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夕飯を食べ終わって、のんびりと音楽を聞いていたら、携帯が着信を知らせた。
誰だろう?って思って確認したら新一からで。珍しいこともあるもんだ。


『もしもし?』

「おう。今平気か?」

『うん。大丈夫だけど、どうかしたの?』

「金曜日ってさ、何か菓子作る予定とかあんのか?」

『あー、そうだね。何作ろうかな』


言われるまで忘れていた。
確かに手ぶらで行くわけには行かない。

でも、先生の家には結構いろんなものを作って差し入れしてしまったので、そろそろレパートリーも底をつく。
この前食べに行ったケーキに挑戦するか?
でも一発でうまく行くとは限らないし…


「なまえ?」

『あ、ごめん。何作るか考えてて聞いてなかった。何?』

「だから、リクエストしてもいいかって聞いたんだけど」

『リクエスト?』

「ほら、結構前になるけどオメーが作ってきた林檎の菓子があっただろ?」

『えっと…どれのことかな?』


結構林檎を使ったお菓子は作ってるので、それだけじゃどれのことを言ってるのかが分からない。
林檎を使うなんて定番だし。


「ほら、俺がまだオメーが父さんのファンだって知らなかった時に作って来てたヤツ」

『林檎薄切りにして並べて、カスタードクリーム流して焼いたタルトのこと?』

「そうそう。アレがまた食いてぇんだけど、ダメか?」

『いいよ。じゃああれ作るね』


タルト生地に時間がかかるヤツだから、早めに言ってもらえて良かった。
ついでにサッカー部への差し入れの分も作ろうかな?
明日買い出しに行かなくちゃ。

工藤くんとの電話が終わって、材料に何が足りないのか確認していると今度は園子から電話がかかってきた。
今日は何だか忙しいな。


『もしもし?』

「今日どうなった!?」

『どうなったって何が?』


最近の園子は目的語を抜かすから何が聞きたいのかよく分からない。


「ほら!今日、新一くんと一緒に帰ってたでしょう?」

『ああ、それか。それが何だって?』

「だから!何かなかったかって聞いてるのよ!」


もう、焦れったいわねっ!て言葉が聞こえて来そうなくらいに興奮してる園子様。
でも、一緒に帰っただけで何があるっていうんだろう?


『何かって…普通に一緒に帰っただけだけど?』

「それだけ?」

『えーっと…途中でサッカー部の先輩方に捕まって、新一はなんか囲まれてたけど』

「あー、それは仕方ないわね」


分かる分かるって感じで言われても、あたしには全然分からないんですけど?


「で、あんたは?何も言われなかったの?」

『試合の前にメールでもいいから新一に頑張ってとか応援の声かけして欲しいって頼まれたよ?』

「それ、差し入れする時に直接新一くんに言った方がいいわよ?」

『そうなの?』


先輩にはそんなこと言われなかったけど、どうして園子には分かるんだろう?


「他には?」

『有希子さんがあたしに会いたがってるから、週末泊まりに来ないかって』

「マジで!?」

『え?うん。それでさっき電話が来て、差し入れのお菓子のリクエストもらってたの。園子も食べる?』

「食べる食べる!」

『じゃあ金曜日に蘭と明日香の分も作って行くから、お昼ご飯みんなで食べようよ』

「そうね。最近4人で食べてなかったし」


どうやら園子の興味が何かからお菓子に移ったらしい。
さっきまで興奮してた声色が普通な声に変わった。

今度園子に聞いたら、何の話かちゃんと教えてくれるかな?
とか思いつつ、その後はまた蘭とどこか行こうとか他愛のない話を続けて夜が更けていった。



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