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問題のイヴ当日。
ぶっちゃけ部活なんか休んで、なまえと過ごしたかったんだけど、それをやるとなまえに怒られっからちゃんと練習に参加してた。
のは、いいんだけどよ。


「なんか今日校門の周り人多くねぇか?」
「まぁ、イヴだからな。彼氏や彼女と待ち合わせしてるヤツらだろ?工藤だってこの後なまえちゃんとデートなんじゃねぇのかよ?」
「まぁな。あー、俺も早く部活終わらせてなまえに会いてぇ」
「だったらお前も学校で待ち合わせれば良かったじゃねぇか」
「バーロー!んなことしてみろ。オシャレしてるなまえが誰にも声掛けられずに済むわけねぇじゃねーか!」


俺と付き合い出してからというもの、クラスやサッカー部の奴らはやっとくっついたかって喜んでくれたけど、未だになまえの人気は衰えず、よく告白されてんのを知ってる。
誰がライバル増やすようなマネすっかよ!


「あーあ。俺もなまえちゃんがオシャレしてんの見たかったなぁー」
「誰が見せるか。もったいねぇ」
「こら!お前ら!喋ってる余裕があるんならグラウンド走ってくるか?」
「「マジメにやります!」」


部活が終わった途端に着替えもせずに荷物だけ持って家へと帰った。
校門で待ち合わせしてたこれからデートへ行くんであろう幸せそうなカップルを見てたら、早くなまえに会いたい衝動が抑えきれなかったんだから仕方ねぇ。
家に帰って荷物を放り出すと適当に着替えてなまえの家まで走ったけど、途中でガマンしきれずに電話まで掛けてしまった。


『じゃあ、あたしも早く新一に会えるように下で待ってるよ』


その言葉に俺は走るペースを上げた。
なまえはいつも俺が欲しい言葉、喜ぶ言葉を言ってくれる。


「なまえっ!」
『新一、部活お疲れ様』


今日のなまえは母さんと出掛ける時よりオシャレしてるような気がする。
ってか、その髪型どうやってんだ?
めちゃくちゃ可愛いし、似合ってっけど、すっげー手が込んでそうな気がするのは俺だけか?


『初デートに初X'masだよ?そりゃあオシャレも気合い入るに決まってるじゃない!』


なまえが俺の手を握りながら、幸せそうに笑ってた。
もうそれだけで、今日は満足な気がする。
あー、なまえが言ってた好きな人と一緒に過ごせるだけで幸せなんだっつーのはこういうことを言ってたのかも知れねぇな。


『うわぁー…キレイ…』


駅前のイルミネーションで出来たツリーまで連れて来たら、なまえが瞳を輝かせて喜んでた。
そういや、前に父さんたちと食事に行った時も夜景を見てハシャイでたな。
なまえってこういうのが好きなのか?


『ねぇ、一緒に写メ撮ろう?』
「え?」
『初デート記念!ね?』


そんな嬉しそうに、俺が承諾するのを期待してる可愛い笑顔で、「ね?」なんて言われて断れるわけがない。
寧ろ、写真嫌いななまえが自分から撮ろうなんて言うこと自体、貴重だってのに。
なまえは俺の腕を抱き締めて俺にぴったりとくっつくと写メを撮って、それを嬉しそうに保存してにこにこしながら眺めていた。
こんなことするなんて、こいつ、ホントに可愛いよな。


「俺にもちゃんと送ってくれよな?」
『当たり前じゃない!』


俺ににっこりと幸せそうに微笑むと、なまえはとろけそうな瞳でずっとイルミネーションを眺めていた。
なまえがこんなに喜んでくれんなら、来年も此処に連れて来てやらねぇとな。
でも、いつまで経っても動きそうにないなまえに、そろそろ飯に行こうぜって誘ったんだけど…


『もうちょっと見てたいなぁ』
「いや、そろそろ行かねぇと予約の時間が…」
『え?』


しまった!
店に着いてから、限定コースで驚かせようと思ってたのに、つい口が滑っちまった!


『じゃあ、ご飯行こう?ドコに連れて行ってくれるの?』
「あんまり期待すんなよ?父さんたちみてぇにスゲーとこ連れてってやれるわけじゃねぇんだから」
『あれは先生たちが特別なんだよ。中学生なんだからもっと気軽に入れるとこでいいじゃない。それに、新一と一緒だったらどこでも嬉しいよ。二人でご飯行くなんて初めてなんだしさ』


俺と飯ってだけで楽しみだっつって、なまえがまた幸せそうに、嬉しそうに笑うから、俺も自然と表情が弛んでくのを感じてた。
こんなに幸せそうななまえを見るのは初めてな気がする。
デートの度にこんな顔を見せてくれんなら、どこにでも連れてってやりてぇって素直に思えた。
そういえば母さんも初めてなまえと食事に行った時、同じこと言ってたな。


『わぁー…可愛いお店!新一、よくこんなお店知ってたね?』
「いや、実はクラスの奴らに勧められたんだよ。だから、俺も初めて来るんだ」
『こんなに素敵なお店に連れて来てくれてありがとう!』


って、店に入る前に珍しくなまえから俺の頬にキスしてくれた。
何だか今日の俺は夢でも見てんじゃねぇか?ってさっきからずっと思ってんだけど…現実、だよな?
店に入ると店内は少し照明が落としてあって、テーブル席には蝋燭が灯っていた。


『なんかロマンチックだね』


って、蝋燭を眺めてるなまえの横顔がいつもよりキレイに見えた。
いや、普段からなまえは可愛いんだけど、今日はいつになくオシャレしてっし、なんかいつもと言動が違ぇから、ドキドキするっていうか…惚れ直すってこういうことを言うんだろうか?

ってか、プレゼントってどのタイミングで渡したらいいんだ?
食事が終わった後か?
それとも家まで送ってからか?
でも、せっかく食事に誘ったんだから、此処で渡すべきだよな?
何かそれ考えたら緊張して来たんだけど。
何とかしてこの緊張を誤魔化さねぇと、俺、プレゼント渡せねぇ気がする。
そう思って、ホームズの話でもして気を紛らわそうとしてたんだけど、デザートが来る頃には緊張で胸が張り裂けそうだった。


『ねぇ、新一』
「な、なんだ?」
『さっきから何をそんなに緊張してるの?』
「えっ!?」


バレてたのか!?
俺、そんなに分かり易いくれぇに緊張してんのか?!
いや、実際今まで感じたことねぇくれーに緊張してんだけど!
でも、渡すなら今しかねぇよな!?
頑張れ、俺!


「あ、あのさ」
『なぁに?』
「…」
『どうしたの?』
「…」
『新一?』


だーもうっ!!
今渡せねぇでどうすんだよ!
この為だけにあんだけ店回ってプレゼント買ったんだろ!?
よし、今しかねぇ!!
渡せ、俺っ!


「こ、これ!クリスマスプレ、ゼント。なんだけど…受け取ってくれるか?」
『ありがとう。ねぇ、開けていい?』
「お、おう」


俺はバカか?大事な場面で何ドモってんだよ!


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