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放課後、人も疎らになった教室で、のんびりとサッカー部を眺めていようと思ったら、後ろから聞き慣れた声がした。


「へぇ。ここからでも意外とよく見えるじゃない」


なんて言いながら、ちゃっかりとあたしの後ろの席に座った園子。


『で?なんで園子まで残ってるのよ?』

「堅いこと言わない!なまえとちょっと話したかっただけよ」


絶対嘘だ。
いや、100%嘘かと言われると悩むけど、顔がニヤけてるもの。


「なまえはここでいっつも新一くんを陰ながら見てたってわけね」

『いつもじゃないわよ?時々って言ったでしょ』


第一、園子とよく一緒に帰ってるじゃない。忘れてるの?


「なまえはさ、新一くんのことどう思ってるの?」


グラウンドでアップをしてるサッカー部を見ながら、園子がポツリと呟いた。
さすがにその意味が分からないほど、鈍くはない。


『一学期は蘭の旦那として見てたけど』

「あ、それあたしもだわ」

『でしょ?でも、今はどうなんだろ?割りと仲のいい男友だち?』


改めて問われると答えに困る。
先生の家にお泊まりしてる内に普通に話せるくらいには仲良くなったけど、だからどうって言うわけでもないし。


「ロミジュリの時はあんなに愛を語り合ってたのに?」

『あれはお芝居でしょ?第一、あたしをヒロインに押したの園子じゃない』

「そうだけどさぁ。あたし、あんたがあんなに演技出来るとは思ってなかったし」

『え?』

「あんたがジュリエットやってる時に新一くんを見る瞳が、恋してる瞳だったって言ってるの」


そんなことを言われても、別に意識してやっていた訳でもないから反応に困る。
第一、恋してる瞳ってどんな瞳なのよ?


「ロミオのことが好きで好きでたまりません!って物語ってる瞳?」

『いや、確かにロミジュリはそういう話だったけど。あたし、そんな瞳してた?』

「してたのよ。まぁ、練習の時以外は普通のなまえだったから、新一くんに恋してるわけじゃないのは分かってたけどさ」


さっきから園子は一体何が言いたいんだろう。
別に園子が新一のこと好きだとかそういう話でもないみたいだけど。


「ねぇ、なまえはどんな恋がしたい?」

『は?どんな恋って…そんなの実際に恋してみないと分かんないわよ』


する相手によっても違ってくるだろうしね、って続けると園子があたしをまじまじと見てた。え?何?


「じゃあさ、なまえは今までどんな恋愛してたの?」

『んー…そうだなぁ。ロミジュリみたいに熱い恋愛はしてないけど、それでも相手のことしか考えられなくなるような恋、かな』

「なまえが?」

『それどういう意味よ?』

「だってあんた、友だちのこととなると熱くなるけど、普段はクールじゃない!」


園子、一体あたしにどんな印象持ってるわけ?
聞いてみたいけど、聞くのが怖い気もする。


『…クールかどうかは置いといて。一言メール貰えるだけで、一日中幸せな気分に浸ってるような恋愛だったよ』

「ふーん。全っ然想像付かないわ」

『たぶんあたしが恋したら直ぐに分かると思うよ?』

「どうして?直ぐに話してくれるって意味?」

『話さなくても、すぐにバレちゃうくらい態度に出ちゃうって意味』


目をぱちくりさせた後、うーんと唸った園子はしばらくその様子を考えてたみたいだけど、やっぱり想像出来ないわと降参した。


「じゃあ、あたしはそろそろ帰るわ」

『え?帰っちゃうの?』

「あたしが居たら新一くんの機嫌が悪くなりそうだからね」


また明日ねって、園子は本当に帰ってしまったけど、どうして園子が居たら新一の機嫌が悪くなるんだろうと今度はあたしが悩む番だった。


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