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- ナノ -

君の手

「…名前、寒い?」

二人でベッドに入って、眠る前。
彼は私を気遣っていつもそう言う。

ううん、平気だよ。
そう言っても彼は私のことを心配してくれる。

「…手が冷たいな」

ロイに手を取られて、ぎゅっと握られる。

「…冷え症なの。あんまり触ってるとロイも寒くなっちゃうよ」
「こうしてれば温まるだろ」

手を繋いで、指を絡めて。

「…寒くないの?」
「寒くないよ」
「…優しい」

ロイの手はあったかいなあ。体温なのか、ロイが私のことを思ってくれるからなのか。それともその両方かな?

そんな恥ずかしいことを真面目に考えてしまった。

ロイの手、あったかいよ。
そう言ったら、そんなことを言うのは名前だけだよ、と返された。

当たり前だよ、ロイの手を握っていいのは私だけだもん。
そうだな、と彼は笑う。

あったかいなあ、とまた呟いたら、そんなに?と彼は聞く。うん、そうだよ。

「あったかくて、優しくて、私の大好きな手」

だから泣かないで。
どうか、自分を責めないで。

あなたの手は、何かを奪うだけのものじゃない。

世界中の人があなたを責めても、私はあなたの味方でいるから。そんな自信が私にはあるから。

それは、傲慢な考えかもしれない。
自分勝手なのかもしれない。

でも、誰が何と言おうと、誰に何を言われても、私は彼の味方でいると決めている。

世界で一番大切なひとだから。


ささやくように名前を呼ばれて、私も小さく返事をした。
ぎゅっと握られた手からロイのぬくもりが伝わってくる。

あなたの手は、私に愛をくれる、大好きな手。


2023.2.2