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工藤くんの話が一段落して、もうお互い質問タイムは終わったのかと思ってたら、園子様はまだ聞きたいことがあったらしい。


「ところでさぁ、マジックで花束出したって言う男の子とはどこで知り合ったのよ?」

『え?黒羽くん?あたしが河原で歌ってる時に声掛けてくれたんだよ』

「それで仲良くなったの?」

『違う違う。その時はあたし全力で逃げたから』

「「逃げた?」」


あれ?なんか言葉間違ったかな?
二人ともきょとんとしてるんだけど。


『なんかワンコみたいでさぁ。なつかれると面倒かなぁって初日はお互い自己紹介もせずに逃げたんだけど』

「けど、何よ?」

『ほら、衣装のお披露目やった日あったでしょ?あの日に黒羽くん校門であたしのこと待ってたのよ』

「はぁ?」

『帝丹中が文化祭の準備してるから、土曜日でも学校来てるかもって情報だけで朝から待ってたんだって』

「つまり、なまえのストーカーってこと?」


まぁ、一歩間違えたらそう取られても仕方ないな。
あたしも何してんだって思ったくらいだし。


『じゃなくて、自己紹介してなかったからしたかったんだって。黒羽くんに会ってからあたし河原に歌いに行ってなかったから、学校まで来たって言ってたよ?』

「へぇー。わざわざ自己紹介しに、ねぇ?」

『で、お互い自己紹介してオシマイ。特に仲が良いってわけでも何でもないよ?校門であたし待ってる間にあたしが劇すること聞いて、たまたま見に来てくれただけだもん』

「でも、また今度とか何とか言ってなかったっけ?」

『それはあたしも疑問に思ってるとこ』


紅茶を一口飲んで、喉の渇きを潤す。
あ、この紅茶冷めても美味しい!


「新一くん、只でさえライバル多いのに他校にもライバルいるんだ?」

「みたいだね。なまえは全然気づいてないみたいだけど。なんか私新一が可哀想になってきた」

『二人とも何こそこそ喋ってるの?』

「気にしない気にしない!ねぇ、今日はこの後ショッピングに行かない?」

「それいいね!」

『じゃあ、あたし一旦ケーキ置きに帰るから、また現地集合でいい?』

「ここで待ってるからさっさと行って来なさいよ。支払いはさっきまとめてしといたからさ」

『ありがとう!じゃあ直ぐ帰ってくるから!』


店員さんに箱詰めして貰ったケーキを受け取ってお店を出た。
園子と蘭は手を振って見送ってくれたけど、急いで帰って来なくっちゃ!


「でも意外ー。なまえって案外鈍感なのね」

「鈍感っていうより自分のことに興味がないって感じだよね?私のことには気付いてたしさ」

「でも、あの反応見る限りじゃ新一くん相当苦労するわよ?あんだけアピールしたのに“芝居だから”で片付けられちゃったんだもん」

「でもさ、新一もあれでどうこうなるの悩んでたんだし、ちょうどいいんじゃない?」

「それはなまえに避けられたらどうしようって意味ででしょ?キスしたのに意識して貰えないって他にどうしろって言うのよ?」

「んー…」

「やっと新一くんが自分のキモチに気付いたのに、あれじゃあ発展するまでかなり時間かかりそうじゃない」

「発展って…なまえが新一を選ばなきゃ意味ないじゃない」

「そうなんだけどさー。今回の劇見てたら意外とお似合いだって分かったし、くっつけたいじゃない!」

「まぁ、そのキモチは分かるけど…」

「「はぁ…」」



あたしのいない所でそんな会話が繰り広げられてるなんて、もちろんあたしが知るよしもなかった。


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