休日の部活も終わって、帰りに本でも買って帰るかと本屋に向かっていたら園子から電話がかかって来た。
なーんかイヤな予感がすんだけど。
「もしも」
「こんのバカタレっ!!」
ほらきた。
開口一番にソレかよ。
「園子、オメーさっきも意味不明なメール送って来てたけどよ、今度は何なんだよ?」
部活中に入ってたメール
from:鈴木園子
sb:このバカ!
何で決めるべきとこで決めちゃわないのよ!?
お陰で話がややこしくなっちゃってんじゃない!!
内容を入れろよ、内容を。
そんなんで解るかってんだ。
「あんた、何であの日に告白しちゃわなかったのよ!?」
「は?何の話だよ?」
「あんたがなまえに散々に避けられ続けた日のことよ!!」
あー…あの思い出したくもねぇ、人生最悪の日な。
なまえには避けられるわ、クラスでは貶されるわ、部活ではこき使われるわ、家に帰れば母さんがギャンギャン煩いわ……
あのままなまえと口聞けなかったら、ホンっトに最低な日だったぜ。
「ちょっと、新一くん!聞いてんの!?」
「オメーが変なこと言い出すから、あの日のこと思い出しちまったじゃねぇか」
「だから!何であの時告白しちゃわなかったのかって聞いてんの!!」
「バーロー!あの日はそれどころじゃなかったんだよ!こっちは二度となまえと口聞けねぇのかと思ってたんだぞ!?」
あのまま避けられ続けてみろ!
三日と持たずに心が折れるだろーがっ!!
「あんたがそんなんだから、なまえが変な自己完結しちゃったんじゃない!!」
「は?何の話だよ?」
「新一くんのキモチには気付いたけど、告白されたわけじゃないからって自己完結しちゃったのよ!」
は?
いや、あんだけモロに嫉妬したんだから、バレただろうなとは思ってたけど。
寧ろあれで気付かれなかったら、それはそれでヘコむけど。
何だって?
「俺、急がねぇからっつったけど?」
なまえのキモチが決まったら、返事くれって意味で。
「あんた、ソレ“急がないから前みたいに接して欲しい”って言ったんでしょ?」
そう言われてみればそうだった気もすっけど…ぶっちゃけ、あん時は必死過ぎてよく覚えてねぇし。
でも、俺のキモチが分かってんなら意味通じそうなもんじゃねぇか?
「ちゃんと言葉にしないと通じないのがなまえなのよ」
「はは、んなバカな…ちょっと待て。そういえばあの次の日、父さんに意味深に頑張れって言われたんだけど、もしかしてそれ知ってたってことか!?」
「知ってたんじゃない?新一くんのおじ様に相談に乗ってもらってたって言ってたし」
あんのくそ親父、また俺の知らねぇとこでなまえと会ってたのかよ!?
「新一くん、さっきから携帯ミシミシいってんだけど大丈夫?」
「あ、悪ぃ。父さんにムカついてたらつい力が入っちまった」
「でも、新一くん、おじ様に感謝しなさいよね?」
「は?何でだよ?」
「なまえが新一くんの話聞く気になったの、新一くんのおじ様に話聞いて貰って落ち着いたからだって言ってたからよ」
「…」
「おじ様がいなかったら新一くんのことずっと避けて逃げてたかもしれない、とまで言ってたけど?」
それは困る、っつーかそこには感謝する、けど、素直に納得なんか出来るかってんだ!
いっつも俺の知らねぇ間になまえとこそこそ会いやがって、あの親父っ!!
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