兵長と守銭奴/8*R18


リヴァイは一瞬でガチャリとドアの鍵を回すと、それぞれの腕でなまえの腕を掴み、ドアに張り付けた。
不安を濃く映した彼女の瞳になど構わず、リヴァイはなまえにキスを迫る。
当然彼女は首を捻りそれを避けようとしたので、力強さの欠片もないなまえの身体に自身の身体を押しつけるようにして、リヴァイは彼女の耳に吸い付いた。
軽く音を立て少しずつ場所を変えながら、リヴァイはなまえの耳へ次々と口づける。
次第にそれには彼の舌も加わって、彼女の耳をなぞるようになった。
それがまた両腕を拘束して及んでいるのにも関わらず、荒々しいというよりは情熱的なものであるように感じられて、なまえは逆に戸惑った。
そんな風にされると、今こんなにも彼に嫌悪を感じているというのに、悲しいかなそれに、なまえの身体はぞくぞくと反応してしまう。
それに分かっていてか、リヴァイは耳から首筋へと、その対象を広げていった。
拒もうとする彼女から吐息が漏れ始めるのに、時間はかからなかった。

「――――は・・・っ、や、・・・めて、ください」

浴びせられる誘惑に頭をクラクラとさせながらも途切れ途切れに、それでも何とか、こんなところで一体何を考えてるんですか、と苦しそうになまえは訴えた。
リヴァイは何も答えない。
代わりに、言葉を話そうと開いた彼女の唇に、食い付くようにキスをした。
今度はなまえも、避けられなかった。
しっかりと唇を塞ぎ彼女の口の中へ侵入したリヴァイの舌は無遠慮に動き回る。
歯列をなぞり上顎を執拗に刺激してやると、とうとうなまえの口からは甘い声が漏れ始め、リヴァイに抑えつけられていた腕からも、固くしていた身体からも、力が抜けていった。
彼女の抵抗を物ともせず自分の思うまま舌を絡めて吸い、とうとう屈伏したらしい彼女に、リヴァイに突然沸いたなまえに対する歪な支配欲は、幾分か和らいだようにも思えた。
けれどリヴァイは、思うまま走らせ始めた衝動を止めようとはしない。
思う存分好き勝手した彼女の唇を解放すると、今度は貪るようになまえの細い首に再度口づけ、更に彼女の身体を甘く震わせた。
リヴァイは抵抗を諦めたらしいなまえの腕を解放すると、だらりと彼女の腕が落ちるより速く、その身体を持ち上げた。
驚いたなまえは思わずあっ、と声を出したが、身動ぐ前に先ほどまで彼女が掛けていたソファに下ろされると、リヴァイはそのまま彼女の膝を割り、なまえに覆い被さった。

「やっ・・・やめて、ください!」

リヴァイは彼女の耳の後ろへ唇を押し当てながらパンツに差し入れていたなまえのブラウスを引き上げだしたので、リヴァイはいよいよ行為に及ぶつもりなのだと、彼女は息を吹き返したように再度抵抗を始めた。
職務時間中、しかもこんな明るい時間にそういった“事”に及ぶのは、公人としても、一個人的にも、彼女にとってはどうしても耐えられないことだった。
どれだけなまえがじたばたともがいても、リヴァイは全く気にする素振りはない。
耳からうなじへと舌を這わせながら、彼女が必死にブラウスを押さえるならばボタンを外すまで、とその襟元に片手をやる。
そうなるともうなまえはどうしたらいいか分からなくなってしまって、気付いた時にはもう胸を隠していたそれを上へ押し上げられてしまうところだった。

「んん・・・っ、あ、」

こんなにも本気でやめてほしい、と思っているというのに、敏感なそこをリヴァイに舐められただけで、淫らな声を上げてしまう。
なまえは自己嫌悪をも感じながら、自分の目と口を一緒に覆った。
それでも彼女は弱々しくもやめてください、と訴える。

「――――聞こえねぇな」

リヴァイは押し上げた下着の下から現れた彼女の胸を両手で掴み、思う存分そこを舌で弄んだ。
バストラインをなぞれば彼女がぴくりと身体を動かし反応する。
勿体ぶって周りを舐めた後その先端を吸ってやると、今度はびくびくと反応した。
いつも彼女は本気で自分を拒もうとしているように見えるのに、こんなにも扇情的にすら感じる反応をする、その上、普段はこうやって乱れた姿とは正反対のところに身を置いているから不思議だ、と、リヴァイはなまえの身体に触れる度に思う。
ただ、今日に限っては、そう考えるような余裕は、彼には無かった。

胸から腹、下腹部へとリヴァイの手は動かされていく。
彼がどうしようとしているかは悲しい程に良く分かっていたので、なまえはパンツのボタンの部分を手で押さえた。

「本当に無理です、っ、あ、」

それに構わずリヴァイは彼女の片手を取り上げ、口では胸の先端に吸い付く。
彼女の抵抗がやや弱まったのに乗して自由な片手で簡単にボタンを外し、その中へ手を滑り込ませた。

「ひ、・・・ぅ、・・・!」

侵入してきた彼の指がぬるぬるといかにもスムーズに動かされるので、なまえは漏れ出る声を堪えようとしながらも、泣きたくなった。
無理は無い。だって、彼女は散々やめてだの何だのと言いながら、しっかりとそこは濡らしてしまっているのだから。
決して彼女の頭は、それを望んでいる訳では無いのに。

