「やっぱり女の子はいいね〜♪
今日は誰と遊ぼっかな〜♪」

そんなことを考えながら歩いてたら…


「すんません、ちぃと考え事してたもんで」

「んだと!謝るだけで済むと思ってんのかゴラァ!」


俺の進行方向で不良がヤバい雰囲気だった。
アンラッキー…って、相手中学生?

「調子こいてんじゃねぇぞ!」

高校生っぽい奴が殴り掛かろうとした時、咄嗟に手に持っていた扇子を投げた。

「よっ!」 バシッ!

ラッキー♪見事にクリーンヒット♪

「ってぇぇ!テメェ…何しやがる?!」

あ、なんか怒らしちゃったっぽい?
物凄い勢いでこっちに走って来るんですけど。
さすがにヤバいって思ってたら…

ガシッ


「えっ?」

「何してんねん!?走れ!」


絡まれていた中学生の方に腕を引かれて、そのまま走った。
こんな時に不謹慎かもしれないけど、俺の腕を引く手が凄く柔らかくて女の子みたいだった。



「はぁ…っ、ここまでくれば平気や…ろ」

どれだけ走っただろうか。
俺達は裏道を抜け、今は人通りのない公園に来ていた。


「アンタ、なんで扇子なんか投げたん?」

「え?手に持ってたから」

「そう言う意味やあらへんのやけど……まぁえぇわ、さっきは助けてくれはっておおきに」

「いや、扇子を持ってたのがラッキーだっ……!」

「どないしはったん?」

「い、いや、なんでも無いよ♪」


さっきは逃げることに必死で、相手の顔の確認なんかしてる暇なかったけど、今改めて見たら想像以上だった。
今まで会った女の子なんて比じゃ無いんじゃないかってぐらい。
俺がそこまで思うなんて、自分でも信じられない。


「アンタ、名前は?」

「俺?」

「他に誰がおんねん(苦笑」


まぁ俺しかいないけどさ、イキナリ聞かれたら驚くもんでしょ。


「俺は千石清純、山吹中3年でテニス部だよ」

「なんや、アンタもテニス部やったんか」

「ってことは君もテニス部なの?」

「おん、四天宝寺中3年テニス部副部長、小石川健二郎や。
よろしゅう」


もうこれはラッキーどころの話じゃないよ!
同じテニス部なら練習試合や合宿で会えるじゃないか!
でも…なんで今まで会ったことが無かったんだろ?


「俺、君のこと見るの初めてなんだけど…今まで合宿とかに参加したことって…」

「あぁ…俺合宿前とかはよう体調崩してな、行かれへんねん」


見た目はしっかりしてそうだけど、意外にひ弱なんだね。
そんなとこも可愛いな〜♪
守ってあげたくなるって感じかな。


「ねぇ、えっと…小石川君、今ヒマかな?」

「今?ヒマやけど」


ってことは…チャンス!


「今から俺とデートしよ♪」

「おん………ん?…Σデート!?」


アハハ♪驚いてる驚いてる♪うーん初だねぇ。
ますます可愛い♪


「そっ、デート♪」

「デートって…そら女と行くもんやろ…
千石かっこえぇし、彼女おるんとちゃうの?」

「彼女ねぇ…生憎今は絶賛フリーなんだよねぇ。
だから小石川君を誘ってるの…って…俺に何かついてる?」

「………(ジーッ)」


気がついたら、小石川君がじっとこっちを見てた。


「いや、千石って俺のこぃ……親友に似てる気がしてな。
見た目とかやなくて、性格的な部分で」

なんか言いかけたけど気のせいかな。
親友ってことはチームメいトかな?
じっと見られてるから、俺も自然と小石川君を見ることになる。
やっぱり可愛い…睫毛が長くて、唇も綺麗な桜色……キスしたら、どんな感じかな。

「!…千石?」

無意識に小石川君の顔に手を伸ばして、自分の方に引き寄せてた。

「ちょっ、!」

押しのけて来る腕の力が凄く非力に感じる。

「ゃっ…くらっ…!」

唇までの距離が後少しまで迫った時…

ガッ!

「Σっ!?」

小石川君の後方から手が伸びて来て、俺から小石川君の身体を離して、小石川君にキスをした。


「んっ…!蔵っ…」

「はっ…はぁ!」


息を切らして小石川君を支える蔵と呼ばれた人物。
彼は四天宝寺の部長の白石君じゃないか。


「オイお前」

「俺のこと?」


なんかメチャクチャ睨まれてるなぁ。

「他に誰がおんねん…健二郎に何しようとしてんねん」

なんか少し前にも同じやり取りしたような……まぁそれはいっか。


「何って、キスだけど?」

「っ!人の大事な恋人に手ぇ出すな!」


そういうことか…おもしろい。


「小石川君は君の恋人だったんだね」

「だったらなんや」


きつく小石川君を抱きしめて、俺の視界から奪う白石君。
独占欲強くない?


「白石君」

「なんやねん」


うーん、完全に俺は敵視されちゃってるなぁ。
それにその殺気…何とかなんないかなぁ(苦笑


「白石君、俺に小石川君…くれない?」

『Σっ!?』


これには2人揃って目を見開いてるけど、勿論答えは…

「渡すわけないやろ!」

だよねぇ…でも少年よ、よく聞きたまえ。


「恋は障害が有るほど燃えるんだよ♪」

「んなもん知らん!俺は健二郎を渡す気なんてあらへん!」


力強く睨んで来る白石君。
せっかくの美人さんが台なしだなぁ。


「そんな白石君に一つアドバイスをあげるよ」

「なんや…」

「恋愛ってのは動いた奴が勝ちってこと♪」

「は?どういう意m『こういうことだよ』Σ!」

「えっ…」 チュッ


白石君の隙を見て、素早く駆け寄って小石川君の唇を奪った。
小石川君の唇は見た目通りに柔らかくて、歯をたてて噛み切ってしまいたい衝動に駆られる。


「ごちそうさま♪」

「!////」


俺が自分の唇を舐め取ると、顔を真っ赤に染める小石川君。
なんでそんなに誘い方が上手いの?


「っこのっ!」

「おっと♪」


殴り掛かって来る白石君を避けて距離をとる。
だって当たったら痛そうだし、俺ケンカとか苦手だし。

「まぁそう怒らずに♪
またそのうち会おう♪」

俺は二人に笑顔を向けて家まで全力ダッシュした。

「ちょっ!まっ…」

後ろで白石君の声が聞こえてたけど……今は直帰あるのみ!





数日後・四天宝寺中学

「白石…いつまでそうしてんのや?」

「いつまでって…ずぅ〜っと」


「なんや白石の奴、前にも増してにベッタリやな」

「なんか狡いっスわ」

「やんね…俺も健二郎にギュ〜ってしたか」

「でもあんだけガードが固いしなぁ」

「白石の奴、独占欲強かね」


周りが近寄れないほどに小石川にベッタリな白石が見られた。



数日後・山吹中

「それで〜赤くなった顔がまた可愛いんだよ♪」

「僕もぜひ会いたいです!」

「うん、今度皆で会いに行こうね♪」

「(俺も行ってみっか…)」


テニス部のメンバーに小石川の魅力を語る千石。
しかし、この時の千石は気付いていなかった。
自分でライバルを増やしていることに。







ラッキーDay

それは運命の出会いを果たした記念日。


END

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