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44.初めてのプレゼント


もうすぐ2学期も終わり、つまりはX'masが目前ってわけでして。


『え?園子の家でX'masパーティーがあるの?』

「うん。毎年やってるよ?プレゼント交換とかしたりするんだよね」

『楽しそう!ちょっと、園子。何であたしには声かけてくれないのよ?』

「何バカ言ってんのよ。あんたは新一くんとらっぶらぶなイヴを過ごすんでしょう?」

『だって新一、X'masのことなんか一言も言ってくれないんだもん…』

「「はぁ!?」」


学校帰り、部活が休みだった蘭の家でお喋り会の最中、園子の家でパーティーするんだって聞いて、楽しそうだなぁって思ってたら、新一と過ごすんでしょ?って当たり前のように聞かれた。
いや、あたしも一緒に過ごす気ではいたんだけど、未だに新一はX'masのクの字も言ってくれない。


「ちょっと、なまえ。それホント!?新一、ホントに何も言ってないの!?」

『うん…』

「あんのバカはまたっ!」


蘭は信じられないって心底驚いた表情をしてるし、園子なんかは何か怒りながら携帯をいじってる。
また新一にでもメールしてるんだろうけど、園子に言われたからってデートのお誘いが来たって嬉しくも何ともない。


『新一から何か言ってくれるかなぁってずっと待ってるんだけど、何にもないんだよねぇ。恋人とX'mas過ごしたいなんて考えるのって女のコだけなのかな?』

「そんなわけないじゃない!あの推理オタクの頭がオカシイのよ!」

「蘭、ちょっと待って。ねぇ、なまえ。一つ聞いてもいい?」

『何?』

「あんた、新一くんとデートくらいは済ませたのよね?」

『まだだけど?』

「「あの推理バカは一体何考えてんのよっ!!」」

『新一、部活が忙しいんだから仕方ないよ。部活休まないでって言ったのはあたしだしさ』

「でも、やっと付き合い出したのにデートにも誘わないなんて、絶対新一オカシイよっ!」

『デートには一回誘われたよ?』

「え?でもさっき」

『新一が当日に寝坊しちゃったから出来なかったの。起きたって連絡来たのが夕方だったんだよねぇ…』


そう、あの後一度デートには誘われたのだ。
初デートだって、楽しみにして約束の30分以上前から待ってたけど、何時間待っても新一は来なくて、やっと今起きたって連絡が来た頃には既に夕日が沈みそうになっていたんだから仕方ない。


「何でその時私に言ってくれなかったの!?言ってくれたらなまえの代わりに私が新一ボッコボコにしてやったのに!!」

『いや、その前にそれを知った有希子さんに散々に怒られて、先生にも言葉の刃でズタズタになるまで攻撃されてたからこれ以上は可哀想かなって思って』

「そんなの新一が悪いんだから自業自得じゃないっ!」


いや、でも先生にあたしは席を外してくれって言われたから全部は見てないけど、寝る前に謝りに来た新一はもう可哀想なくらい疲れきってたし…
まぁ、寝坊した理由があたしとのデートを楽しみにし過ぎて朝まで眠れなくて、ちょっとだけ寝ようとしたら爆睡してたんだって聞いた時には怒るより寧ろ呆れたけど。
何て新一らしい理由なんだってさ。


「なまえは新一くんとX'mas一緒に過ごしたくないの?」

『そんなわけないじゃん。一緒に過ごすもんだとばかり思ってたからプレゼントだって準備してるよ』

「じゃあ何であんたから誘っちゃわないのよ!?」

『だって、どうせなら新一から誘って欲しかったんだもん…』


もうあのプレゼントも渡せないのかなぁって思ってたら、園子の携帯が鳴り響いた。


「なまえ、あんたは黙っててよね?」

『え?うん』


園子に来た電話にあたしが口を出すわけないじゃん。
そう思ってたけど、園子はその電話をスピーカーボタンを押してあたしたちにも聞こえるように机に置いた。


「園子!テメーさっきのメールはどういうことだよ!?」


どうやら電話の相手は新一らしい。
でも、えらく怒ってるけど、一体何てメールしたんだろう?


「別にぃ?あんたが不甲斐ないから、前になまえに告白して来た子たちの方がなまえのこと大事にしてくれるかなって思っただけだけど?」

「ふざけんなっ!誰がなまえと別れっかよ!!」

「誰もそんなこと言ってないじゃない。X'masのなまえがフリーなんなら、なまえに告白して来た子たちにそれ知らせたら喜ぶんじゃない?って言っただけでしょ?」

「なまえは俺とX'mas過ごすに決まってんだろーがっ!!」

「でも、新一くんがデートに誘ったわけでもないんでしょ?なまえ、X'masフリーだって言ってたわよ?新一くんがデートに誘ってくれないから、あたしん家のパーティーに来たいって」

「それはっ!」

「それは?何よ?」

「誘いたくても誘えねぇんだよっ!この前、俺がなまえとのデートすっぽかして爆睡しちまったから、父さんになまえが誘ってくれるまで俺からは一切デートに誘うなって言われちまったんだって!」

「あんた、そんなこと律義に守ってるとかバカじゃないの?」

「しゃーねぇだろ!?これ守れなかったら、問答無用でなまえをアメリカに連れて行くって言われちまったんだからっ!!」


先生、そんなことまで言ってたんだ…。
そりゃあ、新一も落ち込むわ。
だって、あたしが自分からデートとか誘うタイプじゃないの新一だって知ってるもの。


「だってさ。なまえどうする?今回ばかりは新一くんに誘って欲しいなんて言ってられないみたいよ?」

「なっ!?なまえそこに居んのかよ!?」


あたしに喋るなって言ってたクセに、園子はあたしに話を振って来た。
まぁ、今の話の流れ上、あたしから誘わないとX'mas一緒に過ごせないって分かったし…


『ねぇ、新一』

「お、おう…」

『あたし、新一と一緒にX'mas過ごしたいんだけど…いいかな?』

「!当たり前じゃねぇか!」

「ってことで、詳しいことは後で二人で決めてよね」

「ちょっと待てよ!オメーら今何処に居んだよ?なまえ迎えに行くから教えろって!」

「蘭の家だけど?」

「なまえ、すぐ迎えに行くから一緒に帰ろうぜ?」

「あんたねぇ…今あたしたちは女同士で語り合ってんの!どうせ夕飯になったらなまえは新一くんの家行くんでしょ?それまでガマンしなさいよね!?」

「無理だな。じゃあ、もう着くから切るわ」


ツーツーツー


「もうっ!誰のおかげでなまえと一緒にX'mas過ごせるようになったと思ってんのよ!蘭、新一くん来たらガツンと言ってやって!」

「任せて!」

『ちょっと、二人とも落ち着きなって』


新一の勝手な発言がお気に召さなかったらしい園子様。
そりゃあ、園子が取り持ってくれなかったら、新一とX'mas過ごせなかったけど、園子があたしの居場所知らせちゃったんだから、新一が来るのも仕方ないと思うんだけど?


とか思ってる間に、新一が来たらしく、蘭の家の呼び鈴が鳴った。



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