兵長と守銭奴/6*R18


言いようのない恐怖に激しく打っていたなまえの心臓は、今はもうリヴァイに対してだけ、その動悸を早めているかの様に思えた。
この気味の悪い部屋の湿った空気に二人の艶っぽい吐息を溶かし合いながら、深い口づけはまだ続いている。
戸惑い気味だったなまえの唇も、今は遠慮がちに、けれども確かに、彼の唇を求めていた。
さっきまでと同じように、稲妻は幾度も二人に鋭く差しては雷鳴を轟かせ、部屋を揺らす。
それでももう、なまえの目にはリヴァイしか映っていなかった。
リヴァイの唇が、舌が、彼女を抱くたくましい腕が、彼女を恐怖から遠ざけ、彼女の瞳を彼にだけ向けさせていた。
あれほど怯えていた雷鳴に襲われても、二人の間に立てられる官能的な水音とリヴァイの色を帯びた吐息だけが、彼女の耳を支配していた。
その時なまえはただ、自分が何か大きく妖しげな衝動に溺れていくような気がした。

自分の腕の中にあるなまえの柔らかな身体が彼から与えられる刺激に甘く震えるのが、思わずその口から漏れ出る甘い声が、リヴァイをますます昂ぶらせる。
この部屋に流れている気持ちの悪い空気や甘くて妖しげな匂いは、ひょっとしたら媚薬のようなものなのかもしれないとリヴァイは思った。
もしかしたら、彼女をとびきり恐怖に陥れる、この激しい雷さえも。
一体何がどうなっているのか、これからどうなるのか、何も分からないこの逼迫した特異な状況が、互いへ向けられる熱と衝動を高めていく。
倒錯的なこの状態が、二人をより官能へと駆り立てているのかもしれなかった。

今日はリヴァイが彼女の胸元のボタンに手を掛けても、なまえが抵抗することはない。
むしろ今の彼女はそれを待ちわびていたかのようにすら思われた。
やがて器用な彼の指先がスムーズに下りていき彼女のブラウスのボタンを大方外し終わると、パンツに入れられていた裾はリヴァイによってもどかしそうに引き上げられた。
リヴァイはなまえの耳から頬、そして首筋を惑わすようにすうっと撫でながら、ここにいるどの女性兵士も身に着けないような、彼女の女性らしいブラウスの襟を除ける。
その瞬間に差した真っ白な閃光によって、姿を表した彼女の首筋は強烈に妖しく、儚げに、リヴァイの目に映った。
彼女の唇を解放すると、リヴァイは目の前にさらけ出されたその滑らかな首筋に唇を這わせる。
何度も彼女を誘惑してきたその舌に、なまえは素直に、切なげな声を上げた。

「んっ、・・・!」

―――こんな状況で私、一体何してるんだろう―――

心の中は言い様の無い不安に襲われて怖くて堪らないのに、どうやら彼女の理性とは別の部分が、彼を求めているらしかった。
首筋から鎖骨を舌でなぞる間にリヴァイは慣れた様子でするすると彼女のブラウスを脱がせていった。
やがて簡単に下着を外すと、彼の唇はなまえの露わになった彼女の胸へと流れるように降りていく。
腕の付け根からバストラインを舌で強くなぞられて、なまえはその背を思わず仰け反らせた。
ゾクゾクと、身が甘く震えてしまう。
リヴァイは彼女を焦らすかのようにその敏感な部分を避けてなまえの柔らかな胸を口に含むようにしながら、唇をゆっくりと動かしていく。
彼女をしっかりと抱いていたリヴァイの腕はやがて、その片腕を彼女の胸へと移した。
その手で彼女の胸をやさしく撫で上げた後、リヴァイがその先端を掠めるようにして周りを指先でなぞったので、なまえは思わず声を上げた。

「―――ふ、・・・ぁ・・・っ!」

彼女の上げた甘い声に気を良くしたのか、リヴァイは彼女の胸に唇を付けたまま、満足げにニヤリと笑い、彼女を見上げた。
目が合ってしまったなまえは顔を真っ赤にして口元を手で覆い隠す。
なまえがあからさまに顔を背けたので、リヴァイは笑った。

「おい、守銭奴・・・折角楽しんでるんだ。お前のイイ声くらい聞かせてくれたっていいだろ」
「・・・だ、だって、こんな――――」

それでも顔を背けたままの彼女の答えを待たず、リヴァイは彼女の胸の先端の周りを舌先でくるりとなぞる。
とうとうその先端が彼の口に含まれると、なまえは、あぁっ、と声を出すまいと覆ったはずの口から大きく喘ぎ声を上げた。

