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42.可愛い彼氏


あたしに一度キスした後、新一はまたあたしを抱きしめてあたしの肩に顔を埋めた。

のは、いいんだけど、その体勢のまま一切動かない。
さっきみたいに強く抱きしめられてるわけじゃないから、苦しくもないし別にいいんだけど…いつまでこのままでいる気なんだろう?


「新ちゃん、まだなまえちゃんとのお話終わらないの?ご飯出来たわよ?」

「後で食うから置いといてくれよ」

「なまえちゃんの分も作ってあるから、食べて行ってね」

『はい。ありがとうございます』


有希子さんが新一の部屋をノックした時も、新一は一切動かずに返事だけを返した。
あたしもそのままでお礼を言った、んだけど。


『ねぇ、新一』

「んだよ」

『いつまでこの体勢のままでいるつもりなの?』

「とりあえず、俺の顔の熱が収まるまで?オメーに見られたくねぇし」


どうやらあたしが告白を無事に受けれて落ち着いた代わりに、今は新一が顔を真っ赤にしているらしい。
ホントに可愛いんだから、ってあたしも新一の背中に腕を回すと新一がビクリと体を震わせたから両手を退かせた。


『ごめん、ビックリした?』

「いや、だ、って、なまえが俺のこと抱き返してくれたのなんか、文化祭の劇ん時だけ、だった、し」


確かに今まで新一に抱きしめられたことは何度かあるけど、その時は一方的にあたしが抱きしめられてるだけだった。
でも、だからって、そんなに驚くこともないと思うんだけど…


「もっかい」

『え?』

「さっきのもっかいやってくんねぇか?」


さっきのって抱き返すこと、でいいんだろうか?
新一があたしの肩に顔を置いてるせいで、新一の顔が見れないから、言いたいことをよく飲み込めないままに新一の背中にもう一度腕を回した。


「夢、じゃねぇよな?」

『これだけずっと抱き締めてて、あたしの体温感じられないの?』

「いや、違ぇけど…何か離すと夢から醒めそうで何か怖いっつーか…」

『離してもあたしいなくならないよ?』

「それでも、まだなまえを離したくねぇ…」


ほんの少しだけ、新一があたしを抱きしめる力が強くなった。

どうやらあたしの怖い怖い病が新一にまで移ってしまったらしい。
あたしはもう新一の告白をきちんと受けたことで、克服したんだけどな。
…告白されるのが怖いってとこだけは。


「なぁ…」

『何?』

「俺たち、両思いなんだよな?」


こいつは何を今更なことを聞いてるんだ。
さっき、キミの告白にあたしはyesと答えたじゃないか。


『さっきのあたしの返事、聞いてなかったの?』

「そうじゃなくて、さ」

『うん?』

「なまえからもちゃんと言葉で聞きてぇな、って、思って、よ」

『…』

「…ダメか?」


なんか、今日の新一可愛い過ぎるんだけど、どうしたらいいんだろう?
抱きしめて離してくれないし、こんな可愛いおねだりするし。
あんまり可愛いことばっかしてると、あたしから襲っちゃいそうで怖いんだけど。
いやいや、いくら今は同い年って言ったって、あたしが13歳襲ったら犯罪だから!
落ち着け、あたし。


『あたしも新一のこと大好きだよ?新一のこと、愛してる』


あたしも少し強く新一を抱きしめてみた。
これで、あたしのキモチが新一に伝わればいいのに。


「…」

『新一?』


自分から聞きたいって言ったクセに固まってしまった新一。
どうしたんだろ?


「やべぇ…」

『え?』

「俺、今めちゃくちゃ嬉しいんだけど!」


しばらく固まっていた新一が、やっと話したと思ったらそれで、あたしはまたむぎゅうっと改めて抱きしめられた。
でも、これはちょっと…


『新一、苦しいからもうちょっと手加減してくれない?』

「あ、悪ぃ。嬉し過ぎてつい…」


やっぱり新一には相当強く有希子さんの血が流れてるらしい。
有希子さんと全く同じことを言ってるし。さすが親子だ。


「じゃあ、飯食いに下りるか?」

『だね。先下りてていいよ?あたし、散らばった鞄の中身直してから下りるから』


やっと新一に離してもらえたあたしは、この部屋に来た時に散乱してしまった教科書たちを鞄にしまい直そうと立ち上がった。
んだけど、何故か新一も手伝ってくれた。
ちゃっかり有希子さんから借りたアメリカの学校の資料だけは没収して。


「もうオメーのアメリカ行きの話は無しになったんだから、これは要らねぇだろ?」


ってそのままゴミ箱へと捨ててしまった…。
せめて有希子さんに返すとかしようよ。
それ借り物なんだけど…って苦笑いが漏れたけど、たぶん今の新一は聞かないんだろうなぁって諦めた。

二人でダイニングへと行くと、先にご飯を食べてたはずの先生と有希子さんが待っていて、オマケに何のパーティーですか?って聞きたくなるような豪華な食事が並んでいた。


「やっと下りて来たか。待ちくたびれたぞ」

「後で食うって俺、ちゃんと母さんに言ったぜ?」

『お待たせしてしまったみたいですみません。ところで、この豪華な料理はどうしたんですか?』


先生か有希子さんの誕生日ってわけでもなさそうだけど…それなら豪華に外食とかにしそうだし。


「なまえちゃんが将来ホントにうちの娘になることが決まった記念日だもの!せめてこのくらいはしなくっちゃ!今度、改めて一緒にお食事しに行きましょうね!」

『え…?』

「…」

「いやぁ、それにしても長かった!まさか新一が告白するのにこんなに時間がかかるとは思わなかったよ」

『えっと…』

「…まさか、盗み聞きでもしてやがったのか?」

「いや?ただ、待ちくたびれたから、お前が帰って来た時にあれをやったんだが、効果覿面だったな」

「また俺を嵌めやがったのかよ!?」

「そう怒るな。お陰でなまえ君と付き合えることになったんだ。まぁ、お前みたいな未熟者になまえ君を任せるのは少々…いや、正直なところかなり不安だが、」

「ウッセーよ!」

「なまえ君、このバカ息子が何かやらかしたらいつでも私たちのところへ連絡しておいで。その時は直ぐに迎えに来るから、一緒にアメリカで暮らそうじゃないか」

「誰が父さんたちになまえを渡すかよ!!」

「新ちゃんの食生活だけが心配だったんだけど、なまえちゃんがいるなら安心ね!さぁ、ご飯食べちゃいましょう!」

『あは…ははは』


どうやらあたしも新一も先生たちにいいように玩ばれたらしい。
もう空笑いしか出なかった。

食事の間中、新一は先生にケンカを売っていて(全部空振りしてたけど)、あたしは有希子さんにまた一緒にお買い物とか行きましょうねってお誘いを受けながら、楽しくお喋りをしていた。



(ホントに先生たちには敵いません!)


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