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お昼休みは珍しく明日香と二人じゃなく、園子と蘭も交えた4人で食べることになった。

明日香発案だから、あたしが断る理由はドコにもない。
ただ、挙げられるであろう話題はちょっと憂鬱だけど。


「ねぇ、園子ちゃん。工藤くん、なまえちゃん引き止めてくれないよ?話と違うじゃん!」

「ねぇ、なまえ。もしかして」

『うん。新一、あたしのアメリカ行きの話知らないみたい』

「えーっ!?」



園子の問いにあっさりと答えると、あたしはお弁当を開いた。
やっぱりか、みたいな感じでため息を吐いた園子と蘭とは対照的に、明日香が嘘でしょ!?って感じに叫んでくれた。
明日香はリアクションまでいちいち可愛いな。なんてしみじみ思いながら、お弁当を食べ始める。


『今日話して分かったことだけど、先生、わざわざ新一がいない時狙ってあの話したみたいだし、確実に知らないだろうね』

「あたし、ちょっと工藤くんとこに行って来る!」

『明日香、落ち着いて。とりあえずご飯食べよ?』


明日香の行動が分かってたあたしは先手を打って、席を立とうとした明日香の腕を掴んだ。
でも…って渋りながらも明日香もちゃんと席に着いてくれた。


「でも、バレるのは時間の問題でしょ?」

『だろうね』

「だったら!」

『まぁ、とりあえずはご飯食べようよ。時間なくなるよ?』


今報告しに行ってもいいんじゃないの!?と言いたげな明日香を制して、一人のんびりとご飯を食べていたら、園子からの攻撃が始まった。


「あんた、新一くんの反応が怖いんでしょ?」

『分かってるならわざわざ聞かないでよ』

「新一なら絶対止めると思うんだけどなぁ」

「止めてくれないとあたし困るよ!」


みんなでご飯を食べながら、話題にのぼるのは何故かあたしがアメリカに行くかどうかじゃなく、新一があたしを引き止めるかどうかだった。

なるほどね、明日香には新一が絶対あたしを引き止めてくれるからとか何とか言って説得したわけだ。
何あたしの意思ムシしてくれちゃってんだ。


「でも、工藤くんが賛成派だったらどうしよう…」

「何言ってんだか。大丈夫よ、河野さん。新一くんなら絶対反対派に回ってくれるから!ね?蘭」

「そうそう!何にも心配することないって!」

「俺が何だって?」

「あ、工藤くん!実はね」

『新一!何でもないの!気にしないで?』


絶妙なタイミングで現れた新一にドキッとした。
いや、お昼ご飯食べてる間中、ずっと新一の話してたんだから、いつ現れてもタイミング悪かったんだけど。


「んだよ。俺が賛成派とか反対派とか言ってたじゃねぇか」

「なまえ、いい加減覚悟決めなって!」

「工藤ー!何してんだよ!サッカーする時間なくなっちまうじゃねーか!」

『ほら、新一呼ばれてるよ?早く行かないと!』

「ちぇ。後でちゃーんと聞かせてもらうからな!」


教室の出入口へと走って行った新一に胸を撫で下ろした。
良かった。とりあえずは回避出来た。


「なまえ、何悪あがきしてんのよ?」

『せめてあたしのいない所で言ってくれない?』

「あんたがいないところなら言ってもいいのね?」

『それは諦めがつくから』


目の前でアメリカ行きの話されたら勢いで行くって言っちゃいそうなんだもん。


「じゃあ放課後かなぁ?あたし、今日は塾があるんだけど、練習前に言えるチャンスあるかな?」

『…今日は速攻で帰るわ』

「河野さん、もし言えなかったらメール入れて!私が部活帰りに新一に言うから!」

「ありがとう!蘭ちゃん!」


二人がやる気になってるってことは、どうやら今日中に新一にバレるのは確定らしい。

部活帰りに言われるかもしれないってことは歌いにも行けないし…あたしの逃げ場、一つしかなくない?



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