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でも、嬉しそうにプレゼントを受け取ってくれて、中身が楽しみだって顔をして包装を開けてるなまえを見て不安になってきた。

だって、今なまえがつけてるネックレスは、なまえが最近ずっとつけてるヤツだ。
それと比べても、俺が買ったヤツなんてオモチャに等しいくらいだし…


『ありがとう。早速つけるよ』
「えっ!?いや、その方が似合ってるって!」
『新一からのプレゼントなのに、つけちゃダメなの?』


予想に反してなまえは嬉しそうに笑うと今つけてるネックレスを外そうとしてたから思わず止めてしまった。
俺を不思議そうに見てるなまえに何か言わねぇとって思ってんだけど、上手く言葉が出て来なくて良く分かんねぇことを言ってしまっていた。
さっきから俺は何やってんだよ…。


『これはお守りにしてただけだよ』
「え?」
『この中に入ってる石がね、孤独感を消してくれるんだって教えてもらったの』
「石?」
『ケージの中に小さな石が入ってるんだよ。見てみて?』


軽くパニクってて、頭が全然働いてくんねぇから、返事がおうむ返しになっちまった。
なまえはいつの間に外したのか、俺にさっきまでつけてたネックレスを渡してくれた。
翳して中を見ると確かに石が入ってる。
俺はこういうのに詳しくねぇから、見ただけじゃ何て石なのかも分からねぇけど。


「でも、お守りならなおさらこっちの方がいいんじゃねぇのか?」
『これがあるから大丈夫だよ』


いつの間にか俺がプレゼントしたネックレスをつけてたなまえは、そのトップに触れながら、愛しそうにそれを眺めていた。
さっきとは違う意味でドキドキが止まらねぇ。
こいつのこんな表情は初めて見る。


『これをつけてたら、新一がいつも一緒に居てくれてるんだって思えるでしょ?だから、孤独感なんて感じないから大丈夫だよ』


その言葉に、その笑顔に釘付けになって動けなくなった。
あぁ、こいつはこうやって俺の心を掴んで離さねぇんだ。
こっちが顔に熱が集まってどうしようもねぇ台詞をサラリと言ってくんだから。


『新一、これ、あたしからのプレゼント』
「さ、サンキュー。開けてもいいか?」
『うん』


さっきのドキドキがまだ収まんねぇから、情けねぇことに手が震えてやがる。
何とかラッピングされてた包装を開けると、どっかで見覚えのあるストラップが出て来た。

何処で見たんだ?
割りと最近…ついさっき見た気が…

あぁ!なまえの携帯についてたヤツに似てんだ!
なまえ、今までストラップなんかつけてなかったから、印象に残ってたんだな。


『それね、ペアなんだよ。だからあたしも今日からつけたの。その緑の石には希望と新しい始まりって意味があるんだって』
「へぇ…」


希望と新しい始まり、か。
付き合い出した俺らにはぴったりって訳だ。


『そのデザインも、石の色も新一に似合うからつけてもらえるかなって思ってさ』


バーロー。オメーからもらったもんだったら、例え蘭みてぇにガキくせぇストラップを選んでたってつけるに決まってんだろ?

…まぁ、これが俺好みなのは認めるけど。
こういうデザインは嫌いじゃねぇし、この石も純粋にキレイだと思う。

蘭は昔から自分の好きな色の赤を押し付けて来やがったから、“俺に似合う”ってプレゼントを選んでもらったのなんか初めてな気がする。

これ、ぜってー大事にしねぇとな。


『それと、これからの新一と刻む時間に希望が溢れていますようにってそれにしたの。あたしは新一と一緒にいれて幸せだから、新一のこれからの時間も幸せでありますようにって』


ストラップを大事に握って眺めていたら、なまえにそんなことを言われた。

バーロー。俺だってオメーと一緒にいれて幸せだっつーの!
んなこと、恥ずかしくて言えねぇけど、今日だって、今まで知らなかったなまえが見れて、ホントに“幸せ”ってこういうことを言うんだろうなって思ってたんだ。

顔に集まった熱が収まりそうにねぇから、それを誤魔化すように早速ストラップをつけた。
なまえとペア、か。
何かずっと一緒ってこういうことを言うんじゃねぇのか?
何で俺はペアって発想が浮かばなかったんだよ!


「でも、珍しい形してるよな。これもだけど、さっき見せてもらったネックレスも手作りっぽかったし」
『え?ぽい、じゃなくて手作りだよ?』
「は?」
『だって、手作りのシルバーアクセ売ってるとこで買ったんだもの』
「…」


は?手作りのシルバーアクセ、だって?
それって、明らかに高いだろうがっ!!
中学生がプレゼントで買うようなもんじゃねぇだろ!?


『気にしなくていいよ。あたしのキモチだし』


いやいやいや、気にすんなって方が無理があっから!!
だって、俺が選んだそれってマジで安もんだし!


『新一があたしの為に選んでくれたってキモチが嬉しいんだから、あたしはこれがいいんだよ』


そう言ってなまえはまた愛しそうに、ネックレスを触ってた。
俺がやったプレゼントに対して、これ“が”いいんだとか、めちゃくちゃ嬉しい台詞だけど、でも、それは蘭と一緒に選んだヤツで…なまえに似合うの選ぼうとは思って探してたけど、でも!なまえみてぇに付き合い出した記念とかに出来るようなもんじゃねぇし!

何で俺はもっと真剣になまえが喜ぶもんを選ばなかったんだってキモチは、なまえの部屋に着いて更に強くなった。
ボードに飾ってあるネックレスと明らかに趣味が違う…。


「なぁ、ハワイに行ったら一緒にアクセサリー見に行こうぜ?」


今度こそ、オメーが気に入ったもん買おうぜ?
母さんにオススメの店聞いておくからよ。
んで、俺からのプレゼントもペアにしちまえば、お互いのキモチが相手に伝わんじゃねぇか?

オメーの願いの詰まったプレゼントはもう貰ったから、今度は俺がオメーの幸せを願ったプレゼントを贈らせてくれよ。



そしたらさ、
いつまでも一緒に居れる気がしねぇか?
だって、相手の心の一部を自分が身につけてんだから。

あー、そっか。
瀬戸が言いたかったのはそういうことだったのか。
だから、あいつアクセサリーを勧めたんだな。

俺のキモチをいつでもなまえが身につけてられるように、って。

ぜってーハワイでペアもん買おうと心に決めながら、なまえが納得してくれるまで粘ってたらOKが貰えた。

父さんたちは邪魔だけど、早く一緒にハワイ行きてぇな。





(オメーからの初めてのプレゼントは、俺のかけがえのない宝物になったんだ)


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