「やぁ、なまえ君。久しぶりだね」
放課後、いつもの喫茶店で珈琲を飲みながら読書をしていると、当たり前のように先生が現れた。
『久しぶりってほど、期間空いてないですよ』
先生が来てくれたので、本に栞をして、そのまま鞄にしまうと今日の出来事を話してみた。
すると、先生はそれはそれは楽しそうに笑っていた。
あの、貴方の息子さんを叱りつけた(正確には怒鳴りつけた)って話をしたんですけど?
「そうか。そんなことがあったのか」
『すみません。心底ムカついたので、思いっきり言いたい放題言わせていただきました』
「なまえ君が気にすることはないさ。あいつにもいい薬になっただろう」
『悪いとは感じてくれたみたいなんですけど、あたしに謝罪してくるようならもう一度嫌味を言っちゃいそうです』
珈琲を味わいながら、ちょっとその時のことを考えてみる。
うん。面白いかもしれない。
『あ、そういえば有希子さんとのお出かけ、来月の頭になりそうです』
「ほう。ちゃんと有希子の方から連絡が行ったんだね?」
『はい。先生から打診があってすぐ電話が来ました。それと、』
ふと思い出したので、先生が彼氏だと間違われたことも話してみると、先生はとても素敵で不敵な笑みをした。
「なまえ君みたいな素敵な彼女なら、私は大歓迎だけどね」
『あたしも先生みたいな素敵な彼氏なら嬉しいんですけど、有希子さんとの仲に入っていく勇気がないですよ』
その日は日が暮れるまで、先生と楽しく話をして、マスターに教えて貰ったパスタを夕飯にしようと家へと急いだ。
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