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(番外編)新一side


最近、俺は部活帰りにいろんな店を回ってる。
理由は簡単。なまえへのクリスマスプレゼントを探してるからだ。
でも、女へのプレゼントなんか初めてだから、正直何を選んだらいいのかが分からない。
何を贈ったらあいつが喜ぶのか、そこからもう躓いてる。
どうせなら、母さんたちがキャリー贈った時くれぇに喜ばせてやりてぇし…。


「工藤?こんなとこで何してんだ?」
「何だ。オメーかよ。脅かすんじゃねぇよ」
「脅かすって…俺は普通に声かけただけじゃねーか」


今日はどの店を回ろうかと、デパートのパネルの前で考えていたら、クラスメート兼チームメートの瀬戸が声を掛けて来た。


「なまえへのクリスマスプレゼント考えてたんだよ」
「お前、まだなまえちゃんにプレゼント買ってなかったのかよ!?」


サッカー部では先輩たちがなまえのことを「なまえちゃん」って呼ぶせいで、すっかりそれが定着してしまっている。
先輩たちはともかく、同じ1年の奴らには気安く呼ぶんじゃねぇよっ!って言いてぇとこだけど、俺らが付き合い出す随分前から定着してしまってるから、今更言い出すわけにもいかない。

ついでに瀬戸を始め、サッカー部の奴らが「なまえちゃん」って呼ぶせいで、他の奴らにまでその呼び方が伝染しつつあるのが俺が恋心を抱いてからの悩みの種だったりする。


「お前、今までなまえちゃんに何プレゼントしたんだ?」
「したことねぇよ。今回が初めてだから悩んでんだって」
「じゃあ、定番のアクセサリーで決まりだな!ネックレスとかいいんじゃねぇか?」
「でも、あいつオシャレには気ぃ遣ってっから、ネックレスとかいっぱい持ってるぜ?」
「バカ!彼氏からのプレゼントってことに意味があんだよ!」
「そういうもんか?」
「そうそう。工藤がネックレスプレゼントしたら、なまえちゃんぜってー喜ぶって!」


んー…ネックレスかぁ。
あいつ、父さんたちからのプレゼントを抜きにしてもいろんなの持ってた気がすんだけど…瀬戸があれだけ勧めて来たんだし、ネックレスにすっかな。
クリスマスまで時間もねぇし。
瀬戸と別れて、アクセサリーが売ってる場所を探してっとまた聞き慣れた声が聞こえて来た。


「新一?こんなとこで何してるの?」
「げっ…今度は蘭かよ」
「何よ!その反応は!!」


ウルセーからオメーと園子にだけは会いたくなかったんだよ!
なんて言ったら、蹴りか拳が飛んで来るんだろうな。


「なまえへのクリスマスプレゼントにネックレス贈ろうと思って売り場探してたんだよ」
「新一、まだなまえへのプレゼント買ってなかったの!?」


なんか今日はこの反応ばっかだな。
しゃーねぇだろ?
何買うか迷ってたら、目移りしちまってなかなか決まんなかったんだからよ。


「ほら、行くよ!」
「は?行くってドコに連れてく気だよ?」
「アクセサリー売り場に決まってんじゃない!なまえにネックレス買うんでしょ?私も選ぶの手伝ってあげるから!」


…オメーが選んだら、ぜってーメルヘンチックな子どもっぽいのになるだろ?
そんなのなまえに贈れるわけねぇじゃねーか。
あいつ、普段の私服でも大人っぽいヤツ着てんだぜ?
それが背伸びした感じじゃなくて、しっくりキテんのがなまえのスゲーとこなんだけどな。


「ここが私がよく来てるお店だよ!」
「へぇー」
「さぁ、さっさとなまえに贈るヤツ選んじゃおうよ」


女もんのアクセサリー売り場なんか初めて来たけど…いや、俺、普段アクセサリーなんかつけねぇからこういうとこ自体初めて来たんだけど、結構種類があんだな。
これだけたくさんありゃー、なまえに似合いそうなヤツの一つや二つ見つかる、か?


「ねぇ、新一!これなんかどうかな?可愛いよ?」
「バーロー!なまえにんなガキっぽいの似合うわけねぇだろ!?自分の好みで選んでんじゃねぇよ!」
「あ、そっか。なまえって大人っぽいもんね。テディベアのネックレスなんか似合わないか。んー…」


どうやら蘭も真剣に選んでくれるつもりらしい。
まぁ、こんだけの量を俺一人で見れるわけねぇし、助かんだけどな。
そんなこと、本人にはぜってー言わねぇけど。


「これとかは?ほら、四葉のクローバーって幸福を運ぶって言うし、この一つだけ色が違うとこなまえに似合う色だと思わない?」
「あー…それならアリかもな」


俺も真剣に探してんだけど、何かどれもしっくりこねぇんだよな。
確か、なまえの部屋にネックレス飾ってるボードがあったはずなんだけど…だーもうっ!どんなんがあったか思い出せねぇ!!
こんなことになるんだったら、もっとしっかり見ときゃ良かったぜ。
観察力は探偵に必要な要素だってのに、ダメじゃねぇか!

毎日の様になまえをマンションまでは送ってっけど、実はまだあのなまえの部屋には数えるほどしか入ったことねぇんだよな。
なまえの部屋まで行っちまうと、俺がなまえ離したくなくなって、なかなか帰れなくなっから。


「新一、これもいいんじゃない?」
「あー、さっきのよりはいいな。そっちのがなまえに合う気がする」
「新一は何かいいの見つかった?」
「いや、なんかどれもしっくり来なくてよ…俺、反対側に飾ってあんの見てくっから、オメーはこっち側見ててくれよ」
「うん、分かった!」


結局、30分くれぇそこでネックレスを選んで、俺と蘭で7つ候補を選んで一番なまえに似合いそうなのを買ったんだけど、ビックリするぐれぇに安かった。
そういえば、蘭のとこはおっちゃんがだらしねぇから蘭がしっかりやりくりしてんだったな。

でも、まぁ中学生の贈りもんだし、別に不自然じゃねぇだろ。
なまえ、私立に来んの中学からだったらしくて、うちの学校のことにイチイチ驚いてたくれーだし。
問題はこれがなまえの好みに合ってるかってとこだよな…。
なーんか、違ぇ気がすんだけど…イヴまでもう時間ねぇし…これでいいか。

好きな女に贈るプレゼントを選ぶのに、まさかこんなに苦労するとは思わなかったぜ。
父さん、よくマメに母さんにプレゼント出来てるよな。
記念日、記念日っつって年に何回記念日があんだよってツッコミたくなるくれーに母さん騒いでんのに。

逆になまえは一緒に居れたらそれでいいっつってプレゼントもお祝いも要らねぇっつーし…母さんと足して割りゃあちょうどよくなるんじゃねぇか?

そんなことを考えながら、これ喜んでくれっかなってクリスマス用にラッピングされた袋を眺めながらなまえと母さんが夕飯を作ってくれてるであろう家へと帰った。



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