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「え!?嘘っ!?」

『ホントです』

「やーっと新一、なまえに告白出来たんだぁ。良かったー」

「あたしはなまえちゃんのアメリカ行きの話がなくなって良かったー」


次の日のお昼休み、ご飯を一緒に食べながら、早速3人に昨日のことを報告したら、思いの外喜んでもらえた。
明日香に関してはあたしに抱きついてくれるくらいに。
まぁ、ずっとアメリカ行って欲しくないって言ってたくらいだもんね。


「これでなまえちゃんとずっと一緒にいられるね!」

『うん。来年も一緒のクラスになれるといいよね』

「なれなくてもご飯は一緒に食べようよ!」


なんて嬉しいことを可愛い笑顔で言ってくれるんだ、この子は。
もちろん!って返事をして、あたしも明日香を抱き返した。


「でも良かったじゃない!これで、なまえに告白して来たあの二人もなまえのこと諦めてくれるでしょ?」

『ちょ、園子!声が大きいってば!新一に聞かれたら…』

「なぁ、なまえ。あの二人って、あいつ以外にも告白されてたのかよ?」

『し、新一…』


ほら、言わんこっちゃない。
こういう聞かれたくない話をしてる時に本人が現れるっていうのは物語の定番なんだから!
肩に置かれた手に恐る恐る振り向くと、新一がちょっと怒ってる感じで立っていた。


『いや、それは、あの…』

「なまえに好きな人がいたくらいじゃ諦めないって言われたのよね?」

『園子!余計なこと言わないで!』

「へぇ?」

「二人ともアメリカ行くぐらいなら自分のとこ来いって言ってたんでしょ?あ、一人はなまえがアメリカ行くなら自分もアメリカに行くとまで言ってたんだっけ?」

『園子!いい加減にしてったら!それ以上言ったら怒るわよ!?』


完全に面白がってる園子に待ったをかけたんだけど、もう完全に手遅れだ。
だって、新一からすっごい痛いくらいの視線を感じてるから。


「で?そいつらにはもう俺と付き合ってるってちゃーんとお断り入れたんだよな?」

『まだ、だけど…』


昨日あんたが帰ったの何時だと思ってるのよ?
あんな時間に連絡出来るわけないじゃない!


「じゃあ、ちゃんと今日中に連絡しとけよ?しつけーようなら俺が代わりに話つけてやっから」

『…』


新一があの二人と話したら、何かとんでもなくえらい騒ぎになりそうな気がするんだけど、あたしの気のせい?


「なまえ?返事は?」

『はぁい…』


あたしの返事を聞くとよしって普段通りの笑顔になって、あたしの頭をくしゃっと撫でてからサッカーをする為に教室を出て行った新一。
お断りの連絡はするけど、何言われても新一にだけは伝えないと思う。
だって、あの二人と新一が今の段階で接点もつわけにはいかないもの。


『園子のバカ。何で新一にバラしちゃったのよ?』

「だって面白そうだったんだもん。あんなに怒ってる新一くん珍しいしさ。やっぱり彼女が他の男に言い寄られてるって聞いちゃ冷静じゃいられないわよね。なまえってただでさえモテるから学校でもよく告白されてるし、余計に心配なのよ」

『もうっ!他人事だと思って遊ばないでよ!新一が本格的に怒ったらもっと怖いんだから!!』


望月さんと仲良く話してただけで不機嫌ロミオになってたの園子だって見てるでしょう!?

なんて、二人きりの帰り道で園子にずっとお昼のことを怒ってた。
今日は珍しく家まで来るって園子が言い出したから一緒に今向かってるとこだったりする。


「でもさー、あの色黒くんと撮ったバカップルなプリクラ見つけたら新一くん更に大変なことになると思うけど?」

『見つからないようにちゃんとしまってあるから大丈夫よ。園子がバラしたりしなきゃね』


園子にはあのプリクラを見せたんだけど、あんたが受け狙いだって勘違いしたのも分かるわって同意された。
何よ、このバカップルプリクラってあたしと同じ感想まで呆れたように言ってくれたくらいだ。
ちなみに、あのプリクラは鍵がないと開かない引き出しの中に、更に鍵つきの箱に入れて厳重に隠してある。


「そこまでするくらいなら、いっそ捨てちゃえばいいのに」

『友だちとの初プリ記念だから、捨てるのはイヤなのよ』

「あんたらしい理由だわ」


って園子は呆れてた。
元カレから貰った何か、とかだったら捨てるのも考えるけど、さすがに友だちとの記念を捨てるわけにはいかないじゃない。


『それで?今日は何しに来たのよ?』

「どんな反応するのか気になるじゃない!」

『何が?』

「あの二人が、あんたが付き合い出したって聞いた時の反応に決まってるでしょ!」

『…園子、まさかその為だけに来たの?』


キラキラと瞳を輝かせながら頷いてる園子。
ホントにこういう話大好きだよなぁって呆れて言葉も出ない。


「昨日、新一くんに告白されたの黙ってたんだから、これぐらいいいでしょ?」

『別に黙ってたんじゃなくて、昨日は新一が帰るのが遅かったから電話するの辞めただけよ』

「え?あんた、新一くんの家で告白されたって言わなかった?おば様にアメリカの学校の資料見せてもらってるの新一くんに見つかったって」

『正確にはその後帰る時に先生にさよならのキスしてるの見た新一が嫉妬したって話なんだけどね。で、それが全部新一があたしに告白するように仕向ける為の先生たちの作戦だったって話なんだけど』


ホントにあの二人にいいように遊ばれただけっていうのがビックリだけど。
あの二人にいつも遊ばれてる新一のキモチが少しだけ分かっちゃったじゃないか。
あたしは新一で遊ぶ側にいたいのに!


