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おまけ

「ねえ、名前から切ってよ〜俺から切るなんてできないしさあ」

ロイが執務室のドアを開けるとそこには浮かれ切ったハボックの声が響いていた。

「えーそんなこと言われても、…じゃあもう少し話しちゃおっか。大丈夫まだ始業前だから!」

執務室にはいつもの面々が揃っているが、ハボックに言及することはない。

「おい、なんだあれは」
「…ハボック少尉は彼女にモーニングコール中」

ブレダがぼそっとそれに返答した。
語尾にすべてハートマークが付いていそうなハボックの声。

「軍の回線で私的な電話をするな!」

すいませ〜んもう切りますから!と聞こえてきたが、ハボックはまだデレデレとしていた。


…まあ、仕方ないのか。
この二人が離れ離れになったのは自分のせいだということはロイもわかっている。

想像通りこの二人がくっついてくれてよかった、今までのどんな恋人よりちゃんと続いているし、何より幸せそうじゃないか、と思ってロイは安堵する。

どうやら自分の見立て通りだったようだ。彼女はいい子だし相性も良さそうだと思ったんだ。
何よりハボックを見てあんなに表情を輝かせているのを見たら、意地でも応援したくなるというものだ。

そう考えながらロイは自席で新聞を開く。

「…ハボックにまとまった休みでもやるか、今は落ち着いてるし」
「そうですね、調整しておきます」
「ありがとう、頼んだよ」

ロイとホークアイのその会話は、名前との電話に忙しいハボックには聞こえていなかった。


2020.9.30