今年度三回目の席替えが行われた。
席替えはくじ引きで決められる。わたしの席は前から二番目、窓側から三番目になった。以前の席から右に一つずれただけなのであんまり変わらない。

席替えは人によってはかなり重要なイベントである。下手すればこれからの授業の取り組みにも関わるのだ。 とはいってもわたしはそんなに気にしないけど。


終礼が終わり、皆くじ引きで決まった席に教科書やらなんやらを移動させてゆく。
机の中に自分の荷物を入れて、周りを確認してみると、前後左右がすべて男子だということに気付いた。明日からこの席か。気にしないとは言ったけど、ちょっとやだなあ。

「名字さん!」

呼ばれて振り返ると、そこにはクラスでなかなか目立つ女子が立っていた。

「なに?」
「席、交換してくれない?」
「交換、」
「うん。お願い!」

顔の前に手を合わせて言ってきた。
なんでわたしの席と、と思って左隣の机を見て納得した。ははあ、さては涼野くん目当てだな。

「いいよ」
涼野くんもわたしよりこの子みたいに可愛い子が隣のほうが良いだろうし。

「本当?ありがとー!」

彼女は嬉しそうに自分の席から荷物を取り出しに行った。周りの女子たちからよかったね、頑張ってね、などと声がかけられて、彼女も照れながら頷いている。
あれこそ青春。(わたしとは無縁のはなしである)


わたしはその子が元々座っていた席にやってきた。
いちばん後ろ、いちばん窓側。隅っこのすみっこ。
空気系女子のわたしはついに教室の隅に追いやられてしまったわけだ。

(……まあ、いいか)

教科書を机に入れて、教室を後にした。





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