身体中が痛い。

鉄の匂いが満ちる。


血の染みこんだペールピンクのドレスは重みを増してぐっしょりとしていた。


足を何かに引っ掛けて転ぶ。びちゃり。嫌な音だ。

つまづいたそれが人間だと気付いた刹那、身体が床にずぶりと沈んでいた。



「────、」


愛しい人の名前を呼んでみようとしたけれど、それが声になることはなく、瞼にひどく重力がかかる。


私は、やっと、死ぬのか。



──Retrace:01


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