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園子の席に連れて行かれた明日香は、園子と蘭に何やら事情を説明されると、途端にキラキラと瞳を輝かせていた。
…あの二人、一体何を言ったんだろうと不安に思っていると、さっき教室から強制退場させられた新一が不服そうな顔をして戻って来た。


「ホントにお前何もやってねーんだな?」

「だから!さっきからそう言ってんだろ!?テメーらいい加減に信じろよ!」


どうやら身に覚えのない罪についてこってりと質問責めにあっていたらしい。
…新一、ご愁傷様。

そんな新一を見つけるなり、明日香がパタパタと新一に駆け寄った。
明日香、そんなことしたら八つ当たり喰らうって!と止めに入ろうとしたけど、ここからじゃ距離があり過ぎる。


「工藤くん、さっきはごめんね?」

「あ?」

「あたし、工藤くんのこと応援してるから!だから頑張ってね!!」


それだけ言うと、明日香はルンルンと歌い出しそうなくらいの上機嫌であたしの元まで帰って来た。


「ただいまー」

『おかえり。二人に何言われたの?』

「内緒ー」


えへへと笑う明日香はこの上なく可愛いんだけど…気になるから後で二人に聞いておこう。

新一が短時間で態度の変わった明日香に用事なのか、あたしに用事なのか分からないけど、こっちに来ようとしてた時に、タイミングよくチャイムが鳴った。

でも、新一は1限目が終わるまで待てなかったらしい。
先生が入って来てすぐにあたしの携帯がメール着信で震えた。


from:工藤新一
sb:さっきの
河野の態度何だったんだよ?


んー…どっちのこと言ってるんだろう?
寧ろ両方、か?


to:工藤新一
sb:ごめんね?
朝のはただの勘違いだったみたい
園子たちと話してたら落ち着いたみたいだよ?
何話したのって聞いても、内緒だって教えてくれないんだけどさ


よし、これで大丈夫だろう。
嘘は言ってない。うん。
その後、携帯が震えることもなく、静かに英語の授業が進んでいった。


「なまえ」

『なぁに?』

「今朝のことなんだけどな」

『うん?』


1限が終わった途端にまっすぐあたしの席まで来た新一。
もう明日香は邪魔するつもりはないらしい。
隣でにっこにこしてるし。


「この前のケーキの話しようと思ってたんだよ」

『あー。あれ、どうだった?』

「すんげー美味かった。けど、おかげで母さんがずっと煩くて大変だったんだぜ?」


やっぱり文句を言われたか。
いや、覚悟してたから別にいいんだけどね。
アメリカ行きの話でそのこと自体、すっかり忘れてたけど。


『あたしもあれにはビックリしちゃった。有希子さんの好きな物だって知らずに作ったんだけど、有希子さん、悲鳴上げるんだもん』

「悲鳴?」

『そうそう。ケーキ見た途端にテンション振り切れたみたいでさ。先生が心配するくらいの悲鳴あげてたんだよ』

「…俺、そこにいなくて良かったかも」

『あはは』


想像したのか、げんなりしてる新一が可愛くて笑ってたら、でも、ってちょっと怒ったように言われた。
どうやら続きがあったらしい。


「でも、何で俺がいない時にばっかうちに来るんだよ?」

『別に狙ってたわけじゃないよ?あの時は先生にお呼ばれして行っただけだし』

「あのくそ親父!」

『何か言った?』

「別に」


忌々しいと言わんばかりに新一が呟いた言葉はしっかりと聞こえてたんだけど、あえてとぼけてみた。
たぶん先生は新一抜きであの話がしたかったんだ。
つまり、新一はあたしのアメリカ行きの話を知らないんだ。



(君に知られるのが、知った時の君の反応が、少し怖い)


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