昼休みに宿題を出しそびれたわたしは、仕方なく放課後に提出することにした。怒られるのは承知の上だ。覚悟はできてる。


終礼が終わり、職員室に向かおうとする。何気なく携帯を開くと、新着メール1件と表示されていた。どうせメルマガだろう、と受信メールボックスを見る、と、

「え!?」

声が出てしまった。慌てて周りに「なんでもないです!」と言う。

いや、なんでもないことない。
メールの送信者欄に『涼野風介』と書いてあるわけで、
本文には『放課後、体育館裏で待っている』と書いてあるわけで。

どういうことだ
そもそもなんでわたしの携帯の電話帳に涼野くんのメアドが入ってるんだ!

(ま、間違いメール…!?)

真っ先にそう考えた。しかし、そうだとすると涼野くんの携帯にもわたしのメアドが入ってるということになる。ますますわけがわからない。
こういう時はどうすればいいんだろう…


送信日時はほんの数分前。教室を見渡してみるけど涼野くんの姿はどこにもなくて、すでに体育館裏とやらに行ってしまったとみえる。
わざわざメールで「間違って送信してますよ」と伝えるよりも直接言ったほうが早いと判断。わたしは体育館裏に行くことに決めた。宿題は…後回しでもいいかな。実はちょっとだけ期待していたりするし。




体育館裏というのがよくわからなくて、とりあえず体育館の外側をぐるりと回ってみる。2つ目の角を曲がったところに一瞬白いものが見えて体を引っ込めた。
角からそっと覗いてみると、涼野くんが立っていた。むこうを向いているのでわたしには気付いていないようだ。
よし、話しかけよう。

「涼野くん」

呼ぶと一瞬振り返って、わたしだと気付いたのか体をこちらに向き直した。ゆっくりとわたしに近付いてくる。

「話がある」
「は、はい、なんでしょうか」

やっぱりわたしに用があったのか。よかった、変なメール送らなくて。
しかし顔を直視できない。イケメンと2人きりなんて緊張しないほうがおかしいでしょ、


「好きだ」

…え?
わたしは耳を疑った。まさかまさかとは思っていたけど、本当に、そんな。
ちらりと涼野くんを見ると、彼もわたしから視線を反らしていた。銀色の髪の毛からのぞく耳が真っ赤なのも見えた。


「名字、私と付き合ってほしい」

頭の後ろのほうがじわじわと痛む。なんだこれは、わたしは夢でも見てるんじゃないのか。

「え、えっと、ええと」
「返事は、いつでもいいから」

涼野くんはわたしの横を通りすぎていった。振り返ってその背中を見つめるけれど、呼び止める勇気はなかった。

頬を両手で包んでみる。ものすごく熱い。たぶんわたしの顔は今トマトみたいに赤いんだろうな。



(こ、告白、された)

なんで告白された側のわたしがこんなに恥ずかしがってるのか意味がわからなかった。





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