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「ねぇねぇ、今日は何を作って来たの?」

『んー、悩んだんだけど、試合後とかやっぱりあっさりしたヤツの方が食べやすいかなぁってレモンクリームのタルトだよ』

「んーっ!あたしも早く食べたいっ!!」

『園子のは試合が終わった後でね』


今日は園子を誘った例のサッカー部の試合の日。
サッカー部へ差し入れするなんて久しぶりだから、ちょっと緊張してたりする。


「じゃあ、あたし席取っておくから行って来なさいよ」

『え?着いて来てくれないの?』

「あたしが居ても邪魔なだけでしょ?それに早く行かないといい席取られちゃうじゃない!」


どうせ見るならいい席じゃなきゃねっ!
って園子は走って観客席へと行ってしまった。
仕方なく、一人で帝丹中サッカー部の元へ向かう。


「あら?なまえちゃんじゃない!久しぶりね」

『ご無沙汰してます』


ちょうどマネージャーさんがお仕事してたのか、あたしを見つけてくれた。
良かった。中に入らなくて済みそうだ。


『これ、差し入れ持って来たので皆さんで食べて下さい』

「いつもありがとね。ちょっと入って皆に顔見せてやって!」

『えっ?』


マネージャーさんに渡してお仕舞いだと思ってたのに、マネージャーさんに押されるままに控室まで案内された。


「皆ー!なまえちゃんが差し入れ持って来てくれたわよーっ!!」

『え?先輩、そんな大きな声出さなくても』

「え?マジで!?」

「なまえちゃん、久しぶりじゃんか!」

「やったね!俺、次いつだろうって楽しみにしてたんだよ!」


先輩を止めるが時既に遅し。
ストレッチしてたサッカー部の皆様がぞろぞろと集まって来た。


「なまえちゃん、いつもありがとな」

『あ、いえ、つまらないものですが…試合頑張って下さい!』


キャプテンに差し入れの入った袋を渡してると、遠くで先輩が何か口パクしてるのが見えた。
あっ!


『新一!』

「ん?」

『応援してるから頑張ってね!』

「!おう!」


満面の笑みで答えてくれた新一を見て、さっきの先輩の方を見るとグッと親指を立てていた。
なんて分かりやすいジェスチャーを…。

ちょっと苦笑いしながら、控室を後にした。


「どうだった!?」

『皆喜んでくれたよ?また今度感想くれるんじゃないかな?』


園子のいる場所を探して合流するとキラキラした瞳で興味津々に聞かれた。
そんなに興味があるなら、一緒に来れば良かったのに。


「そうじゃなくて!新一くんよ!」

『あー。新一に声かけてって言われてたのすっかり忘れててさ、先輩にジェスチャーで注意されちゃった』

「それで?」

『応援してるから頑張って!って言ったら何か機嫌良さそうだったよ?今日調子いいのかな?楽しみだよね』

「そ、そうね」
(あんた、新一くんがなまえを好きだって事実忘れてんじゃないでしょうね?)


園子が何か言いたそうにしてたけど、試合が始まったので、お喋りはそこでオシマイになった。


『やっぱりサッカーやってる新一ってカッコイイなぁ』

「(よし、この顔写メって新一くんに送ってやるか)」


カシャッ


『園子何してんの?』

「相手チームにカッコイイ選手が居たから写メってたのよ!」

『園子ってホントにそういうの好きだねぇ』


呆れたように笑うなまえの話を軽く聞き流して、さっき撮った写メを添付して、新一くんにメールを打った。


to:工藤新一
sb:(no title)
なまえがこんな顔しながら、サッカーしてる新一くんカッコイイって応援してたわよ!


ちょっと蕩けるような瞳で見てたとか、なまえは自覚ないんでしょうけどね。
ロミオを想うジュリエットとまではいかなくても、やっぱり脈アリなんじゃない?



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