リヴァイの唇と舌はなまえの胸を存分に味わうように愛撫を丁寧に重ねていく。
彼の“お願い”の効果なのか、彼女のこの部屋の奇妙な空気に飲まれているのか、なまえはすっかり喘ぎ声を堪えるのを諦めたようだった。
たっぷりと愛撫を続けながら、やがてリヴァイは彼女の身体を長椅子にゆっくりと横たわらせる。
やはり奇妙な装飾の施されたこの部屋の天井が目に映った時、なまえは観念したように目を綴じて、自分の胸に小さな顔を埋めるリヴァイに手を回した。

「・・・・・・」

なまえに頭を抱かれたことに、珍しいこともあるもんだ、とリヴァイは少し、驚いた。
酔っていない彼女が素直に自分の身体に腕を回すのは、多分初めてのことだったので。
この異様な状況に身を置いていることで、彼女もいつもとは心境が違っているのだろうか。

なおも彼女の胸へ愛撫をしながら、いかにも高そうな、彼女の焦げ茶のベルトを抜き取り、彼女のパンツのボタンを外す。
僅かに身を硬くしたものの、やっぱりなまえは抵抗しない。
リヴァイの手は簡単に、彼女の下腹部へと滑り込んだ。

「ひゃ・・・あぁっ・・・!」

滑らせた指先がスムーズにその奥へ入り込むので、リヴァイは彼女の胸の先端を舐め上げながら、得意顔で口の端を上げた。
前後に指をゆっくりと動かすだけで、なまえは艶めかしい声を上げ、気持ち良さに耐えきれないように腰を浮かせる。
その反応を堪能しながら、リヴァイはやがて彼の指を彼女のそこへと、挿入した。
溢れているそれで、たった1本で慣らす必要なんてないように思える。
すぐにそれは2本になって、彼女のそこへ宛がわれた。
リヴァイが指を動かす度にグチ、と彼女のそこがいやらしい音が立てるので、なまえは恥ずかしそうに顔をそらす。
恥ずかしがる彼女の反応が彼をますます悦ばせ、リヴァイを彼女の身体に夢中にさせた。

「ますます濡れてきた――――お前は胸とココを一緒にシてもらうのが、好きなのか?」

ニヤリと笑むリヴァイに、なまえは真っ赤な顔で首を振る。
そんなはずないのは明らかなのに彼女が首を横に振るものだから、リヴァイは彼女をますます“いじめ”たくなったらしい。
リヴァイはわざと彼女の胸の先端をベロベロといやらしく舐め回しながら、彼女自身に挿入していた指を抜き取りその割れ目をちゅるちゅるとなぞると、先程の彼女の身振りとは正反対に、なまえはますます大きく喘ぐ。
それ全体に指を沿わせながら、健気に硬くなっている、彼女自身の一番敏感な突起を押しつけるようにして手全体で上下に動かし刺激すると、なまえは快感に耐えきれないようにびくびくと身体を動かしたので、リヴァイはますます満足げに笑った。
普段では決して見ることのできない、ここではきっと、自分しか知らないはずの彼女の淫らな顔と反応を楽しみながら、リヴァイはもう一度彼女自身に指を挿した。
自分の指をきゅうきゅうと締め付けるその感覚に、彼女を焦らしたい気持ちよりも、もう随分前から限界まで昂ぶっている彼自身を、すぐにでもそこに収めたくてたまらなくなる。
彼女の胸から顔を離すと、リヴァイは彼女に口づけをした。

「――――はぁ、・・・・・・」

今は艶かしく眉を寄せる彼の口から、とびきり色っぽいため息が出る。
彼のこういう表情はいつだって、危険な色を秘めて、妖しげで、艶めかしくて、綺麗だ。
なまえはとろんとした甘ったるい目で、ただ目の前の彼を見つめた。
カチャカチャと、どうやら彼のベルトを外しているらしい音が聞こえてきたので、ぼんやりと、それでも確かに、もうずっとはやっている彼女の心拍数は、ますます上がっていく。
リヴァイは身を起こすとパンツを下ろし、その瞬間を待ちわびていた彼自身をとうとう解放した。
先端から液体が溢れ出て、彼のそれを鈍くいやらしく、光らせている。
彼女を上から見下ろしたまま、リヴァイは早速彼自身をなまえのそこへと宛がった。
硬く、大きくなっているそれをしっかりと手で掴み、やっぱり彼女を見つめたまま、リヴァイはぴとっと宛がったそれで彼女の割れ目を撫で付けるように、上下ににゅるにゅると動かした。

