キャラバンに戻ってきた雷門イレブンはみんな一斉に席に着いてシートベルトをつけ始めた。豪炎寺に代わるストライカーを探しに北海道まで行くらしい。



どれくらいキャラバンに揺られていただろう。キャラバンの暖房が動き始めた。窓の外を見ると、大きな建物は見えなかった。山の中を走っているみたいだ。
一番前の座席に座る瞳子が突然立ち上がった。すかさず春奈も立ち上がりノートを掲げた。

「さて……みんな、ずっと座ってばかりで退屈でしょう。キャラバンを止めるから、少し外に出たらどうかしら」
「トレーニングメニューもありますよ!」

座りすぎでお尻が痛いッス、と後ろの座席から壁山の声が聞こえた。

「……冗談じゃねえ」

ぼそり、この声は染岡か。

「監督の考えたメニューなんてやってられっかよ!」

わざとらしい大きな声だった。監督が気に入らないからって、とんだひねくれ者だな。一羽は瞳子のように足を組んだ。
それを聞いた瞳子は春奈の持っているノートを取り上げ、後ろに放り投げた。

「いいわ。じゃあ、自分たちで考えて練習しなさい」

挑発的に微笑む瞳子を見て、染岡は「やってやろうじゃねえか!」と席から立ち上がってキャラバンを出ていった。染岡に続いてみんなぞろぞろと入り口に向かう。瞳子もついて外に出た。
キャラバンに残されたのはマネージャーと一羽だけになった。
春奈は瞳子に放り投げられたノートを急いで拾った。それを見た巻き髪のマネージャー、夏未が春奈に近付く。

「……音無さん、さっきのノート見せてくれるかしら?」
「ノートですか?これはちょっと……」
「まさかとは思うんだけど、そのノート、トレーニングメニューなんて書いてないんじゃなくって?」
「そんなこと……あっ」

一羽は春奈の背後に回り込みノートを取った。ぱらぱらとめくってみると、夏未の言った通りどのページも真っ白だった。

「何も書いてないよ」
「すみません……監督に頼まれたので」
「監督の考えたメニューをしないことで、彼らが自主的に練習するようにさせたのね」

さすが瞳子さんだ。


みんなで納得していると、後ろから秋がジャージを持ってきた。オレンジと黄緑とピンクの三色。

「さあ、私たちもやる事があるのよ!」

なにがなんだかわからないまま春奈に背中を押されて外に出た。





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