「それで、何で新一くんが帰るのが遅かったって話になるのよ?」

『え?あー、送ってくれた新一がしばらく家に居たのよ』

「えっ!?あんたたちまさかもう」

『違うから!キス以上のことはしてないからっ!』


ちょっと、園子さん?
何だつまんないって顔に書いてあるんですけど?


「まぁ、あの新一くんがなまえが告白受けたってだけで、そこまで積極的になるわけないか」

『…なんか新一酷い言われような気がするんだけど?』

「だって、ずっとあんたのこと抱き締めてるだけで満足しちゃったんでしょ?」

『そうだけどさ』


確かに、告白された時にキスしたのと、あたしからキスしたのだけで終わったけど。
帰りにもう一回くらいキスないかなぁとか期待もしてたけど、ホントに抱きしめるだけで満足しちゃったらしくて普通に帰っちゃったし。


「まぁ、その話はそれ以上なさそうだし、さっさと連絡しちゃいなさいよ」

『はーい』


二人にあたしが付き合い出したのとアメリカ行きも辞めたのをメールで送ると、送信完了画面が出た途端に早速快斗から電話がかかってきた。
ワンコ、相変わらず反応が早いな。


『もしもし?』

「さっきのメール、ホントかよ!?」

『ホントだよ?昨日告白されたの。だから』

「っし!なまえがアメリカ行くの辞めたんだったら、まだ俺にもチャンスはあるってわけだ」

『はぁ?』

「そいつに言っといてくれよ。なまえのアメリカ行きを諦めさせてくれたのだけは感謝するってな!」

『いや、だからあたしはその人と付き合い出したって話を』

「オメー、あん時の俺の話、ちゃんと聞いてたか?俺は欲しいもんは必ず手に入れるって決めてんだつっただろ?」

『…』

「じゃ、そーゆーことだから、これからもよろしくな!なまえ!」

『ちょっと快斗待って!…って切れてるし』


はぁ…とため息を吐くと、園子がまじまじとあたしを見てた。


『何よ?』

「なまえ、さっきのマジックの彼からの電話よね?」

『そうだけど?』

「あんた、前まで名字で呼んでなかったっけ?いつの間に名前で呼ぶようになったのよ?」

『あぁ、それね。それは、』


告白された時の経緯とさっきの電話の内容を伝えると、園子は感心したように息を吐いた。ちょっと、何でよ?


「なまえのこと好きだろうとは思ってたけど、まさかそこまで本気だったとは思わなかったわ」

『そんなとこで感心しないでよ』


あたしは諦めてもらえなくて頭抱えてんだから。
これで服部くんにまで似たようなこと言われたら…あ、和葉ちゃんにアメリカ行きの話無くなったってメールしてないや。


「なまえ?色黒くんからメール来たの?」

『じゃなくて。ほら、園子に大阪行った時のプリクラ全部見せたでしょ?あの女のコにもまだアメリカ行き辞めたって伝えてなかったなってメールしてるの』

「ふぅん?」

『付き合い出したら一緒に写メ撮って送ってって言われたけど…そんな恥ずかしいこと出来ないって』

「じゃあ、文化祭の時のロミジュリの写真送ったら?二人で愛囁いてるヤツ。いっくらでも写真あるじゃない」

『恥ずかしさのレベル上げないでくれる?』


もう記憶の彼方に捨て去ったあの恥ずかしい写真をもう一度見るとか、心の底から遠慮するわ。


「じゃあ、諦めて新一くんと写メ撮って送るのね。その女のコに送ったら自動的に色黒くんも見ることになるでしょうし」

『でも、新一も写メとか嫌がるかもしれないし』

「分かったってメール来たけど?」

『は?』

「なまえが大阪の友だちに付き合い出したら二人で写メ撮って送って欲しいって言われてたんだってってメール送ったら、分かった帰りに寄るってメール来たのよ。ほら」


って、園子は携帯を見せてくれた。
さっきから何か携帯いじってると思ったら、新一にメールしてたのか。
何余計なことしてくれちゃってんだ、このお嬢様は。


「ってことで、諦めて写メ撮って送っちゃいなさいよ。あたしは新一くんが来る前に帰るからさ」


色黒の彼の反応もちゃんと教えてよねって言い残して、園子お嬢様は帰って行った。


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