「あぁあ・・・っ・・・!!んっ、あ・・・!」

その感触に、なまえはたまらず身をよじらせて大きく喘いだ。
今彼女がほしくてたまらないものが彼女のそこへ押しつけられて、弄ぶように擦りつけられ、焦らされている。

「・・・なまえ・・・どうする?挿れるか?」

彼女を焦らしたくて聞いている癖に、表面上意地悪く取り繕っているように見えるリヴァイの上気したその表情も、なまえと同じくらい、余裕が無いように見えた。
けれどただ彼に与えられる快感に身悶えているなまえには、そんなことを感じる余裕なんてない。

「ど、どうするって・・・そんな・・・――――」

紅潮した顔に涙を浮かべて、なまえはリヴァイをすがるように見つめる。
彼女のその表情を確認すると、今日はそれで満足したのだろう。余裕の無いリヴァイはすぐに、“彼女の望み通り”彼自身を、一気に彼女へ、ぐっと押し入れた。

「はっ・・・――――――」

息を大きく吐くようにして、リヴァイも思わずブルッと身を甘く震わせる。
自身に絡みつき飲み込むようななまえのそこは、何度味わってももっと欲しくなる、麻薬みたいなものだ。
彼女の細い腰を両手でしっかり掴みリヴァイがゆっくりと抜き差しを始めると、彼女はその滑らかな背中をしならせて悦んだ。
そのスピードは、どんどん速くなっていく。

「ん、はぁ・・・!あっ、あっ・・・!」

彼がなまえをゆっくり突けば彼女は悩ましげで淫らな息を吐き、強く突けば彼女が“イイ”声を上げる。
リヴァイは下半身にビリリと走る凄まじい快感に襲われながらも、武者震いをするように、片方の口の端をニヤリと上げた。
ペロリと彼女の胸の先端を舐め上げると、なまえはますます甘く喘ぐ。

(・・・アレが、溶けるかもな)

下では自分のそれをまるで飲み込み絡め取ろうとするかのように淫乱に締め付けてくるくせに、普段はいかにもお堅く生意気な表情しか浮かべることのないその顔を淫らで切なげに歪めながらも、そこには未だ羞恥を残している。
残されているその羞恥がますます彼女の表情を色っぽくしてリヴァイの情欲をますます煽ってしまうのは、全く仕方の無いことで。

(こんなにキュウキュウ締め付けながら、何て顔しやがる)

なまえのその扇情的な表情を半ば感心するかのようにまじまじと見つめ、何度その表情を見せられても飽きることなく彼女を抱くことに夢中になってしまう自分に呆れるように、リヴァイは小さく笑った。
彼女を突き上げるリヴァイのそれには、いつも以上に彼女から、過剰な程の快感を与えられる。
この部屋の異様な空気には、やっぱり催淫効果でもあるのかもしれない。
余りの刺激にすぐにでも果ててしまいそうな、でも、果ててもすぐにまた、“できる”ようになってしまいそうな変な自信、か、衝動のような、勢いのようなものを、リヴァイは感じていた。
ぐちょぐちょと、二人の繋がる部分がいやらしい音を立てる。
この部屋独特の湿った重たい空気が、二人の境界線をぐちゃぐちゃにして繋げているような気がした。

「おい、守銭奴―――この気持ち悪い部屋に閉じ込められたまま、めちゃくちゃエロい顔したお前とこうやってめちゃくちゃエロいことをし尽くして死ぬってのも、悪くないかもな」
「・・・・・・、じょ・・・冗談は、止めて下さいっ・・・!!」

彼を見つめたままなまえは艶かしさを浮かべていたはずのその表情を一瞬で鳩が豆鉄砲を食らったようなそれに変えて硬直した後、今は真っ赤になった“めちゃくちゃエロい”とリヴァイに評されてしまった自分の顔を、慌てて両手で覆った。

「何がどうなるのか全く分からねぇこの状況だ・・・強ち、冗談でもねぇぜ」

リヴァイは小さく笑うと、とうとう我慢しきれなくなった彼自身を解放してやる為に、彼女の腰をぐっと自分に引き寄せ、お互いグチョグチョになっているそこを更にビタリと密着させた。


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