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「それでな、その時ホームズがこう言うんだ」


X'mas限定のカップルコースは全ての料理が可愛く盛り付けられていて、ご飯も美味しかった。
外観も内装も可愛くて、雰囲気が良くて味も申し分ないとくればクラスの子がデートにここを勧めて来たっていうのも納得だ。

それで、今はコースの最後のデザートを食べてるんだけど、コースが進むに従って、新一が必死にホームズの話をし始めた。
のは、いいんだけど、さっきから同じ話ばかり繰り返してることに本人は気付いていないらしい。
何を誤魔化してるんだろう?


『ねぇ、新一』

「な、なんだ?」

『さっきから何をそんなに緊張してるの?』

「えっ!?」


どうやら図星だったらしい。
なーんか変だと思ってたんだよね。
ここに来るまでは普通に話せてたのに、料理が来たくらいからどんどんどうしようって顔するし、挙句にホームズの話に無理矢理変えちゃったしさ。


「あ、あのさ」

『なぁに?』

「…」

『どうしたの?』


新一はごくりと息を飲むと、覚悟を決めましたって感じでコートのポケットから、ラッピングされた包みを取り出した。


「こ、これ!クリスマスプレ、ゼント。なんだけど…受け取ってくれるか?」

『ありがとう。ねぇ、開けていい?』

「お、おう」


ラッピングを開けると中から出て来たのは、可愛い感じのネックレスだった。
ちょっとあたしには可愛過ぎる気もするけど。


『ありがとう。早速付けるよ』

「え!?いや、その方が似合ってるって!」

『新一からのプレゼントなのに、つけちゃダメなの?』

「だ、って…何プレゼントしたらオメーが喜ぶか分かんなくて、さ。それ選んだんだけど、なまえ、ネックレスはいっぱいもってるだろ?元々いろんなのつけてたし、父さんたちからのプレゼントも家のジュエリーボックスん中にあるの知ってっし…それに、今つけてるヤツ、最近ずっとつけてただろ?お気に入りなんじゃねぇのか?」

『これはお守りにしてただけだよ』

「え?」

『この中に入ってる石がね、孤独感を消してくれるんだって教えてもらったの』

「石?」

『ケージの中に小さな石が入ってるんだよ。見てみて?』

「あー、確かに入ってるな」


ケージを翳して、中の石を新一が確認してる。
さっきまでの緊張はこれを渡すタイミングを図ってたのか。
相変わらず、新一は可愛いな。


「でも、お守りならなおさらこっちの方がいいんじゃねぇのか?」

『これがあるから大丈夫だよ』

「え?」

『これつけてたら、新一がいつも一緒に居てくれてるって思えるでしょ?』


新一はあたしの発言を聞くと顔を真っ赤に染めてしまった。
あれ?そういう意味でネックレスを選んでくれたんじゃなかったのかな?
アクセサリーをプレゼントするのは独占欲の現れだって聞いたことある気がするんだけど。


『新一、これ、あたしからのプレゼント』

「さ、サンキュー。開けてもいいか?」

『うん』

「これ、って…オメーが今日携帯につけてるヤツに似てんな」

『うん。それね、ペアなんだよ。だからあたしも今日から着けたの。そのネックレストップと一緒に買ったんだけど、その緑の石には希望と新しい始まりって意味があるんだって』

「へぇ…」

『だから、これからの新一と刻む時間に希望が溢れていますようにってそれにしたの。あたしは新一と一緒にいれて幸せだから、新一のこれからの時間も幸せでありますようにって』


それまで新一はストラップを大事そうに眺めてくれてたんだけど、あたしの発言に新一はまた顔を真っ赤に染めてしまった。それも耳や首まで染まるくらいに。
ホントに新一はすぐに顔に出るから可愛くて仕方ない。


「サンキューな。俺もこれ早速つけるわ」


くしゃっと嬉しそうに笑って、新一は自分の携帯を取り出してくれた。
喜んでもらえたみたいで良かった。
あのお兄さんに今度お礼を言いに行かなきゃだな。


「でも、珍しい形してるよな。これもだけど、さっき見せてもらったネックレスもなんか手作りっぽく見えたし」

『え?ぽく、じゃなくて手作りだよ?』

「は?」

『手作りのシルバーアクセ売ってるとこで買ったんだもの』

「…」

『どうしたの?』


なんか新一が驚いて固まってしまってるんだけど…あたし、何か驚くような発言したかな?


