なまえは、ハンジの追っかけだ。
変わり者が勢ぞろいのこの調査兵団でも指折りの変わり者に数えられる彼を追っかけているなまえもまた、指折りの変わり者の中の一人に数えられている。
なまえは、ハンジの顔が大好きだ。
許されるのならば、1日中だって見つめていられるという。彼の変態っぽい巨人フェチなところさえ大好きだというから周りは彼女を変わり者だと言う。
なまえは暇あれば彼にまとわりつき、彼に熱視線を送る。
けれど彼女から送られるその熱視線を、ハンジはあまり苦にしていないらしい。
尤も、彼はもともと他人にそうしたことをたしなめるタイプではないし、かと言って、なまえを特別気に入っているから許している、というわけでもなさそうだが。
「ねぇハンジさん、お願いがあるんですけど」
根つめて巨人のデータと睨めっこしていたハンジは、勤務時間後いつものように彼の研究室に入り浸っているなまえの言葉に顔を上げた。
なまえはハンジの直属の部下というわけではないので、そうでもしないと彼とこうして話をすることができない。
ハンジはこうして彼女がこの研究室に入り浸ることに、もうすっかり慣れきっている様だった。
「なぁに?なまえ」
「眼鏡取ってください」
「ええ、何で?」
「だって、もっとよくその美しいお顔を見たいんですよぉ・・・」
机に顎を乗せ、なまえは最大限のぶりっこをして、ハンジにおねだりをした。
「それはできないなぁ〜」
ハンジは笑うと頭の後ろで手を組み、椅子の背もたれにもたれかかった。
「何で何で!」
なまえを見てニヤリと笑うと、ハンジは辺りを見回して部下がいないことを確認してから、彼女にもっと近くに寄るように手招きした。
そして、彼女の耳に手を当てて、小さな声で囁く。
「だってね・・・可愛い女のコといる時にこの眼鏡を取ると、私は狼になってしまうんだよ。だから、なまえのことを食べちゃうかもしれない」
「!」
なまえはぱちくりとまばたきをすると、先程までの人懐っこい態度が嘘だったかのように硬直し、顔はみるみるうちに真っ赤になった。
「それでもいい?なまえ。それなら外してあげるよ・・・」
ハンジはそのまま、なまえの真っ赤な耳にキスをした。
見 せ て あ げ よ う か