いつもならそこがすっかり彼を受け入れる状態になっていることを確認してほくそ笑むはずのリヴァイは、今日はお決まりの彼女をからかうような言葉も掛けない。
それよりも、指でそこを刺激しながら自分を拒みたいらしいなまえから甘い声を引き出すことだけを欲しているようだった。

身を襲う快感と恥ずかしさに苛まれながら、なまえはリヴァイの顔色を薄目で窺った。
どうやらいつもと調子が違うらしい彼が一体何を考えているのか、よく分からなかったからだった。
少し上気したリヴァイの顔は、しっかりと自分を見つめている。
それは、彼女の苦手な彼の顔をしていた。

「・・・・・・!!」

ず、と彼女の中に入ってきたリヴァイの何本かの指は、ぐちゅぐちゅと音を立てて前後に動かされる。
最初の刺激に声を失ったものの続けてリズムよく動かされるその指は、なまえの甘い声を誘う。
彼はなまえの胸に吸い付きながら下にもそうして刺激を与えるので、やがて彼女は自分の身体の感覚が少し浮いて、痺れていくように感じられた。
少しの甘ったるさを帯び始めた彼女の瞳に気付いてか、リヴァイはなまえのパンツを下着ごと下げようとする。
よく見れば、いつの間にかリヴァイのパンツは首尾良く下げられて、いきり立ったそれが姿を見せていた。

「―――――ちょ、ちょっと、リヴァ―――――」

面食らったなまえがそう叫び身を捩ろうとした時、突然、ドアがノックされた。

「リヴァイ兵長、入ります――――あれ?」

男性の声だ。
なまえにも、聞き覚えがあるような、無いような。
どちらにしろそれは兵士の声で、リヴァイの部下であるに違いなかった。
彼を拒もうとする叫びを飲み込んだなまえの身体は硬直して、一瞬でドアに向けられた目は白黒としている。
それをいい事に、リヴァイは彼女のパンツを下着ごとしっかりと下げて、もうそうしてしまいたくて仕方なかった彼自身を、そこへ深く差し入れた。

「――――――――!!!」

身構えるより早く与えられた快感に、びくびくとなまえの背が震える。
リヴァイは身悶える彼女の姿を満足げに見下ろした。

「中から声が聞こえたような気がしたんだけどな」

声の主はドアに鍵が掛かっているというのにまだ諦められないらしく、ガチャガチャと回らないドアノブを回そうとしているらしい。
そんなことはどこ吹く風で、むしろ、そこに誰かがいるからなのか、リヴァイはゆっくりと腰を動かす。
大きなその動きに、少しでも気を抜けば漏れ出てしまいそうな声を何とか堪える為に、なまえは必死両手で口を覆った。
無理です、と訴えるように必死に首を左右に振るが、リヴァイには聞き届けられない。
ガチャガチャと回されるドアノブの音が、妙に耳元で聞こえるように感じる。
それは彼女の羞恥心や不安感を煽って、ますますなまえを襲う快感を増幅させているようだった。

「さっき部屋に帰ってきたと思ったのになぁ、兵長」

そうつぶやくと、ドア一枚隔てたそこに立っていたらしい兵士は、カツカツと乾いた足音を立てて、そこを離れていったらしかった。
けれどそれはなまえを解放した訳では無い。
すっかり濡れそぼったそこにぎちぎちに挿れられているそれを、リヴァイもまたなまえと同じように色の帯びた吐息を吐きながら、今度は速く、動かし始めた。
リヴァイは二人が繋がっているそこをしっかりと眺める。
それは、なまえに対する不思議な支配欲を満たしていくようだった。

「っ、っ、っ、・・・!!」

彼に深く突かれる度、なまえは泣きそうに顔を歪ませながら、堪えきれない声を漏らす。
きっと、エルヴィンやルートヴィヒはさっきの部屋でまだ仕事の話をしているのだろう。
こんなに明るい時間に、しかも職務時間中に、こんな破廉恥なことをしてしまった。
しっかりと拒まなければいけないのに、結果的には結局また彼に流されてしまった。
それでも自分の身体はしっかりリヴァイから与えられる快感に悦んでいるじゃないか。
なまえは自己嫌悪に耐えきれず、彼への抵抗も忘れて両目を覆う。
すると、覆われて真っ暗だった視界は、すぐに明るくなった。
両目を覆っていた手を易々と取り上げたリヴァイは、現れた彼女の潤んだ瞳の中に入り込むように、じっとそれを見つめる。
間近にある、ほんのり色付いている彼の艶っぽい表情に、その言葉に、なまえは思わず、息を飲んだ。

「―――――なまえ。お前は今、俺だけを見てりゃいいんだ」

そのままその唇は、なまえの唇へ重ねられる。
性急に感じられたさっきのキスとは正反対に、甘く、ゆっくりと舌を絡められた後、解放された彼女の唇は、熱を帯びたリヴァイの顔の前にただまごついてしまう。
少し視線を泳がせてから、何とか言葉を押し出した。

「―――――あ・・・、」

何故だろう。
まともに彼を見られない。
それでもリヴァイはじっと彼女を見つめている。

「・・・い・・・、意味が、よく――――分かりません」

リヴァイは呆れたように、息をつくように、笑った。

「―――――お前は本当に頭の悪い女だ」

そう言うと彼は再び、甘い息を吐きながら、腰を深く、動かしだした。
その顔がとても穏やかな表情のようになまえの目には映ったので、リヴァイに与えられる快感に声を漏らしながらも、彼女は何故か胸が締め付けられたように苦しくなって、その感覚に、ただなまえは戸惑いを感じていた。


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