「なぁ…もしかしなくても、これ結構高かったんじゃねぇか?」

『そんなの気にしないでいいって。あたしのキモチだし』

「いや、でも!俺のそれはホントに安物だし!」

『新一のキモチが嬉しいから、あたしはこれがいいんだよ』

「…」


新一は何やら難しそうな顔をして考えこんでしまった。
さっきみたいに素直に喜んでくれてたら良かったのに、あたしはどうやら一言多かったらしい。

会計の時も、あたしも自分の分を払おうとしたら俺が払うって全力で止められたし。


「なぁ…ハワイ行ったら一緒にアクセサリー見に行くか?」

『え?』


送ってもらったあたしの部屋で、いつものように新一に抱き締めてもらってたら新一が急にそんなことを言い出した。


『どうしたの?急に』

「いや、やっぱオモチャみてぇなそれじゃなくて、ちゃんとしたのオメーにやりてぇし…」

『そんなの気にしなくていいって、あたしさっきも言わなかったっけ?』

「じゃあ、ペアのヤツ何か買おうぜ?」

『え?』

「オメーもペアくれたし、その方がずっと一緒って感じするだろ?」

『それは嬉しいけど…新一、普段アクセサリーとかしないじゃない』

「オメーとペアなら喜んでつけるって。な?それならいいだろ?」


あたしの頬にキスしながら、新一は誤魔化したけど、やっぱりあたしが贈ったのがシルバーの手作りだって知ったから気を遣ってるらしい。
余計なこと言わなきゃ良かったな。


「それに、俺が気にしてんのは値段じゃなくて、さ」

『うん?』

「オメーは俺の為にいろんなこと考えてプレゼント選んでくれたのに、俺、ちゃんと選んでなかったから…」

『え?』

「いや、だから!オメーが俺に喜ぶもんくれたみてぇに、俺もなまえが喜ぶもんちゃんとやりてぇんだって!」

『あたし、これもらえて嬉しかったよ?』

「いや、それ買った時も実は思ってたんだけど…それ、オメーの好みじゃねぇだろ?」

『え?何言って』

「そこに飾ってあるネックレスとかと明らかに趣味が違うじゃねぇか」


しまった。
新一がネックレスくれるって分かってたら、普段選び易いようにってボードに飾ってあるネックレスなんてしまっておいたのに。


「だから、一緒に選びに行きてぇんだよ。俺、こういうの詳しくねぇから、ちゃんとオメーが気に入ったヤツ買ってやりてぇんだって」

『だったら別にハワイじゃなくったって、』

「早く買ってやりてぇけど、明後日からハワイだろ?俺、明日までは部活に出るから、それならハワイでいいじゃねぇか」


でも、向こうじゃ新一が高いの買おうとしても、あたし分かんないから阻止出来ないんだけど?
初海外で、お金ってどこで換金出来るんですかね?って先生に聞いたら、向こうでは一緒に行動する時には先生たちが払うし、それ以外でも新一にお小遣いちゃんと渡すからあたしが払う必要ないって教えてもらえなくて、自分のお金で払うわけにもいかないのに…。


「な、いいだろ?なまえの初めての海外の記念にもなるし」


ここはどうやら頷かないと新一は納得してくれないらしい。
仕方ないか、と諦めることにした。


『ペア買うんなら、新一もちゃんと選んでね?あたしの好みだけじゃなくてさ、新一も気に入ったヤツ買おうよ』

「っし!じゃあ、決まりな!」


あたしが了承すると、新一は嬉しそうにあたしの頬に何度かキスをくれた。

初めての海外旅行のハワイ、なんだかとっても不安です…。


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