(なんだかよくわからない)







「明王くん!!後ろからサッカーボールが!!!」

「あ?」

「あぶなーい!!」




咄嗟に明王くんを突き飛ばした。ボールは明王くんの隣を掠めて幸い当たることはなかった、が、



ばちゃーーーん



突き飛ばした先には池があって、明王くんは見事に入水してしまった。



「わああああごめん!!ボールが来たから避けようと思った…ら……」



おかしい、明王くんが浮いてこないぞ!



「ちょっと、明王くん!?」



池の前でわたわたしていると、水面からボコボコと泡が浮かびはじめた。
それはだんだん大きくなって、やがて人の形になった。



「え!?」


『あなたが落としたのはこの不動明王ですか?』



ざばあ、と明王くんが池から出てきた…が、なんだか優しい目をしている。憑き物が落ちたみたいだ。



「いえ、もっと目付きがヤバイ奴です」


わたしは正直に答えた。



『正直者のあなたには、このきれいな不動明王をあげましょう』

「は?」


ざばばばば。人形は池に沈んで、もとの池が戻った。




「名前」

「あ、明王…くん?」

「よお」

この明王くん、なんだかいつもより爽やかな気がする。

「名前、今から時間あるか?」

「え?う、うん」

「ちょっと遊びに行かねえ?」

「え、え!?」




「おい名前!それはオレじゃねえよ騙されんな!!」

ざばあ、と池から明王くんが現れた。

「あ、明王くんがふたり!!」

「そっちはニセモノ!オレが本当の不動明王だ!」

た、たしかにこっちの明王くんのほうが目付きが悪い…



どうすればいいのかわからず立ち止まっていると、ぐいっと肩を引かれた。

「名前、アイスおごってやるよ」

きれいな明王くんが耳元で囁く。

「アイスおごってくれるの!?」

「ああ、チャレンジザトリプルだ」

「マジで!?やったあ嬉しい!行こ行こー」


「ふざけんな名前待てよ!!」

後ろで明王くんが叫んでいるけど無視だ!






「お前服欲しがってただろ?買ってやるよ」

「わーい明王くんまじかっこいい!明王くん大好き!」


「なっ………!?」

どきーん




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