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「じゃあ、やっぱり朔のお兄さんなんですね!
あ、あたしは天満昴って言います。
朔には仲良くしてもらってるんです。」






第五話






ぱりっと乾いた衣を抱えながら、頭一つ分ほど見上げて談笑する。

今、一緒に洗濯物を取り込んでいるこの人は梶原景時さん。

あたしの先ほどの爆弾発言を、彼は、

『あはは、気にしないでよ!
よく言われんだよね〜、オレ。』

と、笑って流してくれた。
(…というか、よく言われるんだ…)


"梶原景時"と言えば、確か、石橋山の戦いから源氏に加わった、元・平家の御家人だ。

軍奉行だし、功績もある人だから…とか思ってたけど、
そんな心配なんてまるで要らない、とっても気さくな人らしい。


大体、史上の彼には子供がいたし、妹はいなかったはず。
そう考えると、やっぱりこの世界はただの源平合戦パラレルじゃない。



…そもそも怨霊なんていないし。




「…兄上?帰っていたの?」



改めてそう考えていると、向かい側から朔と望美、そして白龍がやって来た。

…その瞬間。
彼の鎖骨の間へ、閃光がキラリと瞬いた。



「ああ朔、ただいま〜。
あれ?そっちの女の子は?」
「お帰りなさい。
兄上、彼女は春日望美、白龍の神子よ。」
「初めまして、景時さん!」
「えっ!キミ、白龍の神子なの!?」
「はい。」
「うん、神子は、私の神子だよ。

……あっ…!…景時は、地の白虎だね!」

「えぇえ!!?」



やっぱり、そうだったんだ。

景時さんに宝玉が埋まる前から、何故か不思議と。
…本能的に確信を持って、そう感じられたから。



また一人八葉が揃った、と嬉しそうな白龍に対し、景時さんは酷く驚いている。


…うん、いきなり神子だの八葉だの言われれば、誰だって驚くと思う。
でも、宝玉は確かに彼の鎖骨の間に埋まっていて、それは変わらない事実で。



「まさか、兄妹揃って龍神に関わりがあるなんて…
びっくりしたよ〜」
「あはは、確かに。朔も神子だもんね。」
「そうね、本当に…血縁に因縁でもあるのかしら?」
「なるほど…
もしそういうのが関係してるなら、将臣くんも八葉だったりして?
ほら、ゆーくん八葉だしさ!」



……あの津波の中、はぐれてしまったという将臣くん。
こちらに居ることは確実だけど、消息は未だ不明で。


本当に、そうならいいと思う。
望美もゆーくんも、敢えて話題に出したりはしないけど、



……絶対に、心配してるから。




「ふふ、皆さんお揃いですね。
景時、お疲れ様でした。」
「あぁ先輩、ここにいたんですか。
あれ、そちらの方は?」



噂をすればなんとやら。

弁慶さんに続いて、当のご本人さんがいらっしゃった。



「ゆーくん!こちらは景時さんだよ。

朔のお兄さんで、地の、びゃ…」




―――ドクン―――





「…っ」
「?、天満先輩?」
「昴、どうかした?」
「昴さん?」




……――突然。

ぐらりと視界が揺れて、全身の血が逆流するかのような感覚に襲われる。

…あたしの中の、あたしじゃない何かが。




…―――蠢く。





「ぁ……っ!!」



…――刹那、
あたしは、全身の感覚を失った。






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