『明日香、ごめんけど、今日は一人でご飯食べたいんだ。いいかな?』
「それはいいけど…なまえちゃん、大丈夫?」
『大丈夫だよ。ホントにごめんね?』
クラスに居たくなくて、休み時間になる度に教室を出た。
そして昼休みの今もあたしは屋上へと逃げた。
もう屋上でご飯を食べるには風が寒いけど、教室にいるよりは幾分マシな気がした。
なんか教室にいると息が詰まるんだ。
「なまえ、あたしたちも混ぜてよ」
『園子?蘭まで…どうしたの?』
少しでも風を避ける為に壁に背を預けてお弁当を開こうとしたら、人影が出来て、上を向くと二人があたしを覗き込んでいた。
「なまえが一人で教室から出て行くの見えたからついてきちゃった」
『でも…ここ寒いでしょ?』
「たまには外で食べるのもピクニックみたいでいいじゃない!」
「そうそう!私たちも座ってもいいかな?」
『うん…』
あたしはどれだけの人に迷惑をかけたら気が済むんだろう。
情けなくて泣けてくる。
「もう!そんな顔しないでよ!あたしたちが勝手についてきたんだからさ」
『ありがとう』
三人でお弁当を食べながら、他愛のない話ばかりしていた。
あたしが避けてたせいもあるけど、二人とも昨日から何も聞いて来ない。
きっと、あたしから言うのを待っててくれてるんだ。
でも、何て言ったらいいのかが分からない。
『二人とも心配かけてごめんね?』
「そんなこと気にしてたの?あたしはいつでもあんたの味方だって言ったでしょ?」
「ちょっと園子、私のこと忘れてない?なまえ、私もなまえの味方だからね」
『うん…ホントにありがとう』
このままじゃいけないことは分かってるんだ。
だけど、どう行動に移していいか分かんないし、行動に移すのが怖い。
『あたし、さ』
「うん?」
『どうしたらいいか分からないんだ』
「だったら、何もしなくていいんじゃない?」
『え?』
蘭の言葉に驚いて、今まで俯いていた顔をあげたら、二人とも笑っていた。
「なまえはなまえのままでいいんだよ。無理に何かする必要なんかないって!」
「そうそう。あたしたちが傍にいるしさ。何も心配することなんかないわよ!」
そう、なのかな。
あたし、何もしなくてもいいの?
『でも、』
「新一くんなら今頃クラス中からブーイング食らって反省してるだろうし、放っといていいから」
『え?』
何で新一がみんなからブーイングされてるの?
「なまえ泣かせたんだから当然よ!私だって今朝こっぴどく叱ってきたもん」
『えっと…どういうこと?』
「つまり、クラスのみんなもあんたの味方ってこと!」
クラスのみんながあたしの味方…?何で?
「ついでに言うなら、サッカー部の人たちもなまえの味方だと思うわよ?」
『えっ?』
それって逆に新一の居場所がなくなるんじゃない?
どうしよう…。
あたしのせいだ。
「心配しなくても、クラスのみんなもサッカー部のみんなも新一くんの味方でもあるから安心しなって!」
「そうそう!今はちょっとお灸を据えてるだけだから!」
でも、新一、別に何も悪くないのに。
あたしがただ泣いちゃっただけで…。
ホントにどうしたらいいんだろう。
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