追加資料の作成を頼まれたのが午後四時のことだった。引き受けざるを得ない案件だったのでもちろんすぐに作成を開始したが、わかってはいたもののすでに定時は過ぎている。同僚たちはバラバラと帰宅を始め、お先に、と声をかけていくのを少し煩わしく思う程度には焦ったいた。このままだと、約束に間に合わない。
人を待つのは苦にならないけれど、人を待たせるのは得意ではなかった。増して、彼を待たせるとなるとなおの事だ。明らかな怒りを向けられた事はないが、おそらく気が長い方ではないだろうし、大げさに言えば命の危険に関わる気がする。
「みょうじ」
ため息ひとつ吐く時間すら惜しい、と黙々とキーボードを打ち続けていると、不意に呼ばれて振り返った。私に資料作成を頼んだ上司だ。
「その資料、締め切りが伸びたから俺が引き継ぐよ。悪いな」
「え、えーと、伸びたなら明日にでも私が」
「いや、俺が指名されちゃってね。作成者には君の名前も残しておくから」
そういう問題でもないのだが、約束の時間が迫っているのでこれ以上食い下がるのも時間が惜しい。
「それじゃあ、お願いします」
すぐにUSBに保存して、上司に手渡す。失礼のない程度に急いでデスクを片付け、上司とまだ仕事をしている同僚たちに声をかけて部屋を出た。急いでいる時に限って、エレベーターが遠い。点灯するフロアナンバーを見つめながらエレベーターを待つ。
「お急ぎかな」
いつの間にか老紳士が隣に立っている。初めて会う人だが、見覚えがある。
「…、会長」
「おや、私の顔を覚えていますか」
「もちろんです」
会社のパンフレットと社報の顔写真でしか見たことはないが、品のいい老紳士だというイメージは残っている。何年も前からほとんどご隠居の身だと聞いていたが、社内で見たのは初めてだった。
「下に車を待たせてあるから、お使いなさい」
「いえ、そんな」
「むしろ使って欲しいんだよ」
「はあ。でも、会長もお帰りになるんですよね」
「私のことは構わんでくれ。この年で、もう急ぐこともない」
エレベーターが到着する。揃ってエレベーターに乗り込んだ。
どうしようか。言葉に甘えるのは簡単だが、相手は自分の勤めるそこそこ大きな企業の会長だ。試される覚えもないが、抵抗はある。
「大切な予定があるんじゃないのかね」
大切な予定、と言われるとどうなんだろう。相手は果たして約束の場所にいるのかすら怪しい。それでも私は約束の場所に約束した時間に間に合わなければと焦っている。そういえば、仕事よりも優先して慌てることは久しぶりのような気がする。
「…私、別にタクシーを呼んでいるんです」
「もう来ているのかね」
「いえ、後十分ほどかかると思います」
エレベーターが一階へ到着する。二人、エレベーターを降りる。
「もしご迷惑でなければ、私の呼んだタクシーをお使いください」
老紳士は少し驚いた顔をしてから、にっこりと微笑んだ。
「そうだな、久しぶりにタクシーに乗ってみるのも悪くないかもしれんなあ」
しまった。会長ともあろう人だから、運転手つきの専用車が普通だったかもしれない。タクシーに乗せたら危険だろうか。そして私はまさか会長の専用車に乗ろうとしているんだろうか。
「君は何も気にしなくてよろしい。ほれ、あの車だよ」
顔に出ていたのか、会長はそう有無を言わさぬ笑顔で微笑んで、正面玄関のど真ん前に停まる車を顎で指した。どうやら断る方が失礼にあたるようだ。
「お気遣い痛み入ります。ありがとうございます」
私は深々と頭を下げて、指示された車へと急いだ。車はドアを開けてスタンバイしている。乗り込む前にもう一度会長に頭を下げた。

