宇宙人の手がかりなんて見つからないと思うけどな。一羽はそう考えながら適当に近くの桜の木を調べていた。

「あ、あのっ!」

振り向くと、音無春奈がいた。なあに、と訊ねると彼女は可愛らしい笑顔で言った。

「一羽さんって呼んでもいいですか!」
「……どうぞ」
「わあっ、ありがとうございます!わたしのことはお好きなように呼んでください!」

変わった子だな。

「わざわざ聞かなくても勝手に呼べばいいのに」
「そうだったんですか?なんか一羽さん、絡みづらい雰囲気なので……」

絡みづらい雰囲気という言葉に少し疑問を持った。しゅんとする春奈の肩に手を軽く添える。

「わたし、一羽さんとか瞳子監督とか、クールでかっこいい人に憧れるんです」
「私がクール」
「はい!」
「そんなつもりはないんだけどな」
「そうなんですか?すごく素敵だと思いますよ!」
「へえ」


しばらく話していると、

『地球の民たちよ。我々は宇宙からやってきた、エイリア学園である』

公園に誰かの声が響き渡った。この声はたぶんレーゼだ。あそこです!と春奈が公園の真ん中にある大きなテレビを指差した。みんなテレビの前に集まっている。

『おまえたち地球人に我らの大いなる力を示すためこの地に降り立った』

「放送の発信源は……奈良シカTVです!」
「宇宙人……よくもパパを!許さない!!」
「塔子さま!?」
「塔子!」

塔子は引きとめる円堂たちを突き飛ばし、走って行った。

「きっとお父さんのことが心配で周りが見えなくなってるんだわ」
「だが、チームのキャプテンが怒りで我を忘れるのは危険だ。今の状態でエイリアと戦っても到底勝てないぞ」
「……オレたちも奈良シカTVに急ごう!塔子を助けるんだ!」



塔子を追いかけて奈良シカTVの屋上の扉を開けると、そこではSPフィクサーズがジェミニストームにやられていた。塔子以外のメンバーはみんな地面に伏せている。
そこまでだ、レーゼ!と円堂が叫んだ。ジェミニストームの前に雷門イレブンが立つ。

「レーゼ!オレたちと勝負だ!今度こそお前たちを倒してやる!!」
「……それはできない」
「なんでだよ!」
「言ったはずだ、『我々はサッカーという1つの秩序に従う』と。お前たちは10人しかいない、よって我々とサッカーをする資格はない」
「11人目ならいるよ!」

塔子がばっと服を脱ぐと、その下には雷門ユニフォームがあった。いつの間に、と秋がつぶやく声が聞こえた。

「これでどう?」
「ふん……いいだろう、」

レーゼと目が合った。向こうは少し驚いたように眉をひそめる。軽く睨み付けてやると視線を円堂に戻した。


「……二度と立ち上がる事が出来なくなる程に叩き潰してやる」

レーゼはにやりと笑って言った。





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