寝起きの重たい体を起こして熱いシャワーを浴びる。上がって適当な服に着替え、リビングのソファで一服していると、寝室からのっそりと秀が現れた。ソファの背後から、私の首元にのっしりと腕を絡める。
「シャワー浴びたのか」
濡れたままの私の髪に顔を埋める。
「なぜ誘ってくれない…」
煙草を一口吸ってから、答える。
「私が誘ったことあった?」
「………ない」
言いながら、するりと胸元からシャツの中に手を入れようとする彼の手の甲をぎゅっとつねった。
「……誘ってくれ」
「さっさとシャワー浴びておいで」
ぼんやりとしたままの彼の頭を撫でる。
煙草、と呟いた彼に、喫いかけの煙草を差し出した。私の手からそのまま煙草を一口吸って、吐き、後ろからぐっと顎を持ち上げられ覗き込むように被さる彼の唇が私の唇に触れる。腕が解かれて、彼はのそのそと浴室へと歩いて行った。
何でもない朝だ。さあ、朝食を作らなきゃ。



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