車が停まったのは、先月オープンしたばかりの会員制ホテルだった。三階までは一般客向けの商業施設になっているが、そうは言ってもハイブランド揃いで富裕層向けであるのは確実だ。住所だけを教えられていた私は、ホテルの前に降ろされて呆然としていた。ちょっと良い店くらいなら接待やなんかで使ったことはあるが、こんなラグジュアリー空間に立ち入ったことはない。このホテルで食事ができるのは確か、高層階のレストランだけだった気がするけれど、五階より上は会員専用だったはず。
ひとまず、ホテル用のインフォメーションへ向かうが彼の姿はなく、戸惑いながらスタッフに声をかける。
「すみません、」
「みょうじなまえ様ですね。お待ちしておりました」
こちらが尋ねる前に、受付スタッフの人は私の顔を見て名前を確認し、頭を下げた。何がどうなっているのか、彼女はにっこりと微笑んで私を先導した。エレベーターへ乗り込み、五階へ向かう。降ろされたさらに先の部屋に案内された。
「こちらのドレスにお着替え下さい」
「え」
「その後、メイクとヘアメイクをさせて頂きます」
「どなたかとお間違えじゃないですか?」
「いいえ、確かにみょうじ様と承っております」
そっと差し出されたカードを受け取り開くと、従え、とだけ書かれていて確かにジンとサインがある。
「19時でお約束かとは思いますが、お着替えの時間を考慮されてのお約束とのことですので、ご安心下さい。そのままの服装ですとレストランにご案内出来かねますので、どうぞお支度をよろしくお願いいたします」
ものすごく丁寧な脅迫である。この後で多額の代金を請求されたらどうしようかと思いながら、ジンへの連絡手段もなければ支度しないと本人にも会えない。
「お手伝いは私共がさせて頂きます」
全員女性のスタッフは一様に完璧な笑顔をこちらに向ける。女性って、こういうときとても強い。
「…よろしくお願いします」
心の中でため息をついて、私は頭を下げた。

案内されたのは、予想通り上層階のレストランだった。しかも、その中でも数の限られる個室の席だ。個室と言っても余白は広く、壁の一面はガラス張り。宝石に例えられそうな夜景がよく見える。
彼はいつものハットやコートを脱ぎ、白いシャツに黒のベストと細身のパンツ姿で頬杖をついていた。どうぞ、と案内に促され部屋へ入ると、彼が振り向く。
「馬子にも衣装だな」
彼は口元だけで静かに笑った。
私が着せられているのは、デコルテラインがレースになっているマーメイドドレスだ。深くスリットが入っているため歩きにくくはないが、太ももを出すことなんて十代の頃以来で別の意味で歩きにくい。二の腕を出すのだって抵抗がある。なんならヒールだって履きなれない。それでもヘアメイクもメイクも完璧にしてくれたので、自分が自分でないようだった。
「どういうことなの」
彼は席を立ち、私の手を取り席へと誘導すると、椅子を引いて私を座らせた。いつも口も素行も悪いくせに、こういうことができるのかと少し感心した。実はお金持ちのボンボンなんだろうか。それならあんなところに落ちていることはないか。どうだろう。
「約束していただろう」
「食事の約束はしましたけど、こんな良いところでこんな良い格好をしてだなんて」
「そりゃラッキーだったな」
「幸運かどうかは私が決める問題です」
「じゃあ不運か」
「そうは言ってません」
貴重な体験だったとは思うが、身の丈に合っていないことが恥ずかしいのだ。彼にはきっとわからない。
「慣れろ」
慣れるわけがない。こんな経験は一生に一度で十分だ。まさか今後だってこんなことあるわけが。
「まさか、今後もこんな場所に連れて…」
「さあな」
彼は無表情に返し、注がれたグラスをこちらに掲げた。これ以上のこの話題は無意味だ。彼は、答えないことには本当に答えてくれない。私は渋々自分のグラスを持ち上げ、彼のそれに軽く合わせた。
「美味しい…」
