チッと舌打ちをして、ジンはホテルに入って早々にエアコンの温度を一気に下げた。ピピッと反応すると、静かにエアコンは口を開けて努力の見える音を立てながら冷風を吐き出す。
「汗吹かないと冷えるよ」
脱衣所からタオルを探し出して差し出すと、伸びた彼の手はタオルではなく私の手首を掴んだ。苛立ちをぶつけるように私の手を引きそのままベッドへと放られる。ベッドったって、痛いんですけど。
投げやりにも見える動作で上着を脱ぎシャツを脱ぐ。そもそもただでさえこのくそ暑いのになんで上着まで着込んでるのか。甚だ疑問だが、じゃあジンが半袖にハーフパンツなんて履いていたらそれこそどうかしたんだと思うので、そこは見逃そうと決める。鬱陶しそうに髪を払ったジンと目が合う。
「結ったら?」
「黙れ」
彼はひとの提案を一蹴して私に覆い被さると、私の顎を捕まえて唇を塞いだ。火照った肌が触れ、熱い息が漏れる。
「、暑いんじゃなかったの」
「脱げ」
「私の話じゃ、ちょっ」
胸倉を掴まれたと思ったら、一気にシャツの胸元が開かれる。ブチブチッ、と嫌な音がした。お気に入りのシャツだったのに、どうしてボタンを外す手間くらいかけられないのか。シーツの上にボタンが転がる。べろりと彼の舌が胸元を這う。
「や、汗かいてるから!」
「うるせえ」
「シャワー浴びさせて」
「待てるか」
剥ぐように脱がせたシャツをぐるりと両手首に巻かれ、脚はのしかかる彼に体で抑えられて上手く身動きが取れない。これはもう止まらないやつだ。
「折角の夏だ。冷めるなよ」
暑いって嘆いたのはそっちのくせに、と思いながら、笑う口元に噛み付くようにキスをした。



back