こい、恋か……
レモンのことを考えるだけでドキドキしてしまう。
なんだかオレらしくなくなるんだ。
レモンともっと一緒にいて、色んな話して聞きたい。
もしレモンが黄の国じゃなく、この青の国の人だったら……
毎日とはいかなくても週に一回は身分を隠して、ただのレッドとして通いつめてるかもな。
だって好きな人に会いたいって普通だろう?

一緒にいてドキドキするのが恋なら、多分これは二回目だ。
いわゆる初恋ってのは、小さいときに黄の国で出会ったあまり歳の変わらない子。
どうしてこう黄の国の人ばかり好きになるんだろうか。
(タイプの人が多いのか?)







黄の国を初めて訪問したのは、オレが八歳のときだった。
それは生まれた時から婚約者と決まっていたイエロー王女に、あいさつに行くためだった。
父上に連れられて、黄の国国王と面会した。
オレより少し幼いイエロー王女を紹介され、父上たちは話があるというので中庭へ移動した。
薔薇や色とりどりの花と自然に囲まれた美しい中庭だった。
横を歩くイエロー王女は人見知りなのか、初対面というのもあってなかなか言葉を発しない。
オレから話し掛けると、少しずつ言葉の掛け合いが出来るようになった。

好きなもの
嫌いなもの
苦手なこと
趣味や得意なこと

たくさんイエロー王女から聞いた。
オレがバトルを好きなことを話したら、バトルはおろか自分のポケモンも持っていないらしい。
そういえばポケモンの卵が一つ余ってたから、それを彼女にプレゼントしよう。
喜んでくれるかな?
イエローといっぱい話して、彼女はとても優しい人ということを知った。
それからぼかしているけど、大切な人がいるらしいことも。
婚約者なんて国同士で決めたものだしな。
好きな人がいても仕方ない。
オレは最初顔も知らないやつと結婚なんて嫌だった。
でもこうしてイエローと会って、彼女とならこのまま婚約者でいるのもいい。
そう思えた。
オレはイエローに、大切な人がどんな人なのかちょっと聞いてみた。
関わるとすれば貴族の人かな。
もしかして使用人かもしれない。


「あ、えっと……今までずっと一緒にいるのが当たり前で、大好きな人、です」

「へえ、使用人か誰か?
オレも会ってみたいなあ」

「……でも、表に出ることは許されないから、多分会えないと思います…」

「表に出れない…?」


おいおいなんだそれ、怪しいな。
表に出ちゃいけないだなんて、まるで存在しちゃいけないみたいだろ。
知られるとまずい何かか……そんなやつが好きなのか?


「今日も一緒に遊んでいたらボクだけが呼ばれて。
行ってらっしゃい、って笑顔で……どうしてレモンは外に出たらダメなんだろう?
なんでお父様はレモンが嫌いなのかな。
レモンはボクの大切な……」


その会話は途中で途切れた。
イエローが中庭の奥で何かを見つけたのか走りだす。
オレもそのあとを歩いて追い掛けた。
レモン、か……
すごくイエローに大切にされてるんだな。
どんなやつかちょっと本気で会いたくなった。


「……っレモン!」

「イエロー。もう用事は終わったの?今日は遅かったね」

「違うよ、まだ……」

「おーいイエロー」

「あ、ごめんなさいレッドさん」

「……イエロー、その方は?」

「えっとね、レッドさんっていうんだ」

「もしかして……イエローの婚約者の……!」

「そうだよ。レッドさん、彼女がさっき話したレモンです」

「レッドだ、よろしくな」


レモンって……女の子かよ!
なんだてっきり男の子だと思ってた。
ああ、友達の意味での大切な人ね。
ちょっと期待してたんだけどな……イエローの好きな人。
けれどレモンはオレがイエローの婚約者だと知ると、さっと顔を青ざめた。










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