口走ってたんだ。恥ずい、とかそんなレベルじゃねぇぞ!!


「(可愛い奴め)
で、どうなんだ?貴様の気持ちは」

「あぁ?」


俺の…気持ち…


「んなもん……よくわかんねぇよ…
顔合わせたら口が先に動いて、嫌味しか言えねぇ。けど、他の奴と一緒にいるの見るとイライラするし、なんかモヤモヤするって言うか…」

「………不動、そんなに風丸が好きなのか」

「………は?」


俺が、風丸を……好き…?


「なっ、なな何言ってんだよ!俺があんな女顔、好き…な、わけ……」

『好きなわけない』その一言が言い切れない。


「確かに、お前にそういった類の話は難しいだろう。
だが、これは自分でも気付かぬうちに起こりうる事だ。今の貴様のようにな」

「鬼道ちゃん…」

「正直に言おう。俺は貴様が好きだ。
しかし、貴様の気持ちがハッキリしている以上、それを邪魔する気はない」

「き、ど……っ、なんか、よくわかんねぇけどスッキリした。
……礼は言わねぇぜ」

鬼道ちゃんの告白は正直嬉しかった。それと礼の意味を込めて、耳に噛み付いた。
真っ赤なゴーグルドレッドを残して俺は走った。口煩くて女顔で、俺に余裕を無くさせるアイツの所へ。


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