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「はよー」


朝練が終わって、教室に入った俺は思わずため息を吐いた。

結局あの差し入れ、4種類あるってことで、レギュラーから好きなの選んでいったんだけど、マネージャーも含め全員に配り終わっても残ってしまったせいで、それを誰がもらうのかで揉めたのだ。

まぁ、俺は毎回加わんねーから関係ねぇんだけど、先輩たちを差し置いて帰れるわけもなく、一年はムダに待たされる羽目になってたりする。


自分の席について、可愛い袋でラッピングされたマフィンを見てみる。

毎度のことだが、すげぇ美味そうだし、実際食ったらうめぇんだろーけど、送り主が分からねぇんじゃ直接礼も言えやしねー。


「なまえちゃん、今日も甘い香りがするね!また何かお菓子作ってたの?」

『ん?匂うかな?ちゃんとシャワー浴びてから来たんだけど』


ん?菓子?
と会話の聞こえた方を見れば、自分の髪を少し掬って匂いを嗅いでるみょうじが見えた。


「なんかほんわか甘い香りするよ?前は林檎とバニラの香りしてたし」


林檎?
そーいや前回の父さんのファンからの差し入れは林檎のタルトだったよな?

普通にアップルパイ作った方が簡単なんじゃねぇの?ってくれーに手の込んだヤツ。

みょうじが園子の席に行く為に席を立ったのを見て、河野に話しかけてみた。


「なぁ、河野。みょうじから林檎の香りがしたのっていつだ?」

「え?えーっと…確かあの日はなまえちゃんと恋愛ドラマの話してたから…この前の水曜日だよ?」

「そっか。サンキューな」


父さんのファンから、菓子を貰ったのも水曜日ってことはみょうじが犯人らしい。

やっと目星がついて安堵したのと同時に、家だけじゃなく部活でも俺で遊んでたのかとみょうじをちょっと恨めしく思った。

とりあえず、休み時間にでも話してみっか。




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