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「なまえー!」

「なまえ、おはよー」

『おはよー。あ、蘭も来てくれたんだ?』


迎えに来たよーって園子からメールを貰ったから、エントランスへと降りたら、園子だけじゃなく蘭も一緒だった。


「うん!園子だけズルいって私もついて来ちゃった」

『ズルいって何?あたしと一緒に登校しても何の特典もついてこないよ?』


クスクスと蘭の言葉に笑っていたら、二人が顔を見合わせて笑顔になった。ん?


「良かったー。なまえが元気になって!」

「なまえはそうやって笑ってた方がなまえらしくていいわよ!」

『今まで心配かけちゃってごめんね?学校行こっか』


三人で学校に向かってる間、蘭の部活の話や園子の意中の人の話で盛り上がっていると、後ろから声をかけられた。


「なまえっ!」


呼ばれて振り返ると新一がちょっと不安そうな顔をしてこちらへと歩いて来ていた。


『おはよ、新一』


普段通りに笑顔で挨拶をすると、不安そうな表情から一変して、新一が安心したような笑顔になって「っし!」と小さくガッツポーズをしてた。
あたし、挨拶しただけなんだけど?


「良かったわねー、新一くん。なまえに“工藤くん”って呼ばれなくて」

「そうそう。昨日みたいになまえに避けられてたら、今日も一日中暗ーい顔してたんじゃない?」

「ウッセーな」


二人に絡まれてる新一に笑いながら校門をくぐると、サッカー部の先輩にばったりと会った。


「工藤、なまえちゃんと仲直り出来たのかよ!?」

『ご心配おかけしてすみませんでした』


どうやらホントにサッカー部にまで迷惑をかけていたらしいとペコリと頭を下げると、先輩がくしゃっと軽く頭を撫でてくれた。


「んななまえちゃんが謝るこたぁねーって!全っ部、工藤のせいだから!ちゃんとこいつには基礎ノルマ追加って罰与えたけど、足りなかったら言ってくれよな?いっくらでも追加してやっから!」

『えっと…』

「先輩、あれ以上追加されたら俺練習に参加出来ないんスけど」

「元はと言えばお前のせいだろうが!だいたい、お前がなまえちゃんを泣かせたりしなければだな」

「ねぇ、なまえ。長くなりそうだから先に行こうよ」

『だね』


先輩にまだ怒られてる新一を見捨てて、三人で教室に向かえば、クラスメートからも「元気になったみたいで良かった!」って次々と声を掛けられた。
ホントにみんな心配してくれてたんだと、チクリと罪悪感と共にじんわりと嬉しさが込み上げた。


「なまえちゃん、おはよー」

『おはよー、明日香』

「いつものなまえちゃんだー!良かったぁ!」


ぱぁっと顔を輝かせてあたしに飛び付いてきた明日香を抱き返して、イチャイチャしてるとやっと先輩に解放して貰えたらしい新一が疲れた感じで教室に入って来た。

けど、すぐに男の子たちに囲まれてドコカへと行ってしまった。
正確には連行されて教室から消えた。


『なんか新一相変わらず人気者だね?』

「なまえちゃん、それ、ちょっと違うと思う…」

『そう?』

「昨日の工藤くんも大変そうだったけど、今日は今日で大変そうだよね」

『昨日何かあったの?』

「ううん!なまえちゃんは気にしなくて大丈夫ー」


何があったのかはちょっと気になるけど、昨日ずっと不安そうな顔をしてた明日香が今日はにこにこと幸せそうに笑ってるから、まぁいっかと授業が始まるまで明日香とのお喋りを楽しんでいた。


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