風丸拍手連載 その2




ぶつくさ言っていた雷門さんだったけど、さすが理事長の娘、なんだかんだでてきぱきと私の入部手続きを済ませてくれた。
そうして放課後に至る。

世界一になったお陰で、雷門サッカー部には部員が溢れている。1年のとき、円堂くんが部員を集めるために生徒に片っ端から声をかけていたあの時からは想像できないだろうな。
……そんな事を考えている間に私の紹介は雷門さんによって素早く終わった。びっくりする程大きな拍手をもらい、よろしくお願いします、と頭を下げた。
よいしょと頭をゆっくり持ち上げた時にはもう部員のみんなは練習の準備をしていた。まあマネージャーの紹介なんかどうでもいいよね。みんなサッカーしたいもんね。私は雷門さんに促されてタオルを取りに行くことにした。



思い出せ私。私がサッカー部に入った目的を思い出せ。

マネージャーになったものの、色々と忙しすぎて風丸くんの姿さえ確認できていない。そもそも今日来てるの?
(いや、風丸くんが部活をサボるなんてありえないから!)
心の中で自問自答してから、ゆっくりとグラウンドを見渡す。ゴールの近くに濃い水色の髪を見つけて、視線が止まった。

(いた!)

指差しをして何か言っているようだった。やばいなあ、かっこいいな。

「本物の風丸くんだ……」
「先輩、シャーペン落ちましたよ!」

マネージャーの音無ちゃんがシャープペンを拾ってくれた。ノックしようとしてシャープペンの先端に力を込めたら、刺すような痛みが私の親指を襲った。

「先輩……上下逆です」



「今日の目標!風丸くんに、タオルを渡す!」

意気込んで、タオルの山を抱えて練習終わりの部員のもとに向かう。その辺の部員たちにタオルを手渡していく。渡すたびに感謝の言葉を言われて、なんだか照れ臭いや。コワモテの染岡くんにも渡せたしよかった。思ったよりいい人だったぞ!
順番にタオルを渡していき、やっと、か、風丸くんのばんだ……!

お疲れさまです、どうぞ、と私が差し出すタオルを受け取った風丸くんは、ありがとう、と笑った。ぎゃああ風丸くんの笑顔がこんなに近くで拝めるなんて!!

「あの!」

つい口から言葉が出てしまった。風丸くんはどうした、と私を見つめた。ええい、言ってしまえ!!
「す、好きです!!」

ぶほっ。隣にいた半田くんがドリンクを吹き出した。風丸くんは顔を真っ赤にして目を見開いている。ん?あれ、いや、違う違う。そういう事じゃなくて、

「好きです……その、ポニーテールが」
「は、」

私は恋をしたんだ。彼の素敵なポニーテールに。

わかりやすく言い直すと、風丸くんはぽかーんとした顔をしてからまた笑った。

「……俺の髪が?」
「はい!」
「なーんだつまんねーの」
「半田は黙れ」
「あのう、ポニーテール……触ってもいいでしょうか……!」
「え!?あ、ああ」
「マジですか!失礼します!!」

風丸くんのポニーテールは予想通りハンパないくらいサラサラでした。はあ、なんだかすごく幸せ。





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