食事に合わせたワインも、順々に運ばれてくる食事も、彼が美味い店と称しただけあってか美味しかった。さすが超高級店。会計を想像すると恐ろしいが、ここでお金の話を出すのは野暮だろう。こんなホテルの会員で、かつこんな場所に慣れているであろう彼が不思議だった。こんな人に昨日、自分の超庶民的手料理を振る舞っただなんて恐ろしい。それどころか、まるで当たり前のように我が家に泊まった彼をソファに寝かせてしまった。本人が言い出したことだが、まずかった気がする。
「昨日はちゃんと眠れました?」
「ああ」
私が眠る頃には、電気は消えていたもののまだ起きている様子だった。そして、目が覚めたらもう彼の姿はなかったので、少し心配していた。
「猫はどうなった」
「ギン?」
彼が猫のことを気にかけているのは意外だった。
「やっぱり後ろ足脱臼してたみたいです。それから脱水症状もあるって。はめ直して、しばらく安静にしないといけないから、ひとまず3日入院です」
私は昼間どうしても仕事で家を空けることになるし、まだうちにも慣れていないうちだからと入院させることにした。もし迷い猫だった場合、その間に飼い主が見つかるなら下手にうちにいつく前の方がいいだろうという時間稼ぎでもある。
「じゃあ、今日は帰らなくてもかまわないな」
どうしてそういう発想になるのか。昨日ギンのために食事を断ったのを根に持っているのかも知れない。
「明日も仕事なのでそれは無理です」
「フン」
鼻で笑われた。今日は業務時間外の約束だからいろんなところに甘えて急いで来たが、まさか仕事をサボって彼に合わせるつまりはない。仕事を軽視するタイプのボンボンか、と疑っていると、そっと女性スタッフに声を掛けられる。
「お電話です」
着替える際に預けた私の携帯を差し出される。上司からの直電だ。嫌な予感がするが、書類作成を甘んじてお願いした後だ、出ないわけにはいかない。
「…はい」
『ああ、夜分にすまないな。明日なんだが、急で悪いが公休になったから』
「は。え、会社がですか?」
『いや、お前だけだよ』
「なんでですか?」
『さあ、なんか上の方の配慮だとかで。ここんとこ残業しすぎたせいじゃないか?俺も不思議なんだけど、まあ三連休になるし楽しめよ』
「ちょっ」
『じゃ、伝えたからな』
一方的に通話が切られる。私は再び携帯を回収しに来た女性に渋々携帯をまた預け、それからジンを見た。黙々と食事を進めている。
「……知ってたんですか?」
彼は答えない。しかし、さっきの笑みからは知っていたとしか思えない。でもどうして。彼への謎が深まるばかりだ。
関わって来た人の素性など基本的にはどうだって良いけれど、ここまで干渉されたら話は別だ。何者でも構わないが、私の平穏を壊されるのは困る。ただ、何者かと聞いたところで、さあなの一言で済まされてしまうであろうこともわかる。
私は必死に、この週末を明けてはいけない案件がなかったか考える。考えるが、これが驚くことに思い当たらない。関わった案件は既に片が付いているか、もしくは今日のように他の人に振っていて、思えば綺麗に片付いていた。
「ふ、」
私はつい笑みをもらす。もしかしたら全て仕組まれていたのか、と思い当たったのだ。どんな権限を持てばそんなことが出来るのかわからないが、この日のために会社の上層部に密かに指示を出して私の仕事を違和感なく上手く回していたとしたら。入社以来一度も見たことのない会長とたまたま出くわし、車をお借りしたことも、全部彼の掌の上で転がされたのだとしたら。
ゾッとするよりも、そこまでしたという思い切りの良さがおかしかった。とても回りくどい。とてつもなく素直じゃない。
「なんだ」
「いえ、くだらない想像をしました。もし想像通りなら、あなたがとても可愛い人に思えて」
彼は少しだけ目を見張った。
「すみません。可愛いは失礼でしたね」
言いながらも口元が緩む。彼は納得がいかないと言う顔をしながら、食事を続けた。
食事を済ませると、そのままバーへと移動した。こちらもまた煌びやかで、ジャズは生演奏、客たちは皆着飾っている。なるほど、私の持っている服で一張羅を着て来たところで入店拒否されそうな場所だ。
入って早々、ジンが外国人に声を掛けられた。カウンターにいろ、とそっと指示され、すぐにジンは彼と話し込んでいる。英語だ。すごい。
文系にも関わらず、習ったことのほとんどを忘れてしまっている私はそれだけでだいぶ彼を見直した。あの髪色といい目の色といい、ハーフなんだろうか。日本語だとあんなに口が悪いのに、英語で話す彼はだいぶジェントルマンに見えた。いつも季節感のない黒づくめで野暮ったく見えるが、こんな場所が似合う彼を眺めているとますます自分がこの場にそぐわないように思える。着飾ったところで庶民OLには変わりない。
私はカウンターにひとり座り、ぼんやりと彼の様子を眺める。すごい人とすごい所に来てしまったようだ。
「何になさいますか」
「あ、あまりお酒に詳しくないので、お任せとか大丈夫ですか?」
「ええ、味のリクエストはございますか?」
「柑橘系でなにか」
炭酸もなしで、とお願いすると、バーテンダーはかしこまりました、と微笑み、考える様子もなく手元を動かす。食事中に美味しさに気を取られて少し飲み過ぎてしまったようで本当はノンアルコールを頼みたかったけれど、明日は仕事がなくもう二度と来ない場所だろうと思うと、気が緩んだ。
「こういう場所、慣れない?」
隣へ寄ってきた男が、そう柔らかに尋ねる。彼も注文をしに来たようだ。
「ええ、なかなか機会もないので…」
「じゃあそんな君に出会えた僕はラッキーだね」
三十代前半だろうか。きっとこんな場所には慣れているであろう彼は、ウィンクしてにっこりと笑った。綺麗に笑う人だ。
「そのドレス、似合ってるよ。清楚だけど大胆だ」
言われて、座ったことによってスリットから裾が流れて片足が露わになっているのに気付き、さっと隠す。
「こ、れは、人に選んでもらって」
「フゥン。それって男?」
「え。えー、と」
その響きは、恋人かと聞かれているようで少し抵抗があった。そうか、そう思われても仕方のない状況なのか。
「その男に妬けちゃうなあ。こんな美人に自分の好みのドレス着せて、ほっといちゃうなんて」
「はあ。彼好みかはわかりませんけど」
ドレスを含め身につけているほぼ全てはあの衣装ルームでプロに選んでもらったものだ。ドレスだけは最初から決まっていたけれど、それを彼が選んだかどうかも定かではない。
「お待たせしました」
バーテンダーが私と隣の彼の分を差し出した。彼が私の分も取って、手渡してくれる。
「あ、ありがとうございます」
「ではこの出会いに」
彼はカチン、と私のグラスに自分のをぶつけた。彼がグラスに口をつけるのを見習うように、自分のグラスに口をつけようとした、その瞬間。
「…ジン、さん」
グラスが取り上げられた。彼は、無言でカウンターにそのグラスを置くと、冷たい目で男をギロリと睨んだ。
「つ、連れが来たみたいだね、じゃあ…」
男は、さっきまでの自信満々な態度が嘘のように挙動不審になり逃げるように去って行った。
「どうしたんですか?」
「出るぞ」
彼は空気を緊張させたまま、私の手を取ってエレベータへと向かう。来たばかりなのに、何か気に障ることでもあったんだろうか。
「ジンさん」
「ジンでいい」
エレベーターへと乗ると、着替えをした五階でもホテルの出入口の一階でもない階の番号を押した。
「……何かあったんですか?」
彼は口を開かない。もしかして私が何かしたんだろうか。一緒に来ているのに、他の男と乾杯するのはマナー違反とか。
わからないな、と諦めたところで丁度エレベーターの扉が開いた。ここは客室の階のようだ。ジンはエレベーターを降り、まっすぐ進んでいく。フロアの広さに対して、扉が少ない。エレベーターで下ったと言っても高層階には変わりないので、それなりのランクの客室だろうか。それとも、そもそも高級ホテルだからこれが普通なんだろうか。どれもこれもが初めて過ぎて疑問は尽きない。
ジンは一番奥の扉の前で立ち止まり、カードキーで扉を開けた。一緒に入るのを戸惑っていると、入れ、と低い声で言われ、大人しく踏み入れる。
予想よりだいぶ広い。軽くパーティーの出来る広さだ。リビングであろうスペースの一面はガラス張りで、その向こうにはバーベキューでも出来そうなベランダが付いている。
「すごい」
部屋をうろつきながら見て回る私をよそに、彼はリビングの広いソファにどかりと座って煙草を吸っている。もしかして、今日彼はここに泊まるんだろうか。
一通り部屋を見回った後、私はソファに近付き声をかける。
「お隣いいですか」
「勝手にしろ」
機嫌は直らないようだ。言われた通り、私は勝手に彼の隣に座った。少しだけ体を彼の方へ向ける。
「私何かしくじりましたか?」
彼の顔を覗き込むように見る。チラリと、視線だけがこちらに向けられた。フゥっと煙を吐き、煙草を灰皿に押し付ける。
次の瞬間、腰を引っ張られて態勢を崩した。背中にソファの座面が触れている。視界には逆光のジンが映り、彼の肩から流れるように垂れた銀色の髪が私の頬に触れる。
「もっと人を疑え」
普段の不服そうな顔ではなく、怒りが滲んだ顔だった。鋭い視線に射られる。初めて出会った頃のそれとも少し違う。彼を見上げながら、私はどこか冷静だった。
「…疑っていたらここにいません」
そもそも、人を疑う人間だったらまずジンとも出会っていない。出会っていたとしても、私は逃げ帰っていただろう。関わり合いになどならなかった。
「犯されても文句は言えねえな」
ジンの手が、腰を撫でる。
「そ、れは困ります」
「じゃあ何故抵抗しない」
「話が通じる相手だと思ってるからです」
それくらいの信用すら相手に持ってはいけないだろうか。もしそれが間違っているなら、私の見る目がないだけの話だから、確かに自業自得かも知れないけれど、彼は口は悪いが今のところ私に対して暴力的ではない。それは上っ面だろうか。
「全部信用してるわけじゃないです。でも、全部を疑うのは無理です」
どうしてと言われたら、明確に答えられないけれど。私はそういう人間だ。誰彼構わず疑って生きていけるほど、心が強くないだけだ。
チ、と彼は舌打ちをして、体を起こした。視界が明るくなる。天井の照明も豪華だな、なんてことを思いながら、私も体を起こした。
「さっきの男、お前の分のグラスにクスリを入れてたぜ」
「…薬、…って何のですか」
「睡眠薬か痺れ薬かなんかだろ」
なるほど。それで強制的にお持ち帰りする手口か。漫画や映画ではよく目にする方法だけれど、実際にあるものなんだなと感心する。そして見抜く彼も彼だ。世の中恐ろしい。だから、ジンは忠告したのか。
「…私が無防備で、危険な目に合うところだったから、怒ってるんですか?」
彼はそっぽを向いて、また煙草に火をつけた。まただんまりだ。
私はその顔をじっと見つめる。
「何だ」
「ありがとうございます」
痺れを切らしてこちらを睨んだ彼にそう笑いかけると、フン、と鼻であしらわれてしまった。ああこの仕草は照れているんだ、と新しい発見ができて、嬉しくて私はひっそりとまた笑ってしまった。




(煌めく雨上がりの